【邦画】「旅の重さ」

1972(昭和47)年の、高橋洋子主演の「旅の重さ」。監督は斎藤耕一。

家出をして、独りで、真夏の四国遍路の旅に出た16歳の少女を描くロードムービー。原作は素九鬼子の小説。

高橋洋子はもちろん、自殺する文学少女の役の秋吉久美子のデビュー作でもある。

耳に残る“♩今日まで生きてみました🎵”という吉田拓郎の歌が主題歌。

すでに半世紀以上も前の映画であるが、自分探しと現実と純な欲が交差する、いかにも70年代風って感じがする。

家に好きな男を引き込むママ(岸田京子)との生活にイヤ気がさして、独りで突然、四国遍路の旅に出た少女が、同じく遍路を歩く人々や地元の住民、旅芝居の一座とレズビアンの座員、心を通わせる同世代の文学少女、そして、魚の行商をしている無口な中年男(高橋悦史)と出会い、交流する中で、自分と自分の生き方を模索するといった内容。

とにかく、若い高橋洋子の、ヌードも交じる瑞々しい姿が眩しい。時には、何も知らないコドモであって、男を引き寄せる自覚なきエロスを持ち、周りが戸惑うラジカルな感情の持ち主であり…揺れ動く少女の心情が、ママに書く手紙といった形で、モノローグ風に吐露される。

疲れと栄養失調による病気で行き倒れとなっていた少女を救ったのは、魚の行商人である真面目で無口な中年男。少女は最初、彼に、失った父親の姿を見ていたが、無理矢理、生活を共にする中で、夫となる男性として意識するようになる。そして、彼の仕事を手伝って、夫婦同然となるところで幕。

もしや俺にもこんな出会いが…と期待はさせたが、この終わり方はちょっと不満だなぁ。世俗の女にならずに少女のままでいてほしかったかも(笑)。

高橋洋子と主役の座を争ったという秋吉久美子もチョイ役だけど魅力的だ。

少女ばかりじゃなく、四国の真夏の自然の風景も素晴らしい。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。