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日本語が美しい曲3選 其の壱

僕は日本語が好きです。

熟語や語尾一つとってもその時その瞬間に
そうとしか言い表せられない感情や感覚、
その言葉の持つ雰囲気、意味合いの微々たる違い、
響きなどを組み合わせて作られる、
とても高度で尚且つ、人柄がよく表れる言語だと思っています。

そんな中でも、特に日本語特有の色気や艶を感じる曲であったり、
その人独自の拘りを感じる曲であったり、韻の踏み方の秀逸さであったり
斬新で面白かったり、感動した曲を紹介していこうと思います。

限りなく沢山出てくると思うので三曲ずつ、
今回が第一弾となります。

東京事変 - 緑酒

”次世代へ ただ真っ当に生きろと言い放てる時
遂に祝う その一口ぞ青々と
自由たる香り さぞ染み入る事だろう
伝う汗と涙が報われて欲しい 皆の衆”

はい、まずはこの一曲です。東京事変。
椎名林檎さんは日本語に拘った歌詞で語ると避けては通れない存在だと思います。
曲名「緑酒」と書いて「りょくしゅ」と読むそうです。

昨年3月30日にリリースされた曲で、
実を言うと久しぶりに椎名林檎さんの声、新曲を聴きました。
そして改めて流石だな、と感銘を受けた一曲です。
こんなに詰めた内容、物量で成立してしまう凄さ
そして誰にでも聴きやすくしてしまうメロディーセンス。
日本人から見てもあぁ、日本の伝統文化って
凛としていて美しいなと感じさせられるMV。

確固たる地位を築いた日本の歌姫、大スターである今も尚、
こんなにも庶民的な視点で鋭く切り込んだ歌詞を書ける感性、
この世に生きるすべての人へのエールを感じる一曲です。

椿屋四重奏 - 手つかずの世界

”次の迎えを待つのは野暮だと心得ていた
いずれにせよあなた以外に望みはないから
構わずに構わずに話を続けてよ”

2000年に結成され、2011年に惜しくも解散した”艶ロック”とも称される
日本独自のスタイルを成立させ、現在の若い世代にも根強くファンが増え続ける
伝説のバンド、椿屋四重奏(つばきやしじゅうそう)。

ボーカルの中田裕二さんは現在ソロ活動されていますが、
男性歌手で色気においては中々敵う方がいないのではないか、と感じます。
言葉選びのセンス、表現力、もはやエロ大喜利では?と感じさせる内容でも
それを決して厭らしくなく魅せる独自の歌い方、
筆者が日本語ってこんなに格好良いんだと気付かされた存在です。

その中でも昔からお気に入りな一曲。
切なくも人を想う強さや意地のような気持ちを巧妙に表した一曲。


Nao'ymt - Sunrise(Reinterpreted)

”擦り切れた過去をまとい
見せかけの縁に戸惑い
欲しいものはひとつだけなのに
たったひとつだけなのに”

数多くのアーティストの作品を手掛ける音楽プロデューサーでもあり、
長年のキャリアで名曲を残し続けてきたNao'ymt(ナオワイエムティー)さん。
筆者が中学生だった頃、「真之介 - Your Place」という曲を聴いた時は
こんなにも日本語でR&Bが成り立つのかと
まだまだ恋愛経験もないような年齢ながら衝撃を受けた思い出があります。(笑)

提供曲でも大好きな曲は沢山ありますが、
Nao'ymtさん個人名義で発表している曲が、
より哲学的というか難解で控えめというか、
それでいてトラックも歌声も詞も全てが美しく、
リリースの度に必ずチェックしている方です。

なんといっても音と歌声の心地良さと、詞の秀逸過ぎる押韻です。
「圧縮する音」「排水口」などあまり歌詞に使われないような言葉でも
想像力を膨らませられ、大切な部分はシンプルな言葉で心に響く。
身震いする程研ぎ澄まされた感受性で独自の世界観を感じさせられます。
内省的で心の中の葛藤や情景、純度の高さに持っていかれる一曲。


今回はこの三曲、丁寧かつ艶のある日本語を扱う
個人的にはレジェンドのような方々、三組という感じになりました。
今回挙げた曲以外にも素晴らしい曲ばかりの方達なので
是非気になった方はチェックしてみて下さい。

他にもお勧めの曲など御座いましたら
是非コメントまで頂けると幸いです。

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