【古典映画】「モダン・タイムス」

チャールズ・チャップリン監督・製作・脚本・作曲の代表作「モダン・タイムス(Modern Times)」(1936年)。半分サイレント、半分トーキーだな。

小学生の頃、泊まりに行った親戚の家でNHK放映で観たのを覚えているが、コメディとはいえ、哀しい物語だったのね。「1984」や「メトロポリス」を思い出した。

資本主義の黎明期に、人間の欲が上手く消費社会に取り込まれていく中で、労働者は歯車として搾取されるという、コミュニストが喜びそうな内容だけど、個人が失われ、機械の一部になってる様は、それこそ共産主義社会であろう。

工場の歯車の造形はとても美しいと思う。

工場の歯車に巻き込まれたり、自動給食マシーンの実験台にされたり、チャップリンのコミカルな動きは眼を離せないが、チャップリンとヒロインが、ボロボロの小屋で食事するシーンや、キャバレーで歌って踊るシーン、ラストの、手をつないで道を歩いてゆくシーンが妙にホッとする。

労働、つまり金のために人間を束縛する社会を風刺したのかもしれないが、じゃあ、人間はどこに向かって歩いて行けばいいのだろう?

とにかく、なんでも金が全ての社会だからこそ、人間性やその技にホッと息をつけるのだ。自由がないからこそ、自由に憧れるのだ。

理不尽な社会を否定してはならない。理不尽だからこそ、映画も含む表現が生まれるのだ。

諦めなければきっと道は開けるという人間に肯定的な描き方はチャップリンらしいと思うが。

このヒロインは後にチャップリンのパートナー(事実婚)となる女性だ。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。