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好みを根底から覆してしまった食べ物

人生で唯一、自分の好みを根底から覆してしまった食べ物がある。

新しい日常料理ふじわら、の”おいしい唐辛子”。

とにかく、うまい。
辛くて、香ばしくて、汗がどっと出てくる。そして、つぎのひとくちがまた欲しくなる。

もともとぼくは辛いものが苦手だった。
汗をかきながらご飯を食べるのも嫌だし、舌が痛いのも嫌。辛いものをまったく食べられないわけじゃないけど、汗をかかなくて、舌が痛くない程度がいい。

ただ、娘が産まれてカレーがずっと甘口になった。
甘口カレーが嫌いなわけじゃないけど、もう少しスパイシーというか香りと辛味が欲しいよなぁ、などとわがままを思い始めた。

それを知っていた妻が、仕事で当時関わりのあったふじわらさんからこの”おいしい唐辛子”を買ってきてくれた。

初見は、ちょっと引いた。
だって、完全に唐辛子だから。見るからに舌が痛くなりそうだし、汗もダクダクにかきそう。

ーー大丈夫かな。

若干の不安を感じながら、甘口のカレーに少しだけのせてみる。

絶対に辛い。

そんな思いにかられながら、ひとくち頬張る。

花椒のピリリとしびれる辛味。にんにくの香ばしい旨味。ほのかに感じる塩気。

ーーああ、うまいなぁ

しみじみ思った。唐辛子の辛味もちゃんとある。だけど、舌が痛くなったり「ひー!」となるような強い辛味ではない。

辛くて、うまい。

人生ではじめて、そう思った。

ふたくち、みくちとスプーンがとまらなくなる。

「ねぇ、すごい汗だよ」

妻が心配そうに言う。

「あ、本当だ」

自分では気が付かないほど、自然にいつの間にか汗をかいていた。
でも全然不快じゃない。辛味が爽やかに抜けていくから、むしろ爽快な心地よさがある。

不思議な体験だった。
辛いものが嫌いで、これまで避け続けていたのはいったいなんだったんだろうと思う。


ふじわらの”おいしい唐辛子”。
ごはんにそのままのせても。サラダに混ぜても、冷奴でも、ラーメンやうどんでも、チャーハンでも。とにかく何にでもあう。辛味と香りと旨味が、他の料理をまったく邪魔しないのだ。
きっと、どれも強すぎない絶妙のバランスのおかげなのだろう。

ぼくは、この瓶詰めのおかげで辛いものが好きになった。
それからしばらく、色んな辛いものを買っては食べてみた。辛いものが食べられるようになると、味の世界が少し広がった。

だけど、おいしい唐辛子に勝るものはなかった。

いつかまた食べたいな。

そう思いつつ、なかなか買う機会もなく今日まで来た。

でも、京都のお店に売っていると聞き、さっそく購入。
数年ぶりに食べる。

当時より辛いものに慣れたいまでも、やっぱりおいしい。辛味になれたいまでは物足りなさを感じるかな、と心配していたけど物足りなさなんて一切感じない。ちょうどいいのだ。

辛いものを好きになると、辛い方へ辛い方へと向かっていく。
だけど、辛ければいいということはまったくない。
ちょうど、辛味と旨味を両方味わえるポイントがあり、そこを越えてしまうと辛味は痛みとなり不快になる。

おいしい唐辛子は、そこの分推量をしっかりとわきまえているのだ。

再び出会えて本当にうれしい。
またしばらく、ご飯を食べるのが楽しみになる。

***

今日も、見に来てくれてありがとうございました。
おいしい唐辛子、本当に大好きな一品です。
ぜひ、明日もまた見に来てください。


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