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野の花

長女は小学校へは行かなかった。

1年生の2学期が始まって1日目で「お母さん、もう2度と学校には行かない」と宣言し、その後学年が変わるごとに、担任の先生を立てて2、3日行く程度。結局、卒業証書も私が校長室に取りに行った。

1年生の1学期が終わる頃、既に不登校気味だった長女の代わりに、朝顔の鉢植えを取りに行ったことがある。
夏休みは家で育ててね、という体だった。

その鉢植えがある日、何かの拍子に鉢から放り出された。
そして庭の他の草木と一緒に、伸び放題に伸びていった。

夏の終わりには、可愛らしい赤紫の花が庭のあちこちでぽっぽと咲いてきた。他の草に混じり、絡みながら、縦横無尽に。

その様子は、おおらかで力があった。
朝顔本来の美しさがあるように感じた。

そして、ハッと気付いた。

娘も朝顔と一緒で、鉢植えでお行儀よく育つのは合わないんだ、と。

こうやって、伸び伸びと好きなように伸びていく方が、彼女にとって本来の美しさ、よさが育つような気がした。

長女は今、オーストラリアに留学し、教育学と美術を学んでいる。
地面を野放図に伸びていく、朝顔のようになっていくかどうかは、あとは本人次第。

親である私たちは、遠くからその様子を愉しませてもらっている。


長女のことを書いた記事はこちらにもあります↓
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