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ダイヤモンドリーグ観戦④

十種競技者の村中智彦です。

今回は

**④エンターテインメントとしての陸上競技 **

についてです。

前の投稿記事をご覧になられていない方は

『ダイヤモンドリーグ観戦①』

『ダイヤモンドリーグ観戦②』

ぜひご覧ください。


今回の会場である
Stadion Letzigrundは
陸上競技の観客収容人数は30,000人。
その会場のチケットが完売してたということなので本当に陸上が人気スポーツである事が分かります。
「ヨーロッパでは陸上はメジャースポーツで〜」などと聞いてきましたし、何となくそれは分かっていたのですが、実際に会場に入って体感できたのは良かったです。

僕の席は100mスタートの真後ろ最上席で、全体的に見渡せることができるとても良い席でした。

とりあえずスタンディングオベーション

あの会場にいた人達はずっと座り続けて観ることはなく、選手の動きに合わせて、立って惜しみ無い拍手を送ります。

拍手には鼓舞する意味や尊敬の念、感謝の気持ちが含まれているように感じられました。

それは観ていてとても清々しく
僕も日本ではやったことはありませんでしたが、立って拍手を送りました。

とても清々しい気分になりました。

その様な選手と観客のえも言われぬ一体感は
ずっとそこで観ていたくなる心地よさでした。

もう一歩進んで考えなければいけないのは

僕が今まで観てきた陸上の試合と、
この会場で観たものは何が違うのかという事。

僕は単純に文化の違いだと思いました。

どうしようもないこと言って申し訳ありません。
でも、決してネガティブな意見ではありませんので。

何故そう思ったかを説明します。

まず、親子連れが圧倒的に多かったこと。
さらに試合が平日夕方からということもあり、
お父さんもお母さんも早々にお仕事を切り上げて観に来ていたのではないでしょうか。
ワークライフバランスが確りと取れている証だと思います(仕事<家族の文化)

「お父さん残業があって行けねぇ!許せ息子よ!」
なんてなればチケットも沢山余っていた筈ですからね。
そんな親の姿を見て育った子供が大人になって自分の子供を連れて陸上の試合を観に行くのは必然なのではないかと思います。(家族や友達とスポーツを観戦して過ごす文化)

もちろん日本にこの様な文化が無い訳ではありません。
親子でプロ野球観戦なんてよくあるイベントですしね。
しかし、こと陸上競技においては少数であることは間違いないと思います。

重要なのは、陸上競技が観に行きたいと思える
人が求めてくれるスポーツであるのかということ。
そこで題名にもある様に、
エンターテインメントとしての陸上競技、
文化の違い、という両面からも考えて行きたいと思います。

僕があの会場で観ていたものは陸上競技の試合ですが、1つの映画や演劇の様な…表現が合っているかは分かりませんが、つまりは陸上競技を超越したエンターテインメントを観ていたと思います。

エンターテインメントは娯楽です。

スポーツも遊びであり娯楽です。

その遊びを極めて仕事として成立させている
人達を観ているのだから面白いに決まっています。
その面白さが人から求められているから観客は集まるし(僕も日本からわざわざ観に行きましたし)、それが食べて行けるスポーツとして成り立っているのだと思います。

何かで見たのですが、武井壮さんは物事は何が価値を生むのかと言うと「人が求める数」だと仰っていました。その予備知識もあったので、ダイヤモンドリーグを観ていて、
あぁこのことなのかと理解しました。

もちろん選手のパフォーマンスがあり
それを支える素晴らしい大会運営もあり
これら2つが合わさってエンターテインメントになり、
人に求められているのだと思います。

陸上競技をそういったスポーツ文化として
発展させて来た方々を尊敬します。

僕が言うのはおこがましいですが
日本ではこれからだと思います。

関東インカレも年間のリーグ戦とかにしたら
面白いかもしれません。


試合が終わった後、
衝撃的なことがありました。

リーグ戦のファイナルの試合でしたので
closing ceremonyがありました。

年間チャンピオンが表彰され
高級車に乗ってトラックを一周しました。

そして会場が暗くなり手渡されたペンライトを皆が灯し
(俺はなぜか持ってなかった。皆んなどこで手に入れたの。)

ライブが始まりました。

凄くいい感じの曲でしたが途中で気が付きました。


Noah Lyles先輩が歌っているやないかい!と。


いや、もう衝撃でした。

さっき100mを9″98で駆け抜け
年間チャンピオンになった選手が

めちゃイケイケな曲を披露しているんですもん。

後日詳しく調べて

Baba shrimpsという音楽グループと
アメリカの女子ポール選手Sandi Morris
同じくアメリカの短距離選手Noah Lyles
の2人がフィーチャリングして
この日の為に楽曲を作り練習して来て
披露したということでした。

足も速くて、高く跳べて、
めっちゃイケてるラップかませて
綺麗な歌声を30,000人の前で披露できるって…

日本で言ったら
米津玄師さんと、どなたか陸上選手が
コラボしちゃうみたいな感じでしょうか。

でも本当に実現したら
翌朝の報道番組で喝を貼られそうですね。

なぜなら、文化が違うから。

アスリートは競技だけに集中しなければいけないという
世間からの目や暗黙のルールがあるからです。
僕はそうは思わないし、

アーティストとコラボするのもまじめにありだと思います。

競技力が一番大事なのは当たり前で
そこに今回の様なパフォーマンスが
加わったら無双状態になります。
別にそれが音楽じゃなくたって良い。

まさに彼らはエンターテイナーでした。

日本でも
そんな選手と運営力が合わさり
人から求められる試合をつくれた時に
陸上競技がメジャースポーツとなると思います。


本当に貴重な体験をして来ました。
開催国が異なれば試合の雰囲気も異なるとは思います。
今後、違う国でのDLも観に行けたらいいと思います。

また、今回DLを観戦するにあたり
相談に乗っていただいた大西さん、林田さん、
現地でお世話になった林田さんの弟さん、皆さんのお陰もあり、経験できたことだと思います。
この場をお借りしてお礼を申し上げ、感謝の意を表します。

何人の方に見られているかは分かりませんが、僕が見てきた事実と、
浅はかではありますが考えたことを合わせてまとめさせて頂きました。

ここまで見ていただきまして
ありがとうございました。

それではエンディングとしてお聴き下さい。
Baba Shrimps feat.
Sandy Morris&Noah Lylesで、
"Souvenir"


十種競技 村中智彦


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