【古典洋画】「黄金時代」

なんとルイス・ブニュエル作品がAmazonプライムで観れるなんて!小躍りしちまうぜ。

若い頃、ブニュエル監督は大好きで、video時代に、ソフトがあるものは全作品を観たものだった。

コレはブニュエルの2作目になる小品「黄金時代(L'Âge d'or)」(1930年)。

有名な「アンダルシアの犬」に続く作品で、同じく画家サルバドール・ダリと組んで作ったアヴァンギャルドな前衛映画である。

当時の超現実主義、シュールレアリズムをそのまんま表したような、わけのわからん幻想的で奇抜な内容。

「アンダルシアの犬」は短いので、ただショッキングな映像を楽しんでりゃよかったが、コレは一応ストーリーらしきものがある1時間の作品なので、さらに難解さが増すってもんだ。

サソリが絡む画で始まり、納屋での語らいと逃亡、岩場に集まる司教たちと、そこへ船で上陸する人々。
すぐに司教たちは骸骨になり、女に襲いかかるペンキで汚れた狂人。彼は連行されて、仔犬を蹴り、虫を踏み潰す。
城ではパーティが開かれており、ベッドには牛がいて、フロアには馬車が。
盲人を襲う狂人。トイレに入った女は男を見て、沸騰する泥(マグマ?)と水を流す音。
寄って来た少年を猟銃で撃つ男、泣いてる女と海藻のようになびくペーパー、目が潰れた紳士。
女が指揮者と浮気をして、怒った狂人はブチ切れて、窓から燃える大木や大司教、キリンなどを放り投げる……というような映像の連続だけど、狂人の男が女と愛し合うけど、様々な環境によって阻害されてしまうというようなストーリーかなぁ。

この作品から、いちいち比喩、暗喩、象徴を見出そうとしても無駄だと思う。ブニュエルとダリの奇抜な夢を一緒に楽しむというスタンスで観た方がよいだろう。

シュールかつアナーキーな不条理劇だと思うが、それだけではなく、ブニュエルの、反権力、反ファシズム、反社会、反キリスト教、そしてエロティシズムとフェティシズムを加えた反骨精神は充分伝わる。

この映画の内容に怒った右翼が映画館で爆弾を投げつける事件が起こってから、長らく公開禁止となってた作品だ。

そうそう、シュールレアリズムの画家マックス・エルンストも出演している。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。