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2022年10月31日~11月11日 ここ十日間ちょっとのこと

最近は調子はそれなりに安定している。ただ、フィクション(小説など)を摂取する気力がなく、エッセイや評論ばかりをあれこれ拾い読みしている。車であちこち出かけることも多く、目が疲れる。先週は大学のサークルの友人が福岡に遊びに来て、福岡在住の友人と一緒に飲みに行った。あと本棚の整理をした。お気に入りの著者の小説を色々並び替えたり、移動させたりして、なかなかどうして良い本棚になったと思う。以前友人がこぼしていた、「なんでこんなに自分好みの本がたくさんあるのに読み切れてないんだろうな……」という言葉を思い出す。あと、やはり手元に置く本を気に入ったものに大体厳選しているため、「なんて自分好みの小説がたくさんある本棚なんだろう……!」という訳の分からない感慨にも(自己満足にも)ふけった。新しく隣の市の図書館の利用者カードを作った。「これは読みたい」と思った本があったからだが、館内を回っていると『エドワード・バンカー自伝』を見つけ思わず借りてしまう。エドワード・バンカー、好きなんですよ……。車で20分ほどとそれなりに時間がかかるものの、海外文学を含め良い本がたくさん置いてあるなぁ、と感じた。

『日本ハードボイルド全集5 結城昌治』の霜月蒼さんの解説が素晴らしいと思った。結城昌治の執筆姿勢や作品の良さに触れつつ、「良いハードボイルド小説とはどういうものか」について示唆に富むものになっている。霜月さんの書かれる解説はどれもすごく好きなので、ひいき目かもしれないが素晴らしいと思った。霜月さんの書かれたものでおすすめしたいのは、ジム・トンプスン『死ぬほどいい女』の解説である。入手が困難な作品ではあるけれど……。同著者の『アガサ・クリスティー完全攻略』も読みたい小説が一気に増える大変良いガイドブックなので、機会があればどうぞ。

依然として田中小実昌のエッセイや関連本を読んでいる。自分の感性へのなじみ方が尋常ではない。やはりコミさんは稀有なお人だったのだな……と感じる次第だが、ひらがなを多用し、テーマはあるものの話に本筋があまりなくあちこちに話題が飛ぶ文章は、なじむ人となじまない人に分かれるのかな……とも思った。ただ、友人がこぼした「田中小実昌は知らない人か好きな人しかいないでしょ」という言葉も「それはそう」となったので、より多くの人に魅力に気づいていただきたい……と考えつつ。翻訳も素晴らしいが、新刊書店ですぐに手に入れられるものがパッと思いつかない。カーター・ブラウンやレイモンド・チャンドラーの翻訳はすごいと思うが、古本屋さんにあったらラッキーだね……と言った感じなので。古本屋さんで田中小実昌訳のポケミスなどを見つけられたら、ぜひ読んでいただきたいものだなぁ。


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