対人業務に取り組む中で工夫していること
今回はこれまでに僕が対人業務に取り組む中で効率的に業務を行うために講じてきた工夫をご紹介します。
別に特別なことは書いていないので、あまり期待しないで下さい笑
以前こちらで”対物から対人へ”シフトしていくと仕事にどのような変化が起こるか"について書きました。
薬を渡すまでの仕事だと、薬歴を書いてしまえば一旦完結します。
一方で渡した後をフォローすると、仕事の終わりが無くなります。少し極端かもしれませんが、患者さんが生きている限りフォローは続くのです。
薬歴や報告書に書く内容も、薬を渡すまでの作業の記録から、渡した後に(服薬後)患者さんにどういう変化が起こるかという未来の予測に変わります。
理想論として“対物から対人へ”を理解できたとしても、今抱えている対物業務を捨てるわけにはいかないので、なかなか一歩を踏み出しづらいのが現実です。
また、やみくもに飛び込んでみても過負荷となり疲弊してしまいます。
稀に何もかもをこなしてしまうスーパー薬剤師のような人もいますが、そのような仕事は属人的になり持続可能性は極めて低くなるため、中長期的には会社としても地域としても好ましくありません。
このような問題をクリアするためには今抱えている業務とこれから抱え込むであろう業務の整理が必要です。その方法は以前にもご紹介した薬局パートナー(非薬剤師スタッフ)とのタスクシフト/シェアが最も効果的ですが、それ以外にも工夫はできます。
今回はこれまでに僕が対人業務に取り組む中で効率的に業務を行うために講じてきた工夫をご紹介します。
改めて僕の使う“効率的”という言葉の用法を書いた過去記事をご紹介しておきます。
僕自身は今薬剤師として5年目で、1年目から在宅をメインに活動してきました。年々担当させてもらえる人数が増え、その節目節目で効率化に取り組んできました。(というよりそうせざるを得なかった)
ざっくりと担当人数の推移を書くと、約18人→約90名→約130名(ほぼ月4回訪問)というような感じです。
担当人数が増えるということは、当然ながら業務負担も増えていくわけです。幸福なことに、対物業務の多くは薬局パートナーが担当してくれていたために、僕に増えたのは主に患者さんに関する情報量とそれを処理する頭脳労働の負担でした。
60人くらいまでは、特に工夫しなくても対応できていたように思います。
患者さんのお名前とお顔、おおよその処方薬と主訴と経過が頭に入っている状態ですね。
90人を超えるあたりから、かなり無理がでてきたような記憶です。
かかりつけ薬剤師なんだから、患者さんの情報はすべて頭に入っているべきだ!という意見もあるかもしれませんが、最大効率的にサービスを提供しようと思うと、それは到底無理だと思います。
個人的には、スマホで調べられることは覚える必要がないと思っていますし、その記憶に費やすコストをもっとコアな対人業務に使うべきだとも思っています。
コアな対人業務というのは、患者さんの傍に行くことや、臨床推論、他職種・他の医療機関とのコミュニケーションや連携などですね。
さて、ここから具体的な工夫をご紹介していきます。
キーワードは「覚えることをやめる」ことでいかに「サービスの質を下げない(上げる)か」ということです。
①薬歴&報告書は訪問中に書く
処方内容、薬歴、報告書をすべてタブレット(iPad)で記録、管理しています。
訪問中に前回の薬歴と処方内容を確認し、同時に今回の薬歴&報告書を入力しています。
過去には訪問中に紙にメモを取り、後日薬局で薬歴入力を行っていました。僕のメモの取り方にも問題はあるのですが、この方法だと訪問から薬歴入力までタイムラグがあるためにかなりの情報が抜け落ちてしまいます。
また、メモを見ながら”思い出す”という行為は大きな脳疲労コストを支払います。
昨日の朝ごはんを思い出せと言われるのと、今食べてるものについて聞かれるのでは情報の正確性と脳疲労コストに大きな差がありますよね。
患者さんを診ることと記録を同時にこなすことは一見過負荷に思われるかもしれませんが、慣れてくるとこちらの方が効率的で疲れません。音声入力を併用してみても良いかもしれません。(Siriがおすすめです)
➁メールは受け取ったらその場で返信する(タスクを持ったままにしない)
とにかくメールを受け取ったら、その場で返信してしまいます。
過去には、メールを受け取っても「ふんふん・・またあとでや~ろう」という感じで処理していたのですが、①と同様に”あとで返信すること”を覚えておくことと”一度読んだメールをもう一度読む”というタスクが増えるために非効率です。
どうせ受け取ったときに一読するわけですから、その場でパパっと返信しています。ただし、通知されたくないものを徹底的にミュート・ブロックしておくことが前提です。
③会話、電話を減らす
日本人が一番集中できない場所はオフィスだそうです。
理由は11分に1回話しかけられる環境だからだとか・・。
話しかけられると思考が中断しますし、再開するときには中断したところから始められるわけではないですよね。
会話というのはお互いに時間を消費する行為ですし、電話は暴力的かつ一方的に相手の時間を奪いに行く行為なので最期の手段として取っておきます。
これはSNSやメッセンジャーアプリを活用することでかなり機会を減らすことができます。
店舗内(チーム内)のやり取りを医療用SNSで代替し、CLの医師や看護師とのやり取りは医療用メッセンジャーを使うと劇的に環境が改善しました。
患家や施設訪問中に受けた事務的連絡やOTCの発注は、連絡を受けたらその場で(覚える前に)チームに共有します。こうすることで抜け漏れも防げますし、チームの初動が早くなるために総合的に効率化が図れています。
使用しているアプリはDr.JOYとSignalです。
④Apple Watchのリマインド機能を活用する
これは余談なのですが、最近購入してみてかなり良い感じなのでご紹介します。
僕は特殊能力”~忘却の彼方へ~フォゲット・ザ・フォゲット”を保持しています。(TBSラジオ ハライチのターンより)
これまで、薬局パートナーさんに「先生、○○さんの鑑査お願いしますね。ここに置いておきます」とお声がけいただいても、「はいは~い」と言いながら99%忘却していました。
でもApple Watchで解決できています。
手首を持ち上げて口元に近づけると自動的にSiriが起動し、音声入力でリマインダーを設定しておくと、希望の時間に振動とテキストでリマインドしてくれるのです。
つまり、仕事をお願いされると同時に「15分後に鑑査をリマインド」とつぶやくだけで 特殊能力”~忘却の彼方へ~フォゲット・ザ・フォゲット” に対抗できるのです。
他にも以前、大量の検査値を適切に評価する方法をご紹介しています。
細かい工夫はまだまだあるのですが、今回はこれくらいで。
ありがとうございました😊
いつも読んでくださりありがとうごさいます。みなさんが読んでくださることが活力になっています。