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入院時サマリーの書き方と送り方

今日は患者さんが入院された際に入院先の医療機関に送付するサマリーの書き方と送り方についてご紹介します。

僕が薬薬連携に取り組み始めた経緯や目的等はこちらの記事を読んでいただきたいです。

2年間でこれまで約50通のサマリーを書いてきました。
退院時に返信がいただけたのは約10通でした。
先日の記事にも書きましたが入退院時に薬剤師同士が書面で情報を共有する流れは来ています。

①退院時薬剤情報連携加算(新設)
僕が最も注目している加算であり、最も注力している領域です。
退院時に処方内容に変更があった場合、その情報を病院薬剤師が薬局薬剤師に提供することで算定できるようです。
いわゆる”薬剤情報提供サマリー”というやつです。
病院側は必ずこの算定を取る方向に動くと考えています。
そうなると必然的に薬局は受け取る態勢作りが求められるでしょう。

サマリーのフォーマットはオリジナルのものを使っています。病院薬剤師会のHPにもあるのですが、記載項目が多い等の理由で使用していません。特に始めて書くフォーマットとしては不向きのような気がしています。

サマリーには宛先、患者氏名、生年月日、年齢、患者の薬に対しての意識・理解、薬の管理・服薬方法、アレルギー・副作用歴という基本的な内容に加えて、治療経過、処方内容を記載する項目を設けています。

1)治療経過の書き方

イチから記載しようとすると、とても時間がかかります。
患者さんの搬送からできるだけタイムラグを作りたくないため、僕は送付まで含めて10分以内に完了するよう心がけています。

コツは、直近に書いた報告書(薬歴)を最大限活用すると良いと思います。


♯便秘症
⇒X.06.01 便通−4〜5日に1回、硬便の訴えあり。マグミット 330 3T 毎食後開始
⇒X.06.08 毎日軟便あり。腹鳴亢進あり。マグミット 2錠朝夕食後へ減量。
⇒X.06.15 毎日普通便あり。腹鳴亢進なし。経過良好にて処方継続。

#不眠症
⇒X.08.22 ベルソムラ錠15mg 1錠 眠前 をご自身の判断でスキップされており、ルネスタ錠2mg 1錠のみで良眠のためベルソムラを中止いたしました。

このように書いたら、次に入院後のPlanを追記します。

♯便秘症
⇒X.06.01 便通−4〜5日に1回、硬便の訴えあり。マグミット 330 3T 毎食後開始
⇒X.06.08 毎日軟便あり。腹鳴亢進あり。マグミット 2錠朝夕食後へ減量。
⇒X.06.15 毎日普通便あり。腹鳴亢進なし。経過良好にて処方継続。
⇒以降経過良好にて処方継続しております。便秘時はセンノサイド錠2T頓服にてコントロール中です。
#不眠症
⇒X.08.22 ベルソムラ錠15mg 1錠 眠前 をご自身の判断でスキップされており、ルネスタ錠2mg 1錠のみで良眠のためベルソムラを中止いたしました。
⇒直近2週間はご自身の病状に対する不安や施設スタッフへの不満から寝付きが悪いことが多くなり、日中に眠られていることがあります。入院中に不眠傾向あれば再開ご検討下さい。

この時に気をつけることは、入院の原因となったイベントや入院に伴う環境変化を考慮して記載することです。
特に高齢者の場合は眠剤の服用による転倒リスクや認知機能への影響も少なくないため、このような情報は価値が高いです。入院先の担当者も何も情報がないところから眠剤を検討するより、前任者からの情報がある方が効率的かつ患者さんにとっても安全性の高い治療を提供することができます。
実際に例に出した文章をもとに病院薬剤師の先生が眠剤の提案を行なってくださったことで患者さんの不眠が改善したことがありました。

2)地域医療連携室にサマリーをFAXする

多くの場合、窓口は地域医療連携室です。
グーグルで「入院先医療機関名 地域医療連携室」で検索すれば電話番号・FAX番号が出てきます。

3)電話でFAXの到着を確認する

地域医療連携室に電話をかけます。
ここがトラブルの起こりがちなところです。
そもそも薬局薬剤師からサマリーを受け取ったことがない病院が多いため、丁寧に説明するよう心がけています。

3つポイントを挙げるとすれば
1つ目は自分が薬局の薬剤師だということを強調する。
2つ目は送ったものが治療経過を記載した書類だということを伝える。
3つ目はサマリーを薬剤部に渡してほしいということを強調する。
特に3つ目は重要なので、必ず言葉にして伝えるようにしましょう。

4)サマリーの原本を郵送する

FAXを送ることが出来たとしても、薬剤部の先生の手元に届かないケースがあります。その対策として、薬剤部宛に原本を郵送しています。かなり効果的なのでオススメします。

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ここまでFAXを使った共有方法をご紹介しましたが、ベストは実際に地域医療連携室に訪問をして手渡しすることです。顔の見える関係性が作れますし、薬剤部の先生に確実に届けられる方法です。

あくまで患者さんが入院中の治療をより安全に効果的に受けられることが目的です。情報共有の方法はこれに拘らずに試行していく必要があると思っています。

ぜひ皆さんが実践している方法も教えていただきたいです。

今日もありがとうございました!

いつも読んでくださりありがとうごさいます。みなさんが読んでくださることが活力になっています。