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人事が考える選考対策(新卒向け)

あれやこれやと、FUSIONに入社し、3年目に入った。

1年目から担当していた新卒人事の業務についても、3回目(3周目)になったので、少しずつ俯瞰して見えることも増え、気付くことも増えてきた。

人事業務の中で、やっぱり大半を締めるのは面接・選考業務。いろんな学生さんと会話をさせていただく中で、「あー惜しい」とか「あーもうちょい」と思うシーンが結構ある。偉そうに。

並々ならぬ熱量をかけてくれているのに、その努力の方向性が少しずれている、みたいなのは、学生さんはお見送りという形で悔しい思いをすることが多いと思うが、人事としてもかなり悔しい。この学生さんが入社してくれるためにもっとできることがあったのでは、と落ち込む。世の人事は、みんな経験があると思う。

(ちなみに、採用の最終決裁権は人事には無いです。その方が良いと思う)

私が会社説明会などでスピーカーをする際は、「選考対策をしたい場合は、個別に連絡くれれば付き合うので、いつでも連絡してください!」とお伝えしている。し、実際相談をしてくれる学生さんには、個別に1時間程度、選考に全く関係のない「選考対策」のミーティングをしている。

ただ、その選考対策についても、やっぱり時間は有限なので、1on1で行い続けるには限界がある。でも、できるだけ多くの学生さんに理解しておいてもらったほうがいいはず。

ということで、今日は就活を控える学生さんの一助にでもなればと、スタートアップで人事を担当する私が考える就活対策について書こうと思う。


① 会社が欲しい人材は「中長期の経営計画を達成できる人材」

ここがすべてであり、一番大事なところ。

例えばFUSIONであれば、現在は広告代理業で生計を立てているが、今後は広告業以外の新規事業も立ち上げていく予定だ。会社説明会でも、その内容を強めに発表している。そうすると、「広告がメチャクチャ好きです、広告に関わる一生にしたいです」という熱量の学生さんは、若干の不安を覚える。今時点では広告業のみだし、今後広告事業をたたむ予定も勿論ないが、それでもちょっと不安になる。

外的要因での強制的なピボットを想定するのは難しいかもしれないが、FUSIONの場合は「他の事業も展開する」と発言しているので、そこに対する理解は大事な見極めポイントとしている。

会社説明会のスライド抜粋

「広告事業に骨を埋めます」というテンション感だと、FUSIONおいては、中長期の経営計画を達成するための人材ではない可能性が出てしまう。間違いなく、採用のハードルは上がる。

伝えたいのは、不測の事態に備える覚悟がほしいです、などではなく、会社の将来の方向性と揃っているか、というところ。なぜなら、そもそも大前提として「新卒」入社するということは、即時での戦力化を期待されていないからだ。

会社としては、育成コストなどの(敢えてこういう言い方をすると)負担を覚悟して、中長期でお付き合いをする想定し、採用している。1人前として会社を牽引してもらえるまで、どんなに早くても半年、普通に考えて1年以上のタイムラインを想定している。なので、入社直後での会社の状態と、1人前のタイミングでの会社の状態は乖離が発生している可能性があるのだ。

スタートアップは特に、市場の影響を踏まえて会社・事業をピボットさせることもあるし、ネガティブサイドだと、事業がうまくいかずに畳まれてしまう可能性も勿論ある。

折角、お互いに時間とお金をかけて擦り合わせを行ったのに、会社の方向転換でお別れしてしまうのはあまりに勿体ない。会社主語の話で書いていたが、本人としても幸せとは言えないキャリア選択になってしまう。


上場企業の多くは、IRに「中長期の経営計画」を記載している。

楽天の決算資料から抜粋
サイバーエージェントの決算資料から抜粋

志望企業のIRに目を通さない学生は少ないと思うが、IRから選考対策に落とし、選考で訴求すべきポイントは「会社の未来と、私の未来一致してますよ」という点に尽きる。

IRを世にまだ出していない企業であっても、大半の企業は採用デッキなどをオンラインで公開していると思うので、目を通すと良い。

② 会社は「金を稼ぐための集団」であると理解する

続いてこちら。会社と学生さんの「ずれ」が発生しやすいポイントだと思われる。

また自社を例にする。FUSIONはいわゆるIR的な活動にも、フェーズ的には早すぎると見えるくらいに力を入れてきた。

弊社は広告代理業を行っており、かつ渋谷区にオフィスを構えているので、それぞれの会社の枠組みの外にある業界や地域との接点をどのように持つか、は会社の人格(法人格)を形作るために、めちゃくちゃ大事な要素だ。

関西学院大学 国際学部に所属し、休日は映画を見ていることが多いです、ということが自分自身の自己紹介になるように、会社にとっての自己紹介となる要素である。

が、一方で、これはあくまで周辺情報であり、付随情報であるとも言える。

弊社の主力事業は広告代理業であり、広告代理業で生み出した利益が、会社を維持するためのガソリンになる。オフィスを構え、冷暖房を使い、PCなどの備品を購入し、IR活動に必要な費用となる源泉であり、そして、私の給料になっている。

キャッシュがガソリンで、VISIONが目的地

ただ同時に、金を稼ぐという観点は、意地汚く聞こえるし、それだけを目指すのは虚しいと思う。個人の話に落とすと、金を稼ぐだけが目標なのであれば、企業に所属しないほうが効率が良いことも多い時代になっているし、企業においても、金稼ぎだけを目指して破綻していくのは、よくあることだろう。

大事なのは、要素としての理解だと思う。利益確保無しに、会社は継続できないよ、という。

  1. 社会への価値提供

  2. 雇用の創出

  3. 利益を生む

  4. 経済成長に貢献する

会社の役割はだいたい上の4つに集約され、かつ、順番はこの並びになる。

提供価値の無い企業は存在できないし、人のいない会社は存在を維持できない。その上で、いわゆる稼ぎ・儲けとなる利益が創出され、直接的には納税などの行為も通して、会社の外に対しても価値を改めて発揮していく(そしてまた1に戻る)

順番はあれど、優先順位はつかず、すべての要素が等しく重要である。

学生さんと会話していると、この3だけ抜けている人が多いように思う。アルバイトやインターンシップの経験だけでは、なかなか体感することも少ないだろうとは思うが、逆にここを理解しているだけで、他の方との差別化もはかれる。

事業ポートフォリオが数十個あり、それぞれで1億円くらい利益を出している企業だと、この観点を新卒という立場で、入社前から意識するのは難しいかもしれないが、スタートアップを志す学生さんであれば、必ず理解しておいたほうが良いと思う。

③ 自分の強みは「非言語」でアピール

最後はちょっと技術的な話なので、サラッと。

「あなたの強みを教えて下さい」はよくある面接の質問だが、この回答は言葉だけではなく、その方がもつ雰囲気や人生の選択から滲み出てきて初めて、納得感があるものだと思う。

めちゃくちゃ極論かつ、意地悪なたとえだと「自分は負けず嫌いで、何においても一番じゃないと気が済みません」が自分の強みとしての一文なのであれば、東京大学に在籍していると説得力が増す。逆にそれ以外だと、「あれ勉強においては、その限りではないのかな?」となってしまう(あくまで、わかりやすくデフォルメした例として)

この辺は自己分析に関わる話なんだろうとは思うが、選考の場で面接官が見ているのは「その強みがどのくらい汎用性があるのか」であり、「その強みは社会人になっても活かせるか」というところになる。

学生時代に培われた強みは、大半は社会に出ても通用すると思うので、そこに対しての理解は自分が一番しておくべきだと思う。

自分自身の強みを文章として書き出したあとに、自分自身の人生を振り返り、自分の人となりを客観的に見た際に、一貫性があるかを振り返ってみる、それだけでも精度は変わってくるので、ぜひ選考までに時間を作ってほしいな、と思う。

最後に

偉そうにつらつらと書きましたが、人事としては「貴社に入りたいです」といってもらえるのはめちゃくちゃ嬉しいかつ、仕事のモチベーションになる。数ある企業の中から、まだまだ小さい、若い若い会社を選んでくれて、ほんとにありがとう!といつも思う。

↓25卒採用についても、絶賛ご応募お待ちしております。

こう思っているからこそ、ぜひ選考は突破してほしいし、入社後はお互いが幸せになれるように働ければ、こんなに嬉しいことは無いな、といつも思っている。

弊社以外でも汎用性があるであろう内容を書いたので、皆さんの就活でちょっとだけでも役に立てば、それがもし、弊社の選考ではなかったとしても嬉しい。

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