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MVV(ミッション・バリュー・ビジョン)のつくり方

ミッション・バリュー・ビジョンについて、何度か取り扱ったところ・・・

・大事なのはわかったけど、どうやって作ればよいの?
・いざ作ろうとやってみたけど、大変で大変で・・・
・何から手を付けたらよいの?とりあえず合宿すればどうにかなるもの?

とのご意見をいくつかいただきましたので、我々のクライアントの実例を交えながらご紹介します。(最近も、ワークショップに追われています💦)

大別すると「2つのアプローチ」があり、どちらが適切か(あるいは部分的に組み合わせるか)は向き不向きがあります。
まずは、各アプローチの概要をお話しします。

トップダウン・アプローチ

経営トップや経営陣が胸の内に抱えているものを言語化し、まとめたものを社内に共有してオーソライズを取るやり方です。
スタートアップや変革期の企業に向くことが多いです。

経営陣は「自分たちが考えている想いや世界観を、社内のメンバーが理解してくれない」という不満を抱える一方で、「自分たちなりに言葉にしようとしたり、何度も説明の場を設けたりしているけれど、どうもしっくりこない。伝える側に問題があるのではないか」という負い目も感じています。

メンバー側も一生懸命理解をしようとしているけれど、認識がバラバラで足並みが揃っていなかったり、細かなニュアンスを誤解してしまっていたり、それらが原因で些細な軋轢が生まれてしまっていたりと、「取り立てて大きな問題にはなっていないけど、何となく雰囲気が悪い」という状況です。

(「大きな問題にはなっていない」というのがポイントで、大問題であればすぐに何らかの手が打たれる一方、「微妙な」問題は放置されがちです。)

具体的にやることはシンプルで、会社をリードしている経営陣やキーパーソンにインタビューを重ね、彼らの胸の内を少しずつ形にしていきます。
本人も考え切れていない部分があったり、ニュアンスに幅があったりするので、外部(第三者)を入れて、何度かやり取りをした方がうまく行きます。
コピーライターやデザイナーも入れて表現を磨き上げることもあります。

失敗談として多いのが、「経営合宿で決める!」と意気込んで連休を利用して宿に籠って議論したのに詰め切らず、差し障りのないものになって「状況変わらず」に陥ってしまうケースです。
経営陣の中である程度の共通理解・言語があり、最後の一押しを合宿で行うのであればうまく行くと思いますが、そうでない多くの企業は短時間でも回数を重ねた方が形になりやすいです。

ボトムアップ・アプローチ

今やっている/これまでやってきたことを昇華させ、言語化する方法です。
多くの企業はこちらの方が向いていると思います。また、ワークショップや合宿と言った「ミッションやビジョンを作るときにやること」のイメージにも近いです。

現業の取り組みを起点とする場合、大きな枠組みは全員の中にあるけれど、「それをどう具現化するか」の部分に様々な意見が生まれる余地があり、どんな案を出しても「総論賛成、各論反対」になりがちなのが悩みです。
この場合、内容そのものの良し悪しよりも、「現場の意見が尊重されている」とか、「会社の全員で作った」といった合意形成プロセスの方が重要になることが多いです。

具体的には、お題に対して各グループで議論してもらい、そのエッセンスをまとめて行き、最後に経営陣や各グループの代表者が煮詰めて形にします。
グループの分け方は、地域や部門で行われることが多いですが、(地域で分けるのは物理的な制約から仕方がないとして)部門で分けるのはあまりおすすめしません。同じグループに上司と部下がいると、どうしても「偉い人」の意見に引っ張られてしまうからです。それよりは、年代別や役職別に分けてフラットに議論した方が、様々な切り口が出て面白くなります。

実際の運用方法

これまで、トップダウンとボトムアップを両極端のアプローチとしてお示ししました。このような説明をした方がイメージしやすいため、あえてそうしたのですが、実際は双方の手法を上手に組み合わせて扱います。

例えば、

・経営陣が大きな方向性を決めたものを現場に提示し、議論してもらう
・メンバーが議論したものを素材に、トップが言語化する
・トップとメンバーが対話を繰り返しながら、形にしていく
・委員会を立ち上げ、彼らが現場の代弁者として経営陣と対等に議論する

などなど、やり方は様々です。

ミッション・バリュー・ビジョンの明瞭度、市場環境、事業の状況、トップの性格、組織の規模、組織文化の中身といった変数によって、適切なアプローチは変わってきます。

また、ひとつ強調しておきたいのは、表に出て来るものはこれらのプロセスで生み出されたものの「上澄みの上澄み」だけだということです。

ミッション・バリュー・ビジョンを組み立てる途上では、議論は右や左に往来したり、それまで考えてきたことをわざと壊して組み立てなおしたり、喧々諤々の議論が行われていたりします。

しかし、このプロセスそのものにこそ「会社をひとつにする」という効果があり、大変であればあるほど、得られるものが大きいです。

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