「精神破壊」

元妻を思い出す、ツラい本だったなぁ。

妻が、職場のストレスから鬱となり、ついに統合失調症を発症して入院、寛解状態に至るまでの、夫の視点からの記録。

何かを盗られたということから、夫の浮気・不倫を疑う、殺されると不安になる、組織に監視されてると怖がる…。

まともに対応すると、どんなに疲弊するかが痛いほどわかる。

俺の元妻もそうだった。ある日、家に帰ると、電気も付けずに真っ暗な部屋で座ってて、一点を見つめてボーッとしてた。
声をかけると、いきなり「ぎゃー!」っと大声を上げて、外に飛び出して行った。
慌てて追いかけたが、近くの交番に駆け込み、「あの人が私を殺そうとするんです!助けて!」と泣き叫ぶ。
事情を説明すると警官は「多分、精神錯乱ですね。早く病院に連れて行った方が良いですよ」とわかってくれて、なだめて家に連れて帰ったが、夜中にまた家を飛び出して行方不明になった。
程なくして、警察から連絡があって、彼女を迎えに行くと、「うー、うー」と獣のような声を出してうつむいてた。
そこから入院と退院、通院を繰り返すことになる。
薬で症状を抑えることはできても、完治はないから、常に、妄想に左右されることと、結果、何らかの問題を起こさないかの心配で、多大なストレスがかかり、俺もパニック障害を患うことになる。
元妻の実家が、統失に対して全く理解がなくて、何の助けにもならなかったので、“俺がなんとかする”と決意してから、関連書をたくさん読んで、一緒に病院に通い、関連の集まりやデイケアにも参加し、彼女をいろんなところへ連れ出したりして、必死に支えたが、妄想が完全に消えることはなくて、ちょっとでも心に負担がかかると症状が酷くなったりして、やはりダメだった。
俺も限界を感じてしまい救えなかった。
それで捨てた(東日本大地震の日)。

本に書かれた夫婦は、子供や両実家が支えてくれることもあるので、妄想と寛解を繰り返しながらも、なんとか日々の生活を送ってるようだ。

統失患者は、自我が崩壊してしまった状態なので、勝手に他人を自分と結び付けることで(ほとんど攻撃的なものとなるけど)、自我を探り出そうとする結果、妄想が生まれるのではないか。

後天的要素よりも、幼少期における母親との関係、先天的なことが原因となってることが多いと思う。

一度でも壊れた人間は、ほぼ一生、壊れたままであるのは仕方のないことだ。

人間の心はそれだけデリケートなものなのである。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。