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男はメリットがないと家事をしないのか??

取材や、セミナーの依頼を受ける際「男性が家事をするメリットを話して欲しい」と言われることがある。

「メリット、かぁ」

たとえば、仕事の段取り力が高まるとか、人の気持ちがわかるようになるとか、育児なんかだったらコミュニケーション力がアップするとか、よく言われるし、実際そういったことってあるのだと思う。

たとえば、これは育児だけど、大好きな本に「育児は仕事の役に立つ」という本がある。

この本を読んで「育児ってめっちゃ仕事でも活きるんだ!」と思った人も多いだろうし、ぼくもたっぷり共感しながら何度も読んだ。

この本では「チーム育児」の体制を家庭内で整えることがメチャクチャ大事なんだぞ、そのためのマネジメントってのは仕事のマネジメントやリーダーシップなんかでも大いに役立つんだぞ、ということが書いてある。

この本のすばらしいのは、やっぱり家族をチーム化しようよ、と言っているところだと思っている。つまり育児にまつわる様々なことを、チームプレイでこなしていくことが、家庭にも仕事にも役に立つんだよ、ということだろう。


それじゃあ、家事はどうだろうか。
やっぱり、チーム育児と同じように、家庭をチーム化していくことで得られるメリットは多そうだ。
ただ、オムツ替えスキルが仕事のスキルと直接の関係がないように、洗濯物をすばやくキレイにたためることで仕事もすばやくできるようになるわけでもない。

そもそも。

家事とか育児って、仕事のスキルをのばすためにやるものなんだったっけ?
そうじゃなくて。
夫婦が協力しあって家庭と仕事の両立がスムーズにできるようになる。家庭内で生じる大変さを軽減したり、助け合ったりできることで、働きやすい環境を手に入れることができる。これが、大きなメリットだ。

そして、このメリットは現在家庭内で助け合わずに、家事育児に空いた時間でしか携わっていない人にはメリットには見えないのだ。
だって、自分の時間は自分で自由にできる時間なんだもの、すでに。

全部やってもらっている人にとって、新しい負荷が増えることはやはり「手間が増えた」とだけにしか思えないのかもしれない。

だからこそ。
自分のパートナーが活き活きと生きられることのメリットを、考えてもらいたいのだ。それは、妻を持ち上げる、とか妻の言いなりになるとか、大げさな妻礼賛なんかじゃなくて、もっと自然に自分の豊かさにつながってくることだと思うのだ。

目先のメリットやデメリットなんかで、家事分担を考え始めたら、そりゃいかに家事から逃げるかって思考になってもおかしくない。

家事を主体で担っている人たちの多くは、メリットがあるから家事をしているわけじゃない。
生活のために、やっている。

それを、家族みんなで助け合うからこそ、お互いにデメリットを分け合い、メリットが生まれる。
デメリットを押し付け、自分だけがメリットを享受しているのだとしたら、今の時代、もはやそれは不自然なのだと知らなくてはならない。

「メリットがないと、男は家事なんてしない」

ぼくは、そう思われていることがなんとも情けないことだなぁと、依頼を受けるたびにうなだれる。

「なぜ日本の夫婦は、こんなにも家事育児を助け合うことができるのか!?」

なんて取材が来る日を夢見て、明日も家事シェア講座ガンバリマス!


では、また明日。


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三木智有|家事シェア研究家
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