「分裂病の少女の手記」

法大出版局じゃなく、みすず書房だったかぁ。

精神分裂病(今は統合失調症)となったルネというドイツの少女が体験した症状の数々を、後に、本人が綴ったものだ。治療者であるセシュエー女史が、ルネの羅病及び回復過程を心理学的に分析・説明もしている。

元カミさんが、酷い統失で、ものすごい苦労を強いられていた(俺もストレスからパニ障になった)時に読んだと思う。

ルネは5歳の時、学校などで、目の前で起こる出来事が、決して現実ではないとの思いを持つことから始まる。そこから長い間、時折、襲ってくる非現実感と闘うことになる。

統失は、いわば自我の疾患だから、彼女自身の内部にある、生きるための様々なエネルギーが失われている状態なのだ。

まだ幼いルネは当然、母親に依存する形を取るが、母親自体を現実の社会的存在として認識できない。

そして、壊れた自我は、ついに、現実との境界を失うことになる。幻聴・幻覚・妄想の出現である。

統失患者のほとんどが経験する“組織”の出番となる。ルネは、組織の傘下に入って、組織が命令を下し、彼女の行動の全てをコントロールすることになる。

でも、ルネは、そこでもう一度、母親の胎内に戻って再生を図るか、最終的決断の自己破壊、つまりは自殺を試みるかを迫られていく。幸い、彼女は、前者を試みる(実際には、お人形エゼキエルを世話する)。お人形を世話する(つもり)ことと、現実的な食事への欲求が象徴的に実現されたおかげで、徐々に現実界に復帰を果たすのだ。

確か、統失は、ハッキリとした要因はまだわかってないと思うが、やはり幼少期における母親との関係に大きな要因があると俺は思う。ネグレクトや虐待、愛情不足など、母親との関係がこじれてしまうと、自我が正常に育たずに、一生、脳がバグったままで終わることになるのだ。

一旦、壊れた自我は、クスリで寛解することも可能だが、統失の症状に完治はない。

ルネの母親も、家庭自体が問題があったために、ルネに対して攻撃的な態度を取り、後に生まれた妹の世話に夢中になって、ルネに対してはネグレクト状態だったという。

「乳幼児期に生命的欲求を満足させることができなかったために、ルネはどうしても現実に適応することができなくなった。青年期に近づくとともに、彼女は外的世界の複雑性を受け入れられず、より下級な小児的な発達段階に退行してしまった。この自我の退行の最初の徴候は、大きな不安を与えた現実知覚の異常であった。この現実の喪失は、妄想と幻覚の形成に利用されることになった」

興味深い内容ではあるが、昔を思い出して辛かった。

人間は、乳幼児期の親(特に母親)との関係が、如何に大切かがよくわかる。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。