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【読書録】ジョン・ストーク/ウォルター・Ⅾ・ティーグ著書「小麦粉とパンの1万年史 製粉の歴史」を読んで

こんにちは、ともです。
ジョン・ストーク/ウォルター・Ⅾ・ティーグ著書
「小麦粉とパンの1万年史 製粉の歴史」を読みました。
この本によると、製粉というのは、
人類最初の産業で、同時に現在まで続く最長の産業なんだそうです。
そもそも、ヒトという動物は猿から進化したのですが、
猿は草食で、木の実や果物、葉っぱなどを食べています。
稀に肉を食べることもあるらしいですが、基本的には肉は食べません。
でも、ヒトは肉も食べますよね。
本来、肉食動物というのは獲物を狩るために牙を進化させたり、
狩猟がやりやすいように体を進化させるのですが、
ヒトはそういう進化を選ばず、
脳を発達させて、武器や石器や火、道具類を考案、使いこなすことで、
身体の外に自分の手足の役割を持たせることを選んだんですね。
食べるための進化が脳を発達させることだったのです。
その発達した脳によって、小麦などの穀物を栽培し、刈り取り、
製粉して、パンにして食べることが可能になりました。
小麦はそのままでは消化が悪いので加工して加熱する必要があります。
そこで登場するのが製粉という技術です。
最初は石や木などを使って手ですり潰したり搗いたりと、
かなり労力のいる作業だったようです。
取れる小麦粉もほんのちょっとでした。
それが石臼で挽くようになり、
動力として家畜や、水車、風車などに変わり、
蒸気、そして電気を利用して機械で自動化するようになり、
今では大規模な工場で徹底的に管理され、
日々大量に生産されています。
私がすごいなと思うのは、まだ電気もなく、
石臼でもって挽いていた当時の製粉職人や、
(水車などを作る)大工さんは、経験を重ねるなかで、
それらの道具の構造を考えて作り出しているところですね。
どういうカラクリでそうなっているのか、
後になって研究されるのですが、
実際は現場の職人がこうした方が早く挽けるとか、
こうした方が良く回るとか、
力学とかは知らなくても、
カンと経験と伝統を受け継ぎ、またそこから発展させて作っていたのです。
偉い学者が計算して作っていたと思っていたので驚きでした。
そして現在、科学の進歩と研究が進み、
驚くほどの発展を遂げているわけですが、
その最初の一歩を知るとなんだか感慨深いです。
今ではどこでも簡単に手に入るパンですが、
その中に1万年の英知が詰まってるんですね。
小麦をなんとかして消化しやすく食べやすくするために、
知恵を絞ってきた技術がさまざまな物に応用され、
今の科学の発展の源になったと考えると、
この社会を作ったのは小麦なのかもしれませんね。
小麦…深いです。



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