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プログラムの最初に何を弾く?

ピティナ特級公式レポーターの森山です。

先ほど二次予選1日目が終了しました。
演奏を終えられた皆様本当にお疲れ様でした。明日が本番の方は頑張ってください。

ということで今回の記事の趣旨はタイトル通り、「プログラムの最初には何を書くのか?」ということです。

前の記事で書きましたが、二次予選はショパンのエチュードを1曲弾く以外は固定の課題曲は無く、30分前後の尺に収まれば何を何曲弾いてもアリです。その結果、各参加者のプログラム構成にはさまざまな個性が見られたわけですが、その中でも最初にどんな曲を弾くかに注目していきたいと思います!

今回取り上げるのは3つのパターン

  • 印象に強く残るフレーズから始める

  • しっとりと落ち着いた曲調で始める

  • 明るい曲調で始める

ではどうぞ!

インパクトのあるフレーズから始める

やはりこれは最初に聴き手の心を掴みやすいんでしょうか?この始まりのパターンが演奏が終わった後もわたしの中で強く印象に残っています。

千葉まりんさん『ショパン:エチュード ロ短調 Op.25-10』
この曲は千葉さんだけでなく二次予選全体の幕開けになった訳ですが、怒涛の和音連打(で言い方合ってますでしょうか?)で始まる所がインパクト大です。この曲は重音連打が静かな曲を挟む形になっているのですが、千葉さんの中間部は華やかさと優雅さがこれでもかと強調されていました。

後藤 美優さん『ショパン:エチュード ハ長調 Op.10-1』
最初からフォルテッシモで分散和音が始まるこの曲、超有名なのもありますがとにかく迫力満点でこれまたインパクト大です。しかもこの曲、聴いた印象より相当難しく、上手な人でも連鎖崩壊の危機があるくらいなのですが、後藤さん、うまくまとめて弾ききっていました!

森永 冬香さん『J.S.バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903』
上二つとはちょっと傾向の違うインパクトなのですが、冒頭の二小節の独特なうねりのような音階の響きは聴き手の心をサッと掴みその後の曲に集中させる効果があるみたいです(わたしがひっかかりました)。その後の森永さんのオルガンのような美しい音の響きを存分に味わうことができました。

明るい曲調で始める

曲が明るいと、これからの30分間の参加者の演奏への期待感がより膨らむような気がします。

加古 彩子さん『ヘンデル:シャコンヌ ト長調 HWV435』
これは加古さん自身の音色の特徴も大いに影響しているような気がしますが、とても煌びやかな入りで、無言の聴き手の心をぱぁっと照らしてくれるような気がしました。

生熊 茜さん『スカルラッティ:ソナタ へ短調 K.184/L.189』
生熊さんのこの曲は、おひさまの光をたくさん浴びたような明るさが印象的でした。スカルラッティ自体もイタリアとかスペインとか、日照時間の長そうな国で過ごしていた人なので?、曲自体も結構明るいのではないかと思います。

バッハで始める

基本の「き」から始めましょうなのか、もっとちゃんと理由があるのか定かではありませんが、冒頭バッハはとても多かったです。12人中6人、半分が弾いていました。その中からちょっと抜粋してみます。

草間 紀和さん『J.S.バッハ:カプリッチョ 変ロ長調 BWV992 「最愛の兄の旅立ちにあたって」』
バッハの中でも、かなり若い頃作風がおそらく完成する前に作曲されたのではないかというような曲で、人間味に溢れています。草間さんの演奏を聴いて、若いバッハの精神世界はこんな感じだったのかもしれないと色々想像しました。

笠井 萌さん『J.S.バッハ:平均律クラヴィーア曲集第1巻 第22番 変ロ短調 BWV867』
非常に静かで落ち着いた曲調から始まるという今日1日聴いていた中では結構珍しいパターンだと思います。徐々に声部が足されていって、最終的に5声になっているはずですが、それだけの旋律が同時進行で展開されていくにも関わらず最初から最後まで波立たずに静けさが保たれていた非常に美しいバッハだったと思いました。

おわりに

参加者がどういう意図でプログラムの順番を組むのか、本当のところはわかりませんが、今日1日聴いていてわたしはこんな印象を受けました。明日はどんな導入に出会えるのかワクワクしつつ現地で鑑賞する予定です!

(写真提供:ピティナ)
ピティナ特級Webサイト https://compe.piano.or.jp/event/tokkyu/index.html

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