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2022年9月14日~19日 最近のこと&読んだ小説のちょっとした感想

最近のこと

台風が過ぎ去っていった。幸い家には被害はなかったものの、夜は眠れなかった。この前の台風の時は一時停電したが、今回は幸いしなかった。あと机の上に直近で読みたい小説を目に入るように置くようになった。こうすれば読書の気力も湧いてくる……はず。

最近読んだ小説の感想

・デイヴィッド・ヘスカ・ワンブリ・ワイデン『喪失の冬を刻む』 吉野弘人 訳
今時珍しい直球の私立探偵小説(ハードボイルド小説)だが、今現在書かれるべきそれだと思う。というか、ハードボイルド小説が現代を時代についていけるように生き残っていくには本書のような方向性が必要なのだと感じる。ただ、ネタばらしになるので詳しくは書けないが、最後に二項対立を残してしまうのはどうなのだろう。そこが惜しいと思った。

・アンソニー・ホロヴィッツ『殺しへのライン』 山田蘭 訳
伏線の張り方がうまいと思った。謎の解かれ方はまさにアガサ・クリスティーばり(流石に彼女の往年の名作クラスではないと思うが)。あの手がかりから真相を巧みに隠す手腕はすごいと感じる。久々に「本格ミステリを読んだ」という気分にひたることができた作品だった。

・マイクル・Z・リューイン『父親たちにまつわる疑問』 武藤陽生 訳
まず依頼を直接的間接的に持ち込んでくるキャラクターの造形がユニークだと思った。宇宙人の父と地球人の母のハーフだと思い込んでいる青年(早熟な天才の名前にあやかって頻繁に改名する)という、一種の「はみだしもの」に、「はみだしもの」の自覚のある主人公がある意味で共感するという描写が良い。中編が四つ収録されたハードボイルド小説であるが、最後の一編以外殺人事件は起こらない。そして最後の一編は思わず涙腺がゆるくなってしまう作品だった。

・リチャード・レヴィンソン&ウィリアム・リンク『突然の奈落』 後藤安彦他 訳
おおよそ60年代のアメリカ短編ミステリ黄金時代に書かれた作品を集めた作品集。こういう気楽に二時間程度で読めて十分楽しめる「普段使いの翻訳ミステリ」が定期的に読めれば幸せだと思う。

・マイケル・スレイド『斬首人の復讐』 夏来健次 訳
スレイドは読者サービス精神にあふれた作家なのだと思う。それゆえ、作品の何もかもが過剰気味になってしまうのではないか。基本的に常軌を逸した展開と描写なのだが、このクセのある感じが「スレイド作品を読んでいる」快感を覚えさせて良い。一作目『ヘッドハンター』の正式な続編であるため、未読の方は『ヘッドハンター』を読んでからこの作品に取り掛かった方が十全に楽しめると思う。

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