見出し画像

【息子のサッカーを見て、見えてきたこと Vol.39】高校年代での地殻変動

こんにちは!

今シーズンのJFAプレミアリーグを見ると、イースト・ウエストともに高校チーム(高体連)が上位を占めています。

両リーグ共にまだ、22試合中の7試合が終わった段階(5/26時点)ではありますが、

プレミアイースト
1位:青森山田高校
2位:尚志高校(福島県)
3位:川崎フロンターレU-18
4位:前橋育英高校(群馬県)
5位:流通経済大学柏高校(千葉県)
12チーム中7チームが高体連

プレミアウエスト
1位:静岡学園
2位:神村学園(鹿児島県)
3位:名古屋グランパスU-18
4位:サンフレッチェ広島ユース
5位:ヴィッセル神戸U-18
12チーム中6チームが高体連

という状況です。

2011年にプレミアリーグ発足以降、フォーマットの変更やコロナによる休止などもありましたが、歴代の優勝は以下の通りとなっています。
イースト、ウエスト※○はファイナルの勝者、カッコ内は高体連の数、2021年までは10チーム、2022年以降は12チーム
2011年:札幌(4)、広島○(4)
2012年:東京V(4)、広島○(3)
2013年:流経大柏○(4)、神戸(3)
2014年:柏(3)、セレッソ○(4)
2015年:鹿島○(3)、ガンバ(3)
2016年:青森山田○(3)、広島(3)
2017年:F東京○(2)、神戸(5)
2018年:鹿島(4)、広島○(3)
2019年:青森山田○(4)、名古屋(2)
2021年:青森山田(3)、広島(2)
2022年:川崎(5)、鳥栖○(4)

ウエストでは、いずれもJリーグのアカデミーが優勝していますし、イーストでも青森山田以外は全てJリーグのアカデミーです。

私が高校年代の時に初めて、前身のU-18高円宮杯でジュビロ磐田ユース(当時)が高体連以外で優勝しました。
以降も2004年のサンフレッチェ広島ユースが優勝するまでは高体連が優勝を占めていました。ただし、それ以降では、優勝/準優勝が
2005年:ヴェルディコンサドーレ札幌
2006年:滝川二、名古屋グランパス
2007年:流経大柏、サンフレッチェ広島
2008年:浦和レッズ名古屋グランパス
2009年:横浜Fマリノスジュビロ磐田
2010年:サンフレッチェ広島FC東京
と高体連からJクラブのアカデミーに覇権が移っていきました。

2000年代前半までずっと高体連が優位であり、2000年代後半以降、ここ20年くらいはJクラブが高校年代をリードしてきました。

FIFAワールドカップのメンバーを見ると、1998年の初出場以降、高体連出身者は
1998年:22/22 100%
2002年:18/23 78%
2006年:18/23 78%
2010年:19/23 83%
2014年:14/23 61%
2018年:12/23 52%
2022年:13/26 50%
と徐々に低下していることが分かります。2014年の選手たちが25~26歳を平均と考えると、Jクラブが高校年代をリードしてきた時期と重なります。
※ただ、半数が高体連出身であるのもある種、注目のポイントとも言えますが。

ここからは私の予想ですが、今後の10年間はまた高体連がリードするのではと考えています。それも一部の私立高校による超強豪校です。

これまでプレミア優勝経験のある青森山田を筆頭に、静岡学園、前橋育英と言った強豪校や近年活躍が目覚ましい神村学園や尚志高校、昌平高校(埼玉県)が該当します。

先日、那須大亮さんの過去のYouTubeを見ましたが、京都府の京都橘高校は巨額の費用をかけて、グラウンドなどの施設の投資を行ったそうです。

上記の様な私立高校ではJリーグのアカデミーに匹敵する人工芝の立派なグラウンドが存在しています。

また、中高一貫である場合には中学校のサッカー部が、そうでない場合でも関連する中学年代のクラブチームがあり、強化を図っています。

昌平高校と関連するFC LAVIDAという中学年代のクラブの試合をYouTubeで見ましたが、レベルが非常に高いと感じました。ここ数年のU-15関東リーグでは常に上位を争っています。この選手たちがJクラブのアカデミーではなく、昌平高校に進学し、高校年代で活躍しています(一部の中学年代の選手はJFA主催の試合に3種登録のまま出場)。

この中学年代からの強化・育成に加えて、外部の中学年代の有力プレーヤーたちを引き付ける2つの要素があります。
それが「選手権の存在」「高校卒業後の進路選択の自由度」です。

選手権は言わずもがなですが、世間から大きな注目を浴びてサッカーをすることができます。超強豪校では、都道府県内のトーナメントを勝ち抜かなければなりませんが、圧倒的な戦力を持っており、大きなアドバンテージを有しています。

青森山田は現在四半世紀を超える26年連続出場中ですし、尚志高校はここ10年で8回の出場を誇ります。前橋育英も同様に8回出場し、1度の全国大会優勝を経験しています。

高校卒業後の自由度と言う点では、Jクラブほどの制約はありません(契約締結前ですと、紳士協定ではありますが)。国内のJクラブの練習に参加し、自身のプレーにあったクラブを選択できますし、出場機会を考慮できます。

近年では、大学が有力なプロ養成機関となっていますので、いきなりプロにならずに大学というルートもあり得ます。大学進学の際に、全国大会の成績が推薦条件になるなど、超強豪校では優位性を持っています。

また、海外のクラブにとっては、将来性を持った選手を低コストで獲得できるというメリットがありますので、卒業後に海外に出ていくと言うルートも今後はもっと増えるのではないでしょうか。

こうした中で、さらなる超強豪校の中で差別化を図ることができるとしたら、キーワードは「グローバル」だと考えています。

海外のクラブと提携し、選手だけでなく、指導者も含めたグローバルな連携により、学校は知名度の向上ブランディングの向上に繋がりますし、教育面(言語や多文化共生)でもプラスになります。

クラブにとっても、SDGsの重要キーワードの1つである「教育」に対して、アピールが可能ですし、先述したような選手獲得に対してリードを図ることができます。

今後の10年間において、超強豪校が育成年代をリードし始めた時、どの様に各Jリーグのアカデミーを再興していくかも注目しています。

※蛇足ながら、オリンピック代表の高体連出身数の推移も記載しておきます。
1996年:18/18 100%
2000年:14/18 78%
2004年:11/18 61%
2008年:9/18 50%
2012年:6/18 33%
2016年:10/18 56%
2021年:18/22 18%
ワールドカップのメンバーよりも早いスピードでJアカデミー出身者の選出が加速しています。ただ、今後はまた変化があるかも知れませんね

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?