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今こそ必要とされる薬剤情報提供サマリー

前回の記事に書いた出来事を振り返って自分なりに考えたことを書きます。
前回の記事はこちら

医師「●●(疾病)と書いてくれていますが、それについて全然把握していないです。詳細を教えてもらえますか。」

なぜ入院先の医師は●●(疾病)疑いについて把握していなかったのか

2つの背景を考察してみました。

①そもそも診療情報提供書の性格上、入院の直接の要因と考えられる疾病や症状の経過以外はあまり記述されないということが背景にあるように考えています。

②医師の思考プロセスが基本的に患者さんの訴えや症状から出発し、治療方針や処方薬に到達するものであることが背景にあるように考えています。
これは多忙な医師が効率的に患者さんを救うために重要なプロセス、優先順位の付け方に繋がるものだと思います。
つまり、今現在強い訴えや症状がなく、予防的に処方はしているものの慢性化しているものについては誤解を恐れずに言えばそれほど重要ではないということです。

では一方で僕の、薬剤師の書くサマリーにはなぜ情報が載っていたかのかについて考えてみます。

これについても、薬剤師の思考プロセスにヒントがありそうです。

端的に表せば、上述した医師の思考プロセスを逆行するのが薬剤師の思考プロセスですよね。
処方薬から出発し、対応する疾病や症状の経過や評価に到達します。例えばマグミットから出発して便通の頻度や便性、頓服薬に至るそれです。
新たな症状を発見した際に、まず薬剤性を疑えるのもこのためですね。

今回の例では、ここまで書いてきた医師・薬剤師それぞれの視点や思考プロセスが揃うことで患者さんに貢献できました。
ここからはさらに薬剤師の書くサマリーが今そしてこれからの地域医療にどんな価値がありそうか考えてみます。

地域包括ケア時代にこそ必要とされるサマリーである

地域包括ケア時代以前と以降の医療ニーズについては皆さんご存知の通りです。
青壮年層の急性疾患をメインに病院で治療して社会復帰を目指していた時代から、高齢者が慢性疾患とうまく付き合いながら地域で暮らせることを目指す時代に変わることが求められています。

前時代においては医師間で診療情報提供書を交わすことが、ある意味で治療において必要十分だったわけです。
若い人の脳卒中や心筋梗塞、あるいは骨折などの外傷は時間的に短い文脈で済んだのです。

一方現代においては様々なライフステージを経て、また多疾患を併存した高齢者を地域でみていかなくてはなりません。時々入院して普段は在宅という具合に、退院した後の暮らしこそが重要なわけです。
そうなった場合に、入院に起因したイベントだけでなく、退院後に場合によっては一生涯に渡って付き合っていくことになる慢性疾患についての情報をバトンパスする役割や媒体は必要だと思います。

おそらくそれを担うのは薬剤情報提供サマリーであり、薬剤師なのです。
ぜひ勇気を持って、地域医療に一石を投じてみてください。きっと患者さんのためになるはずです。

ありがとうございました😊



いつも読んでくださりありがとうごさいます。みなさんが読んでくださることが活力になっています。