不要なものを振り落とし、必要な記憶だけを残していく 詩#1
いつも違う空なのに
いつも同じメッセージを送ってくれる。
朝は、どんなイやな夢を見たって、
あなたが癒してくれる。
今日出会う人、今日起こることに
過剰な期待を寄せる私に
こっちだよ、と水面を煌めかせて
静かに水平線を見るよう、促すんだ。
*
昼は、だいたいそっけない。
どうでもいいことににぶつかって、
一人で熱く固まっている私を
いつ来るかわからない想像の未来に、
思い悩む私を
咄嗟にあなたに答えを求めてしまう私を
適当にやりなよ、といなして笑う。
そして火照った私の顔に、
涼しい風を送るんだ。
*
夕方は、いつも何も言わない。
ただ眼の前で、
刻々と厚くなる雲と
緋色に染まる空間を演出しながら
もうこれ以上儚く魅せないで、
とお願いする私を
いつまでも虜にするんだ。
今日はどんなことにぶつかって、
どんなことを悩んだのか。
たくさんの余計なものを勝手に背負って、
眉間にしわを寄せる私を
雑念にまみれた私の心を
大きな手を広げて、慰めるんだ。
そして今日も私はあなたに誓う。
不要なものを振り落とし、
必要な記憶だけを残していくことを。
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