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読書ログ:エトセトラ(2024.02更新)

 ついった/えっくすに書き溜めていた読書ログです。
 コチラは、研究書とすこしのSF、そしてカテゴリで小分けしづらい作品について。

 ほかのカテゴリは下記にまとめています。

読書記録:シリーズあれこれ

読書記録:アンソロジー

読書ログ:ミステリ

随時更新中……


研究書

▼ 何かが後をついてくる 妖怪と身体感覚

TLで見て、買って、読みました。
五官で感じた違和が共有され、それに名が付けば妖怪と呼ばれ得る······私にとってはたいへん腑に落ちる考えで、終始興味深く読めました。台湾での「妖怪の定着」も納得するばかり!
2018年12月27日

▼〈怪異〉とミステリ 近代日本文学は何を「謎」としてきたか

テーマ買いして読みました。
ミステリと怪異は原義としては相容れないのに、両立させた作品がたくさんあって、私は幸せです(ホラーミステリ好き)
2023年3月21日

▼ ゴシックハート

衝動買いして読みました。
私はゴシックの怪奇や猟奇、幻想に心奪われるけれど、残酷にはまだ文章だけでも耐えられないらしい。でも、ゴシックの系譜とされる作品はどれも読んでみたい気持ちに駆られる。まずは『オトラント城綺譚』から。
2017年2月12日

▼ 挑発する少女小説

冒頭のブロンテ誤りは専攻的に引っかかったままではあるものの、切れ味のいい語り口での「少女小説」の読み直し、面白かったです! とはいえ私は『赤毛のアン』しかちゃんと読んでいないんだよな……あとは『若草物語』を拾い読みしたくらい。
2021年8月31日

▼ 死に山

【バーナード嬢曰く。】で知ってから、ずっと気になっていたので読みました。
真相にたどり着くなんてあり得るのか、と思いながら読み進めて、限りなく真相に近いのではないかと思える結論に至ることに感嘆……。人間は圧倒的な暴力にも未知の生き物にも殺されるし、自然の脅威には抗うことすらできない、と。
2023年11月5日

▼ ブロンテ姉妹/桜庭一樹編

シャーロット・ブロンテ専攻+桜庭一樹さん編なので読みました。
これほど姉妹で注目される作家は稀有なのだと、あらためて思い知る。『ジェイン・エア』にインスピレーションを受けた作品が多いとかいいよね笑
2016年12月31日

▼ ゴーストランド 幽霊のいるアメリカ史

https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336071859/

テーマに惹かれて読みました。
幽霊はきっと、そこかしこに居る。けれど問題は、その〈物語〉が正しく伝わっているかどうか、なのだと理解しました。何がすごいって、有名な「ウィンチェスター屋敷」の話がほぼ捏造だということ!
「ウィンチェスター屋敷」の話は、億万長者へのやっかみが、まるで週刊誌ばりの新聞記事となり、それが定着して数百年なのだと。ある意味「吸血鬼」とされた「串刺し公」と同じような経緯を辿ってきたのだと、私は初めて知りました。感慨深かったです……近代だってそういう逸話は生まれる……
そして、〈精神病〉の人物を屋敷に〈軟禁〉すると言えば、やっぱり『ジェイン・エア』がど定番なんですね……
2023年5月6日


SF

▼ ハローサマー、グッドバイ + パラークシの記憶

『ハローサマー、グッドバイ』読みました。
気候のせいで寒さが罵り言葉になってることにいたく感銘を受けたのですが「かっこいい」という表現しか出てこない私の語彙!!!中盤まではラブロマンスに目を奪われて生温いと思っていたけれど、クライマックスの絶望感に手酷く冷水を浴びせられた気分です。
続編『パラークシの記憶』読みました。
題名が秀逸!種族が生き延びただけにしては文化どころか生態まで変わっていて疑問符ばかりだったわけですが、種明かしで納得・・・・・・でも、恐ろしい。地球でなくてよかったと思っていて、いいのだろうか。二の舞には、ならないだろうか。
SF名作とはいえラブロマンスだからと読むのを躊躇していた『ハローサマー、グッドバイ』を読む気持ちになったのは、続編『パラークシの記憶』のカバーがたいへん好きだったからです。そして2作を読み終わったいま、満足しています。


創作

▼ 不村家奇譚―ある憑きもの一族の年代記―

表紙とテーマ買いして読みました。
憑きものたる〈あわこさま〉の印象が強いのは、最後の奈央くらい。それよりも〈神がかり〉、とくにコウの異様さ! 〈かたわもの〉を集める旧時代より、因縁の残る現代のほうが後味が悪い。
あとは不村家と木村家ね……こういう本筋ではないもののほうが、私はぐっとくる。
2022年5月4日

▼ 奇譚を売る店

テーマ買いして読みました。
書名からすれば古書店ないしその店主が中心になるだろうことは予測がつくはずなのに、架空の書名がつけられた章題と中身の奇妙さに引っ張られて、最終話で「アッそういえば!?」と思い出すという……笑
ネタばれになるのか判らないけれども、やはり一人称語りは信じてはいけないよなぁ!!!笑
2023年1月9日
 ↓
1冊ごとに数奇な不幸が重なって、最後はもろともに崩れていくのはカタストロフというかカタルシスというか! 最期に辿り着くまで「店」がはっきり見えないのもうまいなと思います。
2024年1月24日

▼ 楽譜と旅する男

「城塞の亡霊」が、決して大団円ではないのに、妙に好きです。『奇譚を売る店』からの流れで、「楽譜探索人」の正体でまたどんでん返しが来るのかと身構えていたら、今回は主題がそちらではなかったようでやられたッ!!! と思いました笑。
2024年1月25日

▼ おじさんのトランク 幻燈小劇場

『奇譚を売る店』『楽譜と旅する男』からの流れで、「おじさん」が誰で「私」が誰であっても驚かないぞと思っていたのに、そうでないところで「あなたが!!!???」でした。結末は私にはほろ苦い……。
2024年1月26日

▼ 奇談蒐集家

再読なので、〈奇談〉にも〈謎解き〉にも疑いをもって読むのがまた楽しい笑。最後の〈目的〉を成し遂げるくだりは何度読んでも好きです。
2024年2月13日

▼ 怪異筆録者

『怪異筆録者』読みました。
舞々さんが〈何か〉に巻き込まれているのは判るけれど、その〈何か〉が判らないから終始ハラハラしてた……笑 〈優しい幽霊たち〉との最後はちょっと切ない。でも途中で奇譚まで混ざるのはズルい!笑
2023年2月21日
 ↓
改題前の『優しい幽霊たちの遁走曲』がまさに内容にピッタリなのだけれど、ある種ネタバレなのでいまの題も好きです。あとは祟り神・英丹の「祟らずは我にあらず」な発言も好きです笑。
2024年2月14日

▼ 遺品博物館

短編が重なっていく構成がとても好きです。でも、勝手に『奇談蒐集家』に引っ張られて、最後の1編で吉田さんのことを知れると思っていた、のに!笑
2023年4月11日
 ↓
前2作を踏まえると、〈いい話〉もあることに戸惑う……!笑 最終話で吉田・T・吉夫さんのことをもう少し知れると思ったのに、そうはならないことに寂しさも覚えますね。
2024年2月15日

▼ 文字渦

意を決して読みました。
予想通り、理解は全ッ然できていません。ずっと文字の話してたことだけは判りました笑。言葉から自由になろうとして言葉で足掻く、みたいな。それとも、円城さんはとっくに自由になっていて、その結果がこの『文字渦』ということ?
読みながら、この連載/書籍の担当は大変だろうなァーーーと思っていたし、恐ろしいほどのルビを見て私には無理だなァーーーと心の底から思いました。
2023年9月9日

▼ 道化師の蝶

久しぶりに読みました。
ストーリーがあるのは判るけれど、そこに描かれていることは理解できているわけではなく。それでも、旅の間に飛びまわる蝶のイメージはとても美しくて、好きです。
2023年9月10日

▼ オペラ座の怪人(創元推理文庫、三輪秀彦訳)

なんと初読!
とても大仰な舞台設定に読みながらウンザリしていたのに、最後の最後に愛に飢えたエリックに絆されてしまいそうになるからいけない。
にしても後年に翻案しすぎでは?
2024年1月22日

▼ クリスマス・キャロル

あらためて新潮文庫の村岡花子訳で読み直しました。
あーハイハイお話は判ってるし神の恩恵は肌に合わないんだよねェなどと軽い気持ちで読み出して結局ずっと泣いてる。孤独からの慈愛が、なんと温かなことか! スクルージの元に来てくれた幽霊たちも、みんな優しい。

▼ フランケンシュタイン

あらためて読み直しました。
怪物が、幸福な家族を覗き見ている姿がいちばん胸に迫る。それ以外の愛憎は、やるせなさばかり。怪物が愛情に満たされれば、本当にいくつもの悲劇は起きなかったのだろうか。

▼ 封神演義

自分でもよく判らない巡り合わせで、いま初めて安能務訳『封神演義』を読み終えました!!!
上巻は黒点虎がかわいい。中巻は黄天祥がかわいい。下巻は哪吒がかわいい。とはいえ黒天虎は隠居して天祥は封神されちゃうんですけど!泣
 +
私もフジリューの封神で育ってきたヲタクなので、この原案小説を読めば読むほどフジリューの天才っぷりが判ります……この理不尽でつかみどころがない物語を、ああいうデザインでそういう展開にする!? すごい……フジリューほんっとすごい……
だって、望ちゃんじゃなくて姜子牙だし。仙界大戦が@金鰲島じゃなくて@西岐だし。聞仲わりと早く封神されるし。スープー影薄いし笑 望ちゃんと王天君と伏義ぜんっぜん関係ないし。ちょいちょい西方の輩が混じって引っ掻きまわしては連れて帰られるし。最後まで紂王は立ちはだかるし!

▼ ボルヘス怪奇譚集

いい意味でよく判らなくってとりあえず呆然としています。
軽ゥく言っちゃえば、ヘンテコな話ばっかり。人食い鬼がレモンに詰まってるとか! でも解説の「しれっと典拠を捏造して創作混ぜ込んでる」という話はめちゃくちゃ好き。こういう逸脱こそが文学だよ!

▼ 12人の蒐集家/ティーショップ

この静謐な奇妙さがとても好き。蒐集気質が自分にもあるからこそ、それが無に帰される虚しさときたら!

▼ ぼくが死んだ日

奇々怪々な「最期」の物語・・・・・・というだけでなく、十代の少年少女だったからこその、「話を聞いてほしい」という想いに、最後の最後でぐっとくる。死んでしまったことに、後悔はあっても、恨みはない。そんな少年少女が、たいへんに愛おしい。

▼ 青い城

モンゴメリということで読みました。
ヴァランシーが「思い切る」までは、親族にないがしろにされ続ける描写がしんどくてしんどくて。でも、家を飛び出してからのヴァランシーの愛おしいこと! バーニイと過ごす「青い城」もたまらない。よいハッピーエンドでした。
でも、ひとつだけ。ヴァランシーが最終的に「大金持ち」と結婚した「既婚者」になることを、あの一族がほくほくよろこぶのだけは不本意。この〈赦し〉は、キリスト教の発想が根底にあるのだろうか。こちらは報復の文化だぞ(個人の見解です)
あと、ヴァランシーの「器量はよくないが、有能で、後ろ盾がない、変わり者の独身女性」という立ち位置と、バーニイが実はお金持ちというあたり、私は『ジェイン・エア』感を覚えてしまう。ヴァランシーが伴侶も社会的地位も資産も得ることになるからだろうな……絶対社交会には行かないかんじとか……

▼ 幸運の25セント硬貨

私がいちばん恐い海外ホラーはキングの『幸運の25セント硬貨』収録の「道路ウィルスは北へ向かう」と「1408号室」です。前者は追ってくる恐怖。後者は恐いより気持ち悪いかも。

▼  華氏451度〔新訳版〕

Eテレ100分de名著の影響を受けて、ものすごーーーく今更ながら、新訳版で読みました。
自分で読んでいちばん驚いたのは、これが平時のディストピアではなく、戦時のそれだったこと。多くの市民が自分の頭で考えることを放棄している頭上を、戦闘機が飛んで行く。

▼ 図書室の怪 四編の奇怪な物語

表紙とテーマ買いして読みました。
ミステリや怪奇小説を研究してきた著者だけあって……雰囲気に気圧される。
反面、表題作「図書室の怪」は真相にたどり着くまで、それこそ悪夢のような歩みの遅さがしんどかった。いちばんの衝撃は、ジャックの出自!
 +
先に読み終えた短編「図書室の怪」と、いま読んでいる『カササギ殺人事件』に出てきた〈限嗣相続〉(日本で言う〈長子相続〉)。
イギリス文学の世界で頻出しているはずなのに、オースティン系をほとんど読んでいないせいで全然ピンと来ない……でも調べるとそりゃあミステリで使うなと思う……笑。

▼ インスマスの影 ―クトゥルー神話傑作選―

あらためていま読みました。
ニャルラトホテプを美少女化するのはクレイジーだし、日本人は魚に親しいから受け入れやすいというのはかなり暴論だなと思いました。人間に擬態するタコ顔や人間と交配した魚蛙面の生物は無理でしょ!?
 +
ちなみに、偶然と思っていた事柄が自分の血筋と関係していた話として連想したのは、少し前に読んだマイケル・ドズワース・クック『図書室の怪 四編の奇怪な物語』の表題作でした。単なる後日談だと思っていた部分が、下手をすると主たる物語と入れ替わるくらいの衝撃。

▼ 狂気の山脈にて ―クトゥルー神話傑作選―

前巻に引き続き読みました。
悪意だけではない高い知性をもつ〈大いなる古きものら〉が存在することに愕然とする。でも好みなのは狂気の音楽を奏でる「エーリッヒ・ツァンの音楽」や判りやすい「ピックマンのモデル」!笑

▼ アウトサイダー ―クトゥルー神話傑作選―

前巻に引き続き読みました。
ネコチャンが報復する「ウルタルの猫」が最高でした。「べつの神々」のまさしく〈べつの神々〉という言い方、「恐ろしき老人」のまさしく〈恐ろしき老人〉という存在もとても好き。
「名状しがたいもの」という表現が許されるのがラヴクラフトであると思います。反対に「家の中の絵」はわりと王道ホラーでビックリ笑

▼ ラヴクラフト全集〈1〉

流れに乗って、東京創元社の『ラヴクラフト全集〈1〉』読み返しました。
「壁のなかの鼠」という題からは、ポーやブラム・ストーカー「判事の家」のような印象をもつけれど、蓋を開けるとラヴクラフトだなぁとしみじみ。反対に「死体安置所にて」は王道ホラーでまたよし。

▼ メキシカン・ゴシック

帯とテーマに魅かれて読みました。
陰鬱な屋敷の中に渦巻いていたのが、想定していた〈死〉ではなく〈生/性〉のほうで、あまりの情欲にぐらぐらしてしまった。森林火災の後にかえって繁殖するキノコの例が不穏でしかない。まさにゴシック!
一方で、舞台はメキシコだけれど、あの一族は元々が英国人であることから、表題そのまま〈メキシカン・ゴシック〉と呼んでいいものか、ちょっと躊躇いもある。ああ、でも、アメリカン・ゴシックにも発端が英国由来ということはあるか。ゴシックという概念そのものが持ち込まれたものであるなら正統か。
2023年1月1日

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