【邦画】「パッチギ!」

井筒和幸監督の、2005年公開の作品「パッチギ!」。Amazonプライムにて。

ラストの、主人公が「イムジン河」を唄うところで、感動してウルウルと泣いちゃった。タイトルは、朝鮮語で“頭突き”の意。

コレは、60年代のフォークバンド、ザ・フォーク・クルセダーズのメンバーの1人の体験を基にしてるんだろう。

60年代後半、京都における高校2年生の男の子と、朝鮮高校に通う在日コリアンの少女との、初々しい恋を中心とした青春物語だな。

在日コリアンの少女キョンジャを演じたのが沢尻エリカ様。やっぱり、めっちゃカワイイし、表情も演技もとても素晴らしいね。

確か「ガキ帝国」にも描かれたけど、当時の朝鮮高校の生徒と、京都の高校生(空手部)は、道で会えば、すぐにケンカとなるくらい対立を深めていたんだね。そのケンカも、死ぬ寸前までやっちゃうくらいに激しいものだ。

そんな争い事の絶えない対立の中で、フツーの高校生の男の子が、先生に言われて、親善のためのサッカーの練習試合を申し込むために、恐々、朝鮮高校を訪れるのだが、そこで偶然、音楽室でフルートを奏でていた少女を見て、一目惚れするわけだ。

少女の兄は朝鮮高校の番長でもあったが、少年は、辞書を買って朝鮮語を覚え、楽器店でギターを買って、少女が奏でていた「イムジン河」を習得して、彼女の前で演奏することを決意するのだ。

少女を好きになる恋の力は凄まじい。

在日コリアンへの差別や排外、そして対立が描かれるけど、そういう政治的なものを超えた男の子の純粋な恋の物語は、胸キュンキュンで面白かった。悲惨なケンカもユーモアたっぷりに描かれるし。

前回観た「ウエスト・サイド・ストーリー」とは違って、2人の恋愛は、民族問題を超えて、一応、ハッピーエンドに描かれる。スピルバーグの映画と比べると、まだ許容・寛容性があるな。井筒版「ウエスト・サイド・ストーリー」かも。

在日コリアンや北朝鮮のこと、帰還事業、革共同・中核派の集会やデモ、ヒッピー文化、グループ・サウンズ、フォークのラジオ番組…当時の熱かった政治や文化も描かれる。

帝国の都合で左右された在日の人々は、日本社会とも完全に同化することはなく、一定の距離を保って、各地で共同体社会を築いていた。主人公の男の子が、在日コリアンの女の子への一途な恋をバネに、異なる文化への理解を深めて、いろいろと交流して学んでいく謙虚な姿は、拒否の姿勢や悲劇があったものの、最後の「イムジン河」の熱唱でピークとなるので、俺はメッチャ感動したのだ。

異なる者への理解は、まず壁を壊して歩み寄ることから、全てが始まるのだ。理想は。

だいたい、半島や大陸を攻撃する者は、一番日本を貶めているであろうアメリカに対しては従順で自ら家畜化していることをなんとも思ってないから笑っちゃう。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。