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エチュードは何処に入れる?

おはようございます(書いているの朝なんです。)
ピティナ特級公式レポーターの森山です。

この記事では、課題曲のショパンのエチュードを参加者の皆様がどこに入れているのかを取り上げてみました。

3つのパターンに分けてみたのでご紹介します。

最初に入れる

この記事で触れていますが、最初に派手なエチュードを弾いて一気に会場の空気を変えるタイプの参加者が何人かいました。Op.25-10を弾いていた千葉まりんさんやOp.10-1の後藤 美優さんです(詳細は記事にあります)。他にも鈴木 愛美さんのように、先に課題曲を弾いてから肝心の大曲ベートーヴェンのソナタに集中したかったのだろうと想像出来る参加者もいました。

2曲目に入れる

ショパンのエチュードはいきなり弾くというのはちょっと……という場合もあるのかもしれません。

その場合は一曲弾いて手が温まってきた所で演奏するという手もあります。(ショパンコンクール一次予選でも大体ノクターン→エチュード2曲→バラードその他の順番でした。)
左手が軽やかな三度を弾いていた森永 冬香さん、ひたひたと迫り来るような木枯らしの山田 ありあさん、伸びやかで雄大な黒鍵の細川 萌絵さんがそうだったのではないかと思います。

曲の間の繋ぎにする

ショパンエチュードは短いけれども音楽性がつよく感じられるただの練習曲では全くない曲なので、連続して弾くと唐突感がある曲同士の繋ぎにしていそうなケースもありました。
ショスタコーヴィチとデュティユーという独自性の高い2人の作曲家の曲の間に優雅な曲調のOp.25-6を入れていた加古 彩子さん、丸くて温かい音で弾いていたバッハと重たい始まりのグラナドスの間に激しいけれども余韻の静かなOp.25-10を入れていた井上 珠里亜さん、明るいスカルラッティのソナタと神秘的な夜のガスパールの間に情感たっぷりのOp.25-6を入れていた生熊 茜さん、独特なタネーエフと曲調の移り変わりが激しいシマノフスキとの間にOp.25-6を端正に軽快に弾ききって聴き手の頭の切り替えを助けてくれた吉原 佳奈さんなどが思い浮かびます。

Op.25-6多いですね?ひょっとして他の高難度エチュードとは比較にならない選択者の多さ(参考)の理由はこの辺りにあったのかもしれません。

他にもこの3パターン以外にエチュードがプログラム全体のストーリーに溶け込んでいそうなタイプもありました。例えば草間 紀和さんは珍しくドラマチックなバッハと重たい情感の見えるOp.10-9、喜怒哀楽が次々に現れてくるスクリャービンという流れで人間の感情の揺れ動きをプログラム全体を通して表現しているのではないかなと思いました。

まとめ

今回、客観的な事実は実際に演奏されていた曲の順番のみで、結構主観的に分類してしまいましたが、あくまで一例です。演奏者の意図は全く異なる可能性は十分にあります。

同じ曲全然弾き方が違ったり、同じ作曲家とは思えないような多種多様な効果を持ったショパンエチュード、今日の二次予選二日目ではどんなふうに使われるのか今からとても楽しみです!

(写真提供:ピティナ)
ピティナ特級Webサイト https://compe.piano.or.jp/event/tokkyu/index.html


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