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内向的な人間は海外MBAにお呼びではないのか

海外MBAというとリーダーシップ、ネットワーキングといったキーワードとは切り離すことができません。

そうすると、内向的な人間はお呼びでないのでしょうか。

何を隠そう、私は内向的な人間という自覚があります。

最近、LinkedInの学習コースで、"Managing Your Career as an Introvert"(内向的な人間がキャリアをどのように形作っていくべきか)という以下のコースを修了しました。

海外MBAについて直接言及したものではありませんが、内向的な人間としての私が日頃から意識している点を言語化しまとめ直してくれていて、そして私のような人間でもうまくやっていく術がある、という励ましに満ちたコンテンツでした。

ちなみに、LinkedInのこのコーナーの英語版は、今の英語レベルにも依りますが、英語の勉強にも多少使えるかもしれないコンテンツが多いです。

コンテンツの中からいくつかポイントをピックアップしていきたいと思います。


内向的であることを理解してもらう

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職場の同僚など周りに内向的であることを理解してもらうことが重要と指摘がありました。

内向的な人間と外向的な人間の決定的な違いは、大勢で長時間一緒にいてエネルギーが吸い取られるか補充されるか、で、私は明確に前者です。

ですので、そういう環境を必ずしも好みません。

その気質を秘めていることを周りに理解してもらわないと、ただの付き合いの悪いやつと思われかねないので、その誤解を避けるためにできる行動の1つが、内向的であるということ自体の発信です。

入学審査チームの同僚のうち古参のメンバーは私の気質を理解していると確信がありますが、そうでないメンバーにまで理解されているかというと確信がありませんでした。

したがって、LinkedInの学習コーナーには色々有用なコンテンツがあって週に30分強程度時間を使う価値があるという点と私にとっては特に前述のコースが目から鱗だったという点を、Microsoft Teamsのチームチャットで早速共有し、さりげなく自分が内向的であるというリマインドとしても送りました。


少人数のコミュニケーションは苦にしない

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内向的な性格だと、大人数の長時間のパーティーは苦しいけれど、少人数のコミュニケーションは苦にせず、いわば「狭く深い」コミュニケーションは得意なことが多いと指摘がありました。

私もまさにその通りです。

私の仕事はとにかくたくさんの人とお話しすることが多いのですが、そのうち相当数が1対1で、不思議とこれは全く苦になりません。

5人以上の飲み会などに行くと、言語に関係なく、私の口数は急に高い確率でメンバー中で最小となりますが、1対1や4人以下だと、バランスをとった上で比較的饒舌になれます。

私は新型コロナウィルス以前からリモート型中心の働き方なので実際の場面としてはやや想定しづらいです。

但し、例えば同僚の一人の誕生日を祝うための大人数・長時間のパーティーには行きたくないと思うけれども、その人を別途1対1で機会を設ける形でお誘いをして祝ってあげたいとは普通に思い実行に移すことができます。

実際に内向的な人間にとってはそういったコミュニケーションがこのコースでは推奨されていました。

関連して、新しく職場に入ってきた同僚のメンターもリモート環境であっても積極的に引き受けるようにしていますし、元々のマメな性格もあいまって、面倒見は良い方だと思います。


自分が話題の中心になりやすい環境に身を置く

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例外的に大人数であっても苦になりにくい可能性のある環境として、自分が話題を提供する中心になりやすい環境があると指摘がありました。

実際、私は50人以上の前で英語でプレゼンテーションをしたりパネルディスカッションをしたりという場面が多数ありますが、これ自体は全く嫌いではありませんし、苦手意識もさほど強くありません。

自分の話す内容、例えば学校紹介などが話題の中心であるからでしょう。

それに引き続くネットワーキングカクテルのようなものも、仕事だから割り切っているというからというわけでもなく、さほど苦にしません。

それに対して、仕事の場を完全に離れて親交を深めること自体が目的になっている、自分が輪の中心にいることが何ら保証されていないパーティーの類は決して得意ではありません。


結局、海外MBAと内向的な人間の相性はどうなのか

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さて、ここまで内向的な人間としてどのようにうまく世渡りすることができるのか、という点について当該コースでの紹介内容の一部に触れながら述べてきました。

ここからは海外MBA、特に期間中に結びつけて考察したいと思います。

残念ながら、海外MBAの期間中は、内向的な人間にとって居心地が悪いなと感じる瞬間はそれなりにあるでしょう。

机に向かってのガリ勉状態主導で進み得る他の修士号とは異なり、5人以上のグループで活動する場面は、チームワークだったりクラブ活動だったり色々ありますし、自分が話題の提供者でいようがない場面も多数あります。

それでも、深い会話ができそうな相手や場所を選んで、それぞれの場面を楽しむことは十分可能です。

在学中の早い段階から自分と同じ気質を持っていたり深い会話ができそうな外国人の学生を特定して近づいたりすることを心がけていました。

この文脈では国籍はさほど関係なく、アジア人の一部も確かに似ているとは思いましたが、ウクライナ人やオーストリア人の特定の同級生の気質が特に自分に似ていると感じました。

また、海外MBAあるあるですが、「どこから来たのか」、「MBA前に何をしていたのか」という会話が初期段階で多すぎてすっかり疲れてしまい、もっと生産的な深い会話をしたいと思うようになりました。

このあたりの情報は、LinkedInや学内のプラットフォームで共有されているCVを見ればすぐにわかることであり、そういった「予習」が叶わない不特定多数の人と新規に出会う場面を選ぶからこういった会話が多発するのだと気づきました。

また、一緒に何かを頑張った仲間とは深い絆を築きやすいと予感していたので、スペイン語の少人数授業であったり、課外活動であるケースコンペティションは、そういう観点からも大事にしようと思っていました。

実際にこういったメンバーについては、しばしば自主的に「予習」していたので、浅い会話を都度する必要は必ずしもありませんでした。

とはいえ、この戦法で避けられない場面が多数あることは海外MBAに来る以上覚悟しておく必要があります。

海外MBAはやはり外向的な人が一般的な世界よりも多く、そういった人がどうしても注目を集めがちな傾向は強いです。

実際、私が昨年トリノ大学で世界遺産・文化プロジェクト修士をその後に取得した際の同級生は、気質がIESE(イエセ)の人と違いすぎて、お国柄も多少要素としてあるにせよ、結局は個人差だということを改めて認識しました。

IESE在学中、人付き合いに時折疲れていたのは、否定できない真実です。

それでもこういった環境であることはIESE入学前から予測済みでしたし、内向的な自分がそれを活かしつつ働ける職場を卒業後に選ぶための跳躍台としてMBA期間についてある程度割り切っていた部分もありました。

逆にチームワークが強制的に濃密な学校でないと逃げ場を見つけてしまい関連スキルが鍛えきれない(そうでない学校でパーティー三昧になると悲惨)とも考えていました。

一層重要なことに、想定していたよりも圧倒的に人間的にいい人たちの集まりだったので、結果的にこうした環境が致命的な問題になることは特にありませんでした。


内向的であることは欠点ではない

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線引きが微妙ですが、私はある時点から内向的であることは全く以て欠点ではない、と考えるようにしました。

むしろ、性格上少数派であるという事実以上の何物でもなく、内向的であることの強みはレバレッジを利かせやすいもの、と考えるようにしています。

内向的な人は、自分の気質1つで何か大きな機会を逸したりすることの方が勿体なかったりするので、その気質が逆に強みとしてどう活かせるのかという点について、考え抜いたり第三者に助言を貰ったりしてみると良いと思います。

こと海外MBAに行くかどうかという文脈で言うと、気質だったり職歴だったりGPAだったり色々諦める言い訳を探してしまいがちですが、その価値について一定の検証をした後にも本当に強い興味と覚悟があるなら、やはり踏み出してみるべきでしょう。






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