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「競争」から離れると、うまくいく4

☆1回の「勝ち負け」にこだわらない

主婦の中には、夫の出世競争や子供の受験競争で勝とうとする人がいます。
夫や息子と自分を同一化してしまって、
「夫が勝つことは自分が勝つこと」「息子が勝つことは自分が勝つこと」
と思い込んでしまう人がいます。

「あの子はいい学校に入れそうだけど、うちの子は入れそうにない」とか、
「うちの夫は出世が遅れている」といったことで真剣に悩む人がいます。
その反対に、「うちの子は、東大に行っている」とか
「うちの夫はもう役員をしている」と、子供自慢、夫自慢をする人もいます

自分自身の勝ち負けならともかく、夫や子供のことを自分の勝ち負けに
してしまうと、イライラのタネは2倍にも、3倍にもなります。

子供の受験競争に熱心なお母さんはたくさんいます。
しかし、子供の受験競争に勝ったお母さんたちが必ずしも幸せになっていないという現実には、あまり目が向けられていません。
これはできる子を持った親のパラドックスと言えます。

たとえば、地方の進学校から東大に子供を入れたお母さんは、
自慢の息子を持って鼻高々かもしれません。
しかし、東大に行くために子供は親元を離れます。
その後、年に数回帰ってくることがあっても、
めったに会うことはできません。

東大を出てからも東京の官庁に勤めたり、海外に勤務したりして、
ほとんど家には寄りつかなくなります。
エリートゆえに仕事が忙しく、実家に帰る時間すらなくなります。

また、エリートになったために、いい家のお嬢さんと結婚して、
そちらの家に息子をとられてしまうというようになることも起こります。
「子供のためにあれだけ頑張って、いい大学に入れたのに、何だったのか」
と思う親もいるはずです。
できる子を持ったがゆえに、自分は孤独でさみしい老後を
送らざるを得ないということもあるのです。

子供の受験競争に過剰なまでに熱心になるのはよしたほうがいいと思います。夫の出世競争に関しては、「あなたの努力だけでは、どうにもならない」と言うと、たいていの主婦は納得しますが、子供の受験のことになると、なかなか理解をしてもらうのは難しいことがあります。
子供の受験結果は、自分の力でどうにでも変えられると思っているお母さんが多いのです。

もちろん、サゼスチョンをすることくらいはできます。
より効果的な勉強法を教えてあげることもできるでしょう。
しかし、やるかやらないかは子供次第です。
多くの場合、子供の受験は、親の思い通りにはいかないものです。
思い通りにいかなくて、子供に対して腹を立てたり、
イライラをぶつけたりしているお母さんもいます。

自分の努力で変えられることであれば競争してもいいのですが、
自分の努力で変えられないことに力を入れて競争するのは、
とても疲れてしまいます。

心理療法の中に、家族療法というものがありますが、
それは二つに分けられます。
一つは操作的な家族療法で、「親の接し方を変えれば子供が変わるはずだ」という考え方をベースにしているもの。
もう一つは、子供についての悩みや苦しみを聞いてあげるかわりに、
「子供というのは親の接し方で変えられるものではないですよ」と伝えて、
子供を変えることはあきらめてもらい、
自分の老後のことや自分の趣味のことを考えてもらうものです。

どちらが効果があるかというと、実は後者です。
常に子供のことを気にしているより、ある程度子供を放っておいたほうが、
子供は変わっていきます。

親子べったりで、子供のことに全力投球するよりも、
親が自分のことに力を入れたほうが、案外、子供は伸びていきます。

老後に楽しい生活をするために趣味やボランティア活動に力を入れるとか、
老後のために資格を取るとか、一生懸命本を読むとか、
そういう姿を見て子供が変わることがあります。

「他人」という言葉には抵抗があるかもしれませんが、
子供も「他人」ですから、親の力だけではどうにもなりません。
思い通りにならない「他人」のことであれこれ悩むよりも、
「自分」を充実させることを考えたほうが楽しい人生になるはずです。

世の中は不思議なもので、子供にあまり干渉しなくなったら、
とたんに家族がうまくいき始めたという例はよくあります。


~30代女性のための心と体の健康アドバイザー~

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