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ローマンバス イギリス世界遺産:2000年前の天然温泉 バース編①

 第2回はユネスコ世界遺産にも登録されているイギリス人気の観光地、バースにある温泉施設ローマンバスをご紹介します!

バースの位置と概要

 バースはイングランド西部にあり、ロンドンから電車で1時間30分、バスで2時間30分~3時間です。バースは歴史がとても古く、中石器時代の紀元前5000年もしくはそれ以上前から人類が活動していたのではと考えられているそうです。じ、人類ってすごい…!

 バースはロンドンにの次に人気の観光地らしく、移住する人も多いのだとか。知らずに訪れたので、聞いたときは、えええ~!そうなの!?知らなんだ~!と驚きました。オックスフォードやケンブリッジのほうが人気だと思っていたので。
 街並みも美しく、映画レ・ミゼラブルを始め、多くの映画やドラマのロケ地にも使われ、ジェーンオースティンゆかりの地でもあります。見どころがとにかくいっぱいな街で、わくわくしますね!

ローマンバスの入場料

 入場料ですが、シーズンと曜日によってかなり変動します。公式ホームページには現時点で週末と祝日は大人1人20.50ポンド(3700円程度)、平日は18ポンド(3300円程度)とあります。(2023年11月現在のレートで計算しています。)私が訪れた際は祝日と週末が重なっていたので、26ポンドでした。約4700円ですね。冬は安いようなので、事前に値段を調べることをおすすめします。

 正直、温泉を見るだけでこの値段?と思ったのですが、ところがどっこい、高いのにはちゃんと理由があります。この施設、中はめちゃくちゃ広いのです!しかも当時のローマ人の暮らしや数多くの出土品を見ることができ、むしろお得感満載で納得のお値段です。
 こういった歴史的な建物って、詳しく学ぶほどチケットの値段の価値がわかるというか。高いのには理由があるし、むしろこんなにいろいろ見られて、安いのではという感謝すら感じました。笑
貴重な遺産を維持するために、少しでも貢献していきたいですね!

チケットの買い方

 チケットですが現地でも購入できますが、事前に公式ホームページから購入すると並ばずにスムーズに入場できます。入場時間を選ばないといけないのですが、交通事情も考慮し、ゆとりをもって予約したほうがいいかもしれません。

音声ガイド

 受付で音声ガイドを渡してくれます。言語を選べるのですが、英語でいい?と言われ、条件反射でイエス!と即答してしまいました。結果、耳に全集中を傾け、歩く羽目に。笑
日本語もあるそうなので、お好きな言語を選んでください。

ではさっそく中に入りましょう!!

2階テラスからの眺め

 入口からテラスに向かうと、2階から温泉全体を眺められます。
こちらがバースの一番の観光名所、ローマンバスです!
さっそくクライマックス!わあ~!!壮大!

 思っていたより狭い印象でしたが、写真で見るのとは全然違いました。壁に時代を感じて、空気が遺跡独特の異様な空気で、まるでタイムスリップしたかのような、不思議な空気が漂います。

 この2階部分は当初は存在せず、のちに増築されたそう。温泉から教会も見えて、景色も抜群にいいです。

ローマンバスの歴史

紀元前800年頃のケルト人の活動

 バースの歴史は古く、紀元前800年頃に温泉が発見され、ケルト人が神殿を建てたことが始まりとされています。ケルト人はこの地でスリスという女神を信仰していました。

 ケルト人は主に中部ヨーロッパに居住しており、現在ではケルト系民族と呼ばれているようです。ケルト民族の言語、ケルト語はインド・ヨーロッパ語族の語派ですが、現代のスコットランド、ウェールズ、コーンウォール、アイルランドで残っているそうです。

ローマ帝国の侵攻

 その後、ローマ人が侵攻し、西暦65年ごろに神殿を建て、女神スリスをスリス・ミネルヴァとして信仰し始めます。この、スリス・ミネルヴァはローマ神話の女神で医療の神とされていました。そのため、女神への供物として宝石やローマ通貨が多く発掘されています。

 そしてローマ人は300年かけて、人々の憩いの場として、この地に温泉施設を造り上げます。しかし、ローマ人が5世紀に撤退後、バースは衰退し、6世紀には、施設が洪水で埋まってしまいます。

 当時は世界中の人々がバースを訪れ、ローマ人の観光ブックにもバースの記載があったのだとか!

温泉施設の復興

 時は流れ、12世紀にジョン・オブ・トゥール司教が療養泉を造り、ローマンバスは再び日の目を浴びます。その後何度も修繕され、18世紀に建築家ジョン・ウッドにより現在の形になりました。
 そんな長き歴史を持つ魅力たっぷりのローマンバスは、今でも観光客に大人気というわけです。

博物館

展示品

 さて2階をぐるっと回ると、施設併設の博物館に入れます。
当時の暮らしを展示物とともに学べます。この展示物がとにかく豊富で、予想していなかった私は大興奮でした。じっくり見たい方はかなり時間に余裕を持っていたほうがいいです。

 棺フェチな私はこちらの人々の足蹴にされている棺にくぎ付けでした。
昔の棺はサイズが小さいですよね。

 こちらは昔のタイルです。タイルってそんな昔から存在していたんですね。綺麗に模様が組み合わされています。

 こちらの施設はとても広く、映像で当時の暮らしを見せてくれたり、
地下の源泉も見ることができます。

源泉について

 こちらが源泉です。そばに立っているだけで温かい空気を感じられました。お湯の温度は46度で、鉄分によりすこし赤みがかっています。そして、この源泉が流れていく排水管はローマ人が当時作ったものが、現在もそのまま使われているそうです。
 な、なんですとーー!ローマ人の技術すご!目ん玉飛び出るかと思ったわ。源泉は温泉施設と近くの川に流れるようになっており、パイプは鉛でおおわれているそうです。

 地下はこのようになっており、サウナ施設なども見られます。
大昔の人々がこれを積み上げこの施設を造ったかと思うと感慨深いです。人類は大昔と変わらず建物を建設していますね。うーん、おもしろい。

温泉の色と水質について

博物館を一通り見終わると温泉の1階部分へ。
この緑がなんともまあ、綺麗というか雰囲気があるなあと思っていたら、この緑、藻によるものだそうで。以前は屋根があったそうですが、屋根が崩壊してから藻などが生えてしまったそうです。

 そして、こちらの温泉はなんと1978年まで入浴可能だったそうです。めちゃ最近!!調べによると、1948年から1976年までNHSの処方箋があれば、療養目的で入浴が可能だったようです。(NHSはイギリスの国民保健のこと)その後は、年に一度のバースフェスティバルの際に入浴可能でした。
 ところが、1978年に温泉で泳いだ女の子が感染症により亡くなってしまいました。事件後に水質を調べたところ、アメーバが発見され、水は汚染されており、水質に問題があったことが発覚しました。それから入浴が完全に禁止となっています。
 美しい緑だなと思っていた裏にこんな悲しい事件があり、複雑な気持ちではありますが、今後はだれも被害にあいませんように…。と思っていたら、2019年に環境活動家の方々がローマンバスに浮いて政府に訴えかける運動をしていたそうで。健康には気を付けてもらいたいですね!

 なんだかロマンがりますねえ、ローマンなだけに。(え…)
温泉が壁に囲まれているおかげで、静かでした。温泉の淵に座り、リラックスしている方もちらほら。ぼーっと何時間でも座っていられそうな穏やかな場所でした。
 一方で記念写真スポットとしても大人気。みなさんポーズを決めて、たくさんお写真を撮っていらっしゃいました。こちらのフロアにはローマ人のコスプレをしたスタッフの方がおり、話しかけるといろいろ教えてくれるようです。お子さまも楽しめるサービスですね。

温泉の深さ

 こちらの温泉は浅そうに見えますが、実は大人一人の足がつく程度の深さと聞きました…あいまいな表現ですが。笑
腰ぐらいまでかなと思っていたのですが、プールのようなイメージですね。

ローマンバスの使用用途

 ローマンバスは、祈りをささげる場でもありましたが、市民の憩いの場であり社交場だったそうです。友人と会い、会話をしたり、温泉で泳ぐだけでなく、フルーツやケーキ、お肉なども食べることができ、大人はマッサージやサウナ、ボードゲーム、子供はキャッチボールなどを楽しめたようです。今でいうレジャー施設のような立ち位置でした。すぱぷーみたいな感じでしょうか。笑
 昔の人も同じことで楽しんでいたと思うと、なんだかほっこりしますね。

お土産屋さん

 出口はお土産屋さんに繋がっており、なんとこちらの温泉水を買うことができます。しかも飲めるそうで。あれ?水質問題どこいった?笑
飲み水用に綺麗にしてくれているんでしょうね。見たとき、ん?と少しびびりましたが。笑
 その他、石鹸や小物、文房具やエコバッグなどたくさんグッズがありました。

所要時間

 私の感想としては想像以上に楽しかったです。あまり時間がなく、1時間ほどで急いで回ったので、またいつかゆっくりじっくり展示物を見たいなと思っております。
 歴史好きな方、丁寧に展示品を見たい方は、2時間程度は必要かと思います。

 さて、ローマ人の歴史が詰まったローマンバスいかがでしたか。施設の横にはレストランがあり、アフタヌーンティー等も楽しめます。
納得の人気観光地といったところで、もしイギリスを訪れる際は是非立ち寄ってみてくださいませ。

次回は引き続きバースについてお送りします。
ではまた!

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