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サッカー選手が英語習得で大事にする3つのこと(その前に日本語力が大事)

「英語ができるようになりたい。なにを勉強したらよいか?」

プロサッカー選手や大学生から相談を受けることがここ数年増えていて、その度に次のように答えてきた。

「とりあえずオンライン英会話。
   まじで一択。毎日やるべき。
    毎日30分。年間7万円くらい。頑張ろう!」 

100人くらいのサッカー青年に対してそのように伝えてきたが、
本当に二年間ほど続けた男が一人いた。

高橋壮也(現在スウェーデン2部 ウメオFC所属)

二年間、雨にも負けず誘惑にも負けずにもやったそうだ。これぞ努力。動画では、ちょっとかっこつけているところがかわいい。

先輩とのご飯でも30分間ほどトイレに行き、フィリピンの先生とフリートークを話していたという話は、狂気を感じられて好きだ。まさに継続は力なり。

「それなりの英語(言いたいことが中学生文法で言えるレベル)にするためにはとにかくアウトプットを増やしたほうがいい。そして同じものを繰り返すこと。英語教材で勉強したほうがよいが、その割合は極端にいえばインプット1:アウトプット9で良い。(異論は認める)

まじで英語はアウトプット増やそう。それだけ伝われば、今日のこのあとの文章は読まなくてもよい。笑

あとは余談だ。笑
サッカー選手が海外で活躍するための語学習得について必要に思うことを、これまで出会ったきた選手などから聞いた話をまとめてみたので、今から10分ほど時間がある人は読んでみてください。

※下記にあてはまりそうな人は読まないこと推奨。
ー ポケトークみたいな自動翻訳ができるから、英語は学ぶ必要はないだろうとかいう人 (5-10年後くらいになるかもしれないけれど、相談を受けている選手に10年待てとは言えないっす)
ー いまから数年後、英語を使う機会が想像できない人
ー バイリンガル並みの完璧な発音、文法を求めてる方

さて、英語ができればサッカー選手として成功できるのか?

答えはノー。一番大事なことは、選手としての質というか結果。

今から10年ほど前、ドルトムントで無双していたあの頃の香川には語学はいらなかったと思う。ドイツの筋肉マンたちが香川に指一本触れることができなったし、今Youtubeで観ても軽やかなダンスのようにDFをすり抜けていく動きは惚れ惚れする。

サッカー選手の仕事は試合に勝利すること、個人としての結果を出すこと。筋トレ自体が最終目標にならないように、語学学習が目的になることはない。

語学を学ぶということは、試合への準備である。寝る、練習する、食べる、休む、筋トレ、マッサージ、分析の中のひとつでしかない。

では、育成年代において英語だけすればいいのか?
いや、日本語の方が圧倒的に大事。高校3年生まで日本で育ったとすれば、日本語で考える時間がほとんどなので、母国語で思考して解決策をを見出す力を大切にしたほうがよい。

今まで出会ってきた海外組のサッカー選手は日本語での会話がうまい。
自分なりの考えというか方針を整理できている(自分の軸がある)
物腰が柔らかく、人の意見も聞ける(貪欲に吸収している)
努力を実行して繰り返しできる(継続できている)

というわけで、日本語>英語という結論なのだけれど、日本サッカーが発展するためには、内に籠ることと外に開くことを両立させていくことが大事。

日本オリジナルも作った方がいいし、ヨーロッパや南米で進んでいるものは取り入れたほうがいい。そのためには選手だけなくて、指導者もクラブスタッフも日本語で試行錯誤し英語でコミュニケーションを続けてほしい。

本題。語学を学ぶ上で大事なこととは?

高校時代までの外国語教育の方針は文科省が決めている。

官僚エリートたちが制度を作っている。高校時代の英語の勉強はセンター試験や定期テストなどの受験勉強を想定しているので、文法問題、長文問題、リスニング問題、単語問題、作文問題と点数のつけ方がわかりやすいものになっている。

会話の出来具合いは点数にしずらいし、なんせ手間がかかりすぎる。
なのでこれまでほとんど会話のテストはなかった。

会話の力が欠如してしまうのは仕方がないのだ。英語の先生に責任はない。(今まさしくスピーキングテストをやるかやらないでもめているようだ)

では、中高の勉強をせずに他の勉強をしたらよいのですか?と思うかもしれないけれど、 ぜひとも学校の勉強を真剣にやったほうがよい。

日本の中高で英語を学べば読み書きに関してはある程度の力がつく。名古屋グランパス在籍時、吉田麻也は「その日に勉強した英語のフレーズを、当時のFWであるヨンセンに毎日試していた」ことで、その英語を自分のものにしていたようである。

まさしくインプットしてすぐにアウトプットの形を実行している。

※あの頃の授業はまるで覚えていないという方は、be動詞からはじめるしかない。勉強方法はまた違う回でここにリンクを貼ります。

海外組になり、語学習得で大事な3つな点は?

1 ひるまないこと (恥ずかしいを捨てて)
2 日々勉強             (筋トレ)
3 環境に馴染む    (カメレオン?)

1  ひるまないこと (恥ずかしさを捨てて)

「サッカーの話なので監督が言いたいことはだいたい理解できている。今の英語の実力では伝わらないのではないか。とりあえず誰かが反応するまで黙っておこうかな」と怯んでしまう語学留学生の話をよく聞いた。

日本社会では忖度とか空気を読むことが大事かもしれない。みんなの前で、でしゃばらないこと、なるべく注目を浴びないほうが、日本のなかでは生きやすいのかもしれない。

しかしながら、それでは多国籍軍のチームに溶け込むことは難しい。プレミアリーグでは移籍をするとチーム合流初日に自己紹介をかねて一曲アカペラで歌わければならないそうだ。

冨安がボローニャ加入一日目にチームメイトを前にしてダンスをしていた。
周りのチームメイトとスタッフがちゃかして盛り上がっていた。この動画を見た時点からイタリアでの冨安の成功を勝手に確信していた。 

 そう、いわゆるバイブスが必要なのだ。

ちなみに、この自己紹介の一発芸披露の場面で外国人選手でも恥ずかしがってひるんでしまう選手もいるようだ。

そこでのパフォーマンスが芳しくない選手は、ピッチ上でもやはり自己主張がうまくないようだ。反対にめちゃくちゃ盛り上げる選手が加入してきた場合は、こいつにポジションを奪われるかもしれないなと警戒心につながるようだ。

もちろん例外もある。中田英寿は絶対にこういったノリを無視してきた。なぜ彼がイタリアでバイブス抜きで成功できたのかはまた別の機会に考察したい。

英語を母国語としない監督たちが現代の巨匠
10代後半から20代前半に新しい言語に挑戦することは選手や監督としてもサッカー選手としてのキャリアの可能性を広げることになる。

モウリーニョなどは5ヶ国以上の言語を操る。元アーセナルのヴェンゲル監督も「若い頃にひとつの言語を習得すれば、その次の言語は非常にスムーズに学ぶことはできる」とその重要性を語っている。

そして、モウリーニョ、ペップ、クロップ、アンチェロッティなど現代の巨匠の監督たちもお世辞にも完璧な発音などはしていない。放棄していると思う。発音よりもサッカーの戦術の方を語るほうが本質だから。

イタリア人監督はものすごくイタリア語訛りだし、ベンゲルもフランス語まなりの英語である。サッカー界では、発音はそこまで心配しなくていいのだ。ジャパニーズイングリッシュで自信をなくす必要はない。

けれどもそれよりも大事なのは、試合に勝つためにチームメイトや相手選手と喧嘩して負けない程度の発言力が必要だろう。

2 日々勉強 (筋トレのようにトレーニングをしよう)**

語学習得は一朝一夕ではない。日々勉強とは筋トレのようなものである。筋トレをしているのは本番の試合で活かすためであり、勉強したフレーズを発して相手に伝える環境を作りたい。だから何度も言う、オンライン英会話をはじめてみよう!

「相手の言っていることは大体わかるんだよねえ。けど、いざ話すとなると全然あんまり話せない」という人の英語のリスニング力を僕はあまり信じていない。自分が発音できない単語は、相手がその単語を発してもうまく聞き取れない。これは、日本語話者がRとLの発音がうまくできないのと、聞き取りができないことでわかってもらえるだろう。

逆説的に聞こえるかもしれないけれど、話せないと聞こえてこない。

ここではじめて僕自身の話になるけれど、現在Jリーグのサッカー選手に対して、サッカーオンライン英会話をはじめて3ヶ月が経過している。今後はnoteで実際にどんな内容で授業を進めているかを公開予定。

3 環境に馴染む (カメレオンになる必要)**

海外移籍に向けてせっかく日本で準備万端としても移籍先の環境に馴染めなれければ結果はでない。適応していく力とは、語学だけでないが、馴染んで活躍するためには語学は非常に生きてくる。

以前取材したことがあるQPRの育成のプロであるクリス・ラムジーは環境に適応ということをカメレオンという言葉で表現していた。

「選手にはカメレオンのような適応能力を求めている。プレミアリーグの監督の在籍期間は非常に短い。たったの1,1シーズンで監督が入れ替わる。その度に、サッカーの方向性も大きく入れ替わる。我々(QPR)はバルセロナではない。ユースからトップまでの戦い方が繋がるのは理想形であるが、我々は一つの戦術にこだわるのはでなく、個人の選手としてどのように適応して生き残れるかを意識している。どの監督でも認めれてくる長所をもつ選手を育てることが大事である。」

今でもイタリア、ペルージャの中心街を歩けば、中田英寿の逸話を街の人から聞くことができる。

ファンの一人が近寄ってくる。「ヒデがすごいのは、この街にすぐに馴染みペルージャの方言を流暢に喋っていたことだ」といまだにクラブのレジェンドとして愛されていることが伝わってくる。

オフの日は街を歩き、食生活などその土地の習慣や人々に馴染むことも重要だろう。日本との違いに苛立つのではなく、それを楽しめるくらいの心の余裕とたくましさが必要だ。

昨年のマジョルカ久保のインタビューでも、

カメレオンという言葉は好きじゃないけれど、チームのやり方に適応することはしなければならない、このチームの方向性はこうだから、今はこのプレーを選択したほうがチームはよりよくなる。カメレオンになりながらも、自分の武器を生かしたい。

上記の働きかたをカメレオンと自らの経験からそう例えていた。プロ選手とし、FC東京、マリノス、マジョルカにすでに3チームに順応している。末恐ろしい10代だなと思う。

結論:
語学を習得すればサッカー面で成功するとは限らない。

けれども人々の記憶に残るほどの成功をするための条件に、環境に適応するために語学習得が含まれることは確かだ。

カズがイタリアのジェノアに移籍してから約25年が過ぎる。その間に海外挑戦をしてきた日本人サッカー選手は、ウィキペディアをみるとこんなにいるかと驚く。

この中で数少ない成功と、多くの海外移籍失敗を我々は目にしてきた。

実力が足りない、監督に好かれない、お金の問題など、失敗の理由はいろいろあるだろうけれど、少なくても今後海外挑戦する選手には語学でつまづいてほしくない。

久保世代以降へ向けて、語学を学びたいという選手に対してよりよい言語的なサポートができればと思いnoteを開始した次第です。

ツイッターでも「サッカーx英語」について更新してるからフォローしていただけたら嬉しいです。


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