【マーケティングトレース】一澤信三郎帆布の愛されるブランド価値を分析してみる
マーケティングトレースの第4回目は、一澤信三郎帆布。
老舗かばん店のブランド価値を分析し、中小企業がブランディングを考える上でのヒントを抽出してみます。
トレースしたカンブリア宮殿について
一澤信三郎帆布のホームページ
ホームページに掲載されている、このコピーが一澤信三郎帆布のブランドメッセージ。
よそいきの華やかさはないけれど、毎日飽きずに使えるかばん。何年も何十年も使いこむほどに「いい顔になってきたね」といわれるような表情のあるかばん。そんなかばんでありたいものです。
VRIOフレームワークでトレース
VRIO分析=組織内の内部資源の有効可能性をチェックするために活用するフレームワーク。中小企業では、2代目、3代目などの社長が、既存事業のリソースをどのように活用して戦略をつくるかを考える際に活用できる。
VRIO分析は使い慣れていないところもあり、改めて各要素の意味をマインドマップで整理
では、早速、一澤帆布のVRIO分析を行っていきます。
①経済価値(外部環境との適応度合い)
経営資源は、外部環境における機会を生かすことが出来るか?もしくは、外部環境の脅威を無力化することができるか?
京都ブランド×手仕事 ※京都の文化価値にフィットしている
良いものを長く使いたいという顧客ニーズにフィットしている
②希少性(資源そのものの希少性)
市場においてその経営資源は希少か?その経営資源を豊富に保有する競争相手はいないか?
帆布の加工技術=帆布を使ったバッグ作りの職人技は希少性高い。
あえて1店舗@京都で「ここでしか買えない」※ECサイトも展開していないことで、職人技の希少性が増している。
③模倣可能性(経営資源の獲得・開発・模倣コスト)
自社の保有するその(有力と目される)経営資源を他の競争相手が保有するのに多大なコストがかかり、困難を極めるか?
お家騒動を乗り越えて築いたブランド資産=独自の歴史的資産
職人による手仕事は模倣コスト高い
④組織(組織方針)
その経営資源を活用するための組織能力や組織的制度は整っているか?
“上質な素材を使い、手間暇をかけて、丈夫で長持ち、シンプルで使い勝手の良いかばんを作り、京都の一店舗のみで販売する”を徹底
規則正しい勤務の職人だからいつでも修理ができる。知らない人に売らせない。いつでも「もう一度同じもの」をつくれる。つまり型をつくらないから廃番がない。無理やり商売しようとしていないから新型を作る時期が決まっていない。一澤信三郎帆布 「時代遅れ」貫き、ファンが急増
ロングライフデザインの秘密(下)
VRIO分析を図解で整理
一澤信三郎帆布の競争優位性とは何か?
競争優位性=独自のブランド価値が築かれている構造は↓
組織方針を徹底→希少性を磨く→模倣困難性を築く→経済価値
中小企業は、当然リソースは限られています。
その限られたリソースの中で、何に集中して、どんな顧客価値をつくり出すのか?
ここがポイントになります。
一澤信三郎帆布は、意図的に希少性を磨き、模倣困難性を築くというマーケティングを行っている。
VRIO分析から3C分析
VRIO分析は3C分析の自社(company)の部分に繋がります。
自社の独自資源を活かして、顧客価値を最大化していることが、3C分析してみるとわかります。
一澤信三郎帆布は、修理を自社対応しており、組織方針の徹底はLTV(顧客生涯価値)を高めることにも繋がっているという構造ですね。
まとめ
愛されるブランドをつくるためのポイント。
自社の組織方針・希少性を明確にして徹底(選択と集中)する。
この基本が、模倣困難性(強いブランド)をつくり、経済性(持続的な成長)を生み出すことが、一澤信三郎帆布のマーケティングトレースから学べること。
資源が限られているから、外から資源を引っ張るという発想だけではなく、中の資源と向き合い、継続することで独自性を築くというアプローチも意識していきたいと思います!
参考図書
自社の経営資源と向き合い、戦略を組み立てるのには、資源ベースの経営戦略論がオススメです!
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