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ワーケーションする自分を想像し考えたこと。

先日、小樽・祝津ワーケーションモニターツアーに参加しました。このツアーは3泊4日でアクティビティも豊富だったため、このツアーのスケジュールを基に、実際のワーケーションを十分検証するのは難しいと思います。ただ、ツアー中、主人と2人で「ワーケーションってどうなんだろう?」「祝津でワーケーションにはどんな可能性があるのだろう?」とずーっと話し合っていたので、沢山のことを考えました。

私たちは普段から「働き方」の改善に興味があり、「どうすれば、働くことに意義を見出し、やりがいを持って仕事ができるか」「どうすれば、みんなが良い関係で楽しく仕事ができるか」「どうすれば、仕事・家庭との時間・趣味・休息のバランスをより良くできるか」といったことを考えています。

また、私たちは定期的にアメリカに2〜4週間帰省したり、2週間タイで休暇をとりながら仕事したこともあります。それらは「ワーケーション」ではありませんが、多少なりとも休暇中に仕事をした経験があります。

こうした問題意識とこれまでの経験、小樽・祝津ワーケーションモニターツアーを経て、ワーケーションについて考えたことをまとめてみました。

ワーケーションとバケーションは「完全に別物」

ワーケーションは「バケーション中にメールチェックはする」ことは意味が異なります。旅先で仕事する時間や場所を意識的に確保する時点で、その旅はバケーションとは別のものに変質します。これは、今回モニターツアーに参加し、改めて気がついたことです。ワーケーションをする本人も周囲の人たちも、「ワーケーション」をバケーションの延長だと捉えないほうがいいと思います。

ワーケーションは「バケーション+α」でも「仕事+α」でもない、全く別個の新しい生活スタイルだと考えたほうが、気持ちの面でも、予定を立てる上でも、良い準備ができると思います。

短期なら「バケーション」がいい。

旅行には時間やお金や体力が必要です。移動には交通費や時間がかかりますし、目的に応じて荷物も増えます。
今回、私たちは札幌から小樽に車で行ったので、運転は1時間弱。荷物を持ち歩かなくていいし、予備の靴やジャケットは車に置きっぱなしでした。
しかし、東京や沖縄に行くとしたらどうでしょうか?飛行機の時間に間に合うように、逆算して移動する。気温差を考えてジャケットや半袖を用意する。航空機内にキャリーケースを持ち込みたいから、それに合わせてパッキングする。特殊な趣味があれば、その道具も準備する。それらに仕事用のパソコンを持っていくことや、決まった時間のオンラインミーティングが加わったら・・・考えただけで億劫になるかもしれません。

ですから、日帰り〜1週間前後の休暇の旅ならば、仕事のことは最低限にして、遊ぶことに集中した方が良さそうです。シンプルに観光や食事、温泉、ハイキング、ショッピングをいっぱい楽しみたいと思いました。

「向き不向き」がある。

ここ数年、「ノマドワーカー」「アドレスホッパー」と言った新しい「住み方×働き方」が認知されてきました。住む場所を移動し、その中で仕事も続ける人は、すでに自然体でワーケーションを実践しているといえます。
以下は、私の主観ですが、ワーケーションに向いているのは、このような特徴がある人だと思います。

・旅が好き(冒険を楽しみ、外に出かけてリフレッシュしたいタイプ)
・新しい環境に適応しやすい(ベッドや食事が変わっても大丈夫)
・自己管理ができる(どこにいても、自分を律して責任を持って仕事ができる)
・いい意味で身軽(自由に移動することを制約する要素が少ない)
・心身ともにタフ(旅行も仕事もするには、ある程度の健康や体力が必要)

その他、賃貸契約や住宅ローンを払っている場合は、ダブルで家賃を払うことになるので、経済的なゆとりも必要でしょう。状況にもよりますが、家族や職場の理解や協力も必要だろうと思います。(一緒に旅行するとか、不在時の荷物を預かってもらうなど。)

今年テレワークが導入されて以来、「在宅ワーク→ワーケーション」に挑戦する人も少なくないと思います。しかし、仕事と休みの両方を充実させようとするなら、ワーケーションは通勤・在宅ワークのいずれよりも難易度が高いと感じます。

ワーケーションは多数の人が少しだけやるよりも、少数の人がそれを自分の生活スタイルとして選択するといった形で定着していくのかもしれません。

慣れが必要。

とはいえ、「家を引き払うつもりはないけれど、中長期的に場所を変えて生活してみたい。」と感じる人もいると思います。「静かな田舎で生活したい」のかもしれないし、「お洒落なホテルでラグジュアリーな時間を楽しみたい」のかもしれません。私たちの働き方が多様であるように、旅に対する思いもまた様々。ワーケーションのあり方は、人の数だけ無数にあると思います。

自分に合ったワーケーションのカタチを見つけるには、試行錯誤が必要だと思います。なぜワーケーションをしたいのか。自分はどう生きたいのか?自分の思考/嗜好を見極め、旅の前後と旅の期間の生活を整えていくこと。その上で実際に体験し、どうすれば旅先での生活と仕事の質を高められるのか、しっかり吟味することが大切だと思います。ワーケーションを人生に取り入れたいなら、1度だけ1週間だけ、といった限定的な体験でなく、繰り返し、調整していくと良いと思います。

私たちはどうする??

私たちは夫婦で小さな会社を経営しています。経営者の立場なので、ある程度は自分の裁量で休みや働く場所を決めることができます。逆に、際限なく働き過ぎたり、仕事を手放してスタッフに任せる必要を痛感する時もあるので、あえて家を離れて働くことにメリットを感じます。

現在は、パソコンがあれば何処でも仕事ができる業務内容です。ただ、スタッフと顔を合わせて仕事するほうが、会社としてのモチベーションや仕事の効率が上がるため、現時点では長く職場を離れるのは、あまり好ましくないと考えています。

今、実際自分がワーケーションをするとしたら、ポイントは次の2つです。

① 頻度は年1回2週間程度から始めてみたい。
② 行き先の「まち」に魅力を感じ、地域の人たちと関係を築くことを目的とした旅をしたい。

①について。私たちは旅行が好きで、出かけることで気分転換ができます。長めの旅行の場合、3〜5日目くらいから旅先での生活リズムに慣れてくる気がします。だから、私たちとっては、ワーケーションをするなら2週間くらいは必要だと思います。ノマドの人たちに対するあこがれがありますが、今ワーケーションをするなら、このくらいの頻度が現実的かなと思いました。私たちの場合は、絶えず移動するより、貯金して、リサーチして、少ないチャンスを楽しみにすることを定期的に行う方が性に合っていると感じました。

②について。私たちは、現在メディア関係の仕事をしているので、旅先で写真や動画を撮ることが仕事の一部でもあります。また、主人は根っからの起業家タイプなので、魅力や課題を見つけては、色々思い巡らすクセがあります。旅先で仕事するなら、尚更そうなるでしょう。今回のワーケーションツアーでも、どうすれば祝津の良さをより魅力的に発信できるか、どうしたらもっと祝津に人が来るだろうかということを、自分たちや主催者さんたちの立場で考えながら過ごしていました。

祝津は本当に面白く・美しい地域です。(祝津の紹介は別の記事で書いたので、よかったらお読みください。)歴史・自然・食べ物・・・全てが素晴らしく、印象的でした。しかし、祝津で一番魅力的だったのは出会った「人」でした。

日常から完全に離れて休みたい時は、ワーケーションはできません。できるだけ、人にも会わず、予定も立てないと思います。しかし、仕事モードなら、できるだけ社会と接点を持ちたいです。地元の人に出会って、話を聞いて、地域を知る。自分の視野を広げ、知識を増やし、人々と関係を築くことは、様々な形で将来の仕事にもつながると思うからです。だから、私たちがワーケーションをするなら、これからもリゾートホテルの中だけにとどまるのではなく、ローカルな出会いのある場所を選ぶと思います。

(最終プログラムで作ったお刺身。浜の母さんの指導のもと、生きているアワビとホタテを刺身にし、用意してくださった手作りの豪華な昼食をいただきました。)

今回ツアーを主催したNPO法人おたる祝津たなげ会は、茨木家中出張番屋の改修工事をし、祝津地域活性化のために尽力している団体です。「たなげ」「たなぐ」とは、「皆で持ち上げる」という祝津で古くから使われている浜言葉だそうです。①個性ある地域づくり、②歴史・伝統の保存と継承、③環境に配慮し子どもに夢を与える地域の創出を目的に活動されているたなげ会の皆さんは、私たちより1世代・2世代上の人生の先輩です。多くの経験をし、地位がある方々にもかかわらず、若い私たちを気遣い、意見を尊重し、温かくもてなしてくださりました。伝統文化を保存しながら、未来の世代を思い、新しいことに挑戦する先輩方に非常に感銘を受けました。(私たちが出会ったたなげ会の皆さんは、とても気さくで、優しく、若々しく、エネルギッシュでした。)

魅力的だったのは、たなげ会の方々だけではありません。活動に同行してくださった観光協会や小樽市の職員の皆さん、山岳ガイドや番屋めぐりで出会ったガイドの皆さん、ホテルノイシュロス小樽や昼食でお世話になった青塚食堂や祝津マリーナ食堂の皆さん、料理教室をしてくださった浜の母さんたち。ひとときであっても、この地域を愛し、協力しあう方々の輪に加えていただけたことで、胸が熱くなり、離れがたい気持ちになりました。

(最後に撮った集合写真。この時だけ一瞬マスクを外しました。)

きっと私たちは、人々と良い関係を築いて楽しく働きたいと常々考えているから、仲良く協力し合って挑戦を続ける人たちに出会うと、特に嬉しくなるのだと思います。これは、私たちが今後ワーケーションする際の場所選びのポイントになりそうです。実際、祝津(小樽の他地域も含め)でまたワーケーションをしたいと思っています。何度行ったことがあるか、近いか遠いかは問題ではありません。ツアーを通じて、小樽祝津は何度も訪れたい場所になりました。再び美しい自然と美味しい食事と、あの素敵な人たちに会いたいです。

今回のモニターツアーは、自分たちがどう社会と接点をもち、どのように働き、生きていきたいのかを考える、非常に良い機会になりました。この出会いや経験を、今後の仕事や生活に生かしていきたいです。

長文をお読みくださり、ありがとうございました!

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