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頭痛の効用

そうか。

しばらく何も書くことないなぁと思っていたら、ここ2週間ほど頭痛に悩まされてて、とにかく生きるのに必死だったからだった。

季節の変わり目に時折やってくる頭痛。
ただ、今年のは例年の五百倍くらいパワフルだった。

ずきーん ずきーん ずきーん…
というのが延々と続くんだけど、ずきーんの「きー」の部分の痛さは今まで経験したことないものだった。

ことの起こりは、2週間前の土曜日。
外出先から帰ってきて、軽く夕飯を食べていたら突如、恐ろしい吐き気がして、トイレに駆け込んだ。

吐いたらスッキリするんだと思ったら、その後尋常ではない胃痛と頭痛に襲われ、やっとこさ布団に入って横になった。

週末〜月曜日にかけては、なんとかやり過ごしたものの、火曜日には起きて動くことが難しくなってきた。

このまま行くと寝込んじゃうなぁと思ったので、しばし悪あがきするも、
すぐ限界がきて、そのまま金曜日まで布団の中。
時々ミーティングが入っていたので、這いずるように出てきて参戦した。

寝てても痛かったんだろう、夢見も最悪だった。

息子が、なぜか他所の人の頭をスコップでカチ殴って死亡させ、
「この人さえ死んでくれれば、みんなが助かる」と言ってる横からその人が生き返り、病院に連れていくんだけど、病院の先生がまたメチャクチャで。

病状を調べるために、と言って、その人の頭の傷口をトンカチで思いっきり殴る…。横で見ていて痛くてたまらん、という類の夢だった…。

そうこうしているうちに、今週に入って、ようやく落ち着いてきた。

この世の全ては、移り変わっていて、ずっと同じ状態は続かない。
無常」っていうのはいいもんだ、と変に感心した。

人生の中でここまでの頭痛に付き合ったのは初めてだったが、
そのおかげでよかったことがいくつかある。
(まだ油断すると痛いんだけども)

1. 身体の見方をきっちり変えると、痛みの質・量は変わる。

身体というものは、レントゲンで撮ったみたいなものだけだと思い込んでいると、頭痛の質や量が変わるなんてことには決してならない。しかし、人間の身体には、レントゲンで撮ったような物理的な体以外に、感覚的な身体というものがある。

例えば、記念撮影をするときに、「○×さん、もう少し首をまっすぐにしてください」とか言われたことはないだろうか?

自分では、まっすぐなつもりなのに、と思いながら、カメラマンの言う「見た目真っ直ぐ」に合わせるだろう。そのとき、真っ直ぐになったはずの首は本人にとっては、実際には曲がって感じる。その「曲がって感じる」ほうが、感覚的な身体だ。

その、感覚の方の身体の、層をちょっと変えるだけで、「え?こんなに違うの?」というようなことが起こる。

「それは、痛いから誤魔化してるだけでしょ?」とか言われそうだけど、そうじゃなくて痛くないアタマが同時に存在しているという感じ。
だったら、わざわざ痛い方のアタマを見なくても、痛くない方にしておけばいいじゃないか。

今までだったら、いくら感覚の身体といえども、「痛いものは痛いよね!」と思ってきた。けど今回、強烈に追い詰められた結果、「痛くないアタマも同居してるんじゃん」ということを実感できた。

2. 頭痛を経たら、緑が尋常じゃない美しさに見えてきた。


私は極端に近眼で、50を過ぎても全く老眼の「ろ」の字も感じないほど、
見えてない人である。

*ド近眼ゆえにやらかしてきた諸々なんかを、こちらに書いてあるので、
よかったらご笑覧ください。

だいたい、何を見るときでも相当寄らないと見えないので、常に目は疲れてしょぼしょぼしている。具合の悪い時は、弱いところに影響が来るのか、どんな不調の際にでも、決まって目が痛くなる。

今回も御多分に洩れず、頭痛と共に目が痛くなった。今週に入ってからは景色が白濁して見えてきたので、「いよいよ白内障か?」と覚悟したくらいだった。

ところが、昨日あたりからやたらと緑が美しく感じる。白濁した感じもないどころか、全てが鮮やかに見えるのだ。
(ずーっと寝てたからね汗)とも思ったけれど、今朝の裏山の苔は格段に美しくて、撮ったらこんな感じだった。

これはもはや、頭痛の効用と言ってもいいんじゃないだろうか。

***

全く、人生、何がいいか悪いかなんて、決めつけられるもんじゃない。
「痛い」など、人類が一番嫌うものの一つじゃないか。
でも、その効用を考えるや、悪くないどころか、成長や進化に一役買っていると確信できる。

おまけに、「頭痛がしない人生って、なんて素晴らしいのかしら!」と、もはや生きてるだけで丸儲けのような気持ちになれる。

おかげで、またしばらくは新鮮に生き延びられそうだ。





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