わたくしのニューヨークライフ
ということでみなさまこんにちは。
写真家の畑と申します。これから秋たけなわ、暑い時期も終わり皆様ほっとされているのではないでしょうか。こちらも随分と気温が下がって来ました。
朝の気温は10度を切るようになり、薄手のコートを着て犬の散歩をしております。今の時期怖いのは肋間神経痛。若者ぶって薄着をすると一発で神経痛が発生。もう神は薄着を私に許しては下さらないのです(遠い目)
1:今日も会話が弾まない
本日も無事にぎこちないモーメント発生。
「あなたレンズは何使ってるの?」
「あー、今使ってるのはすごく小さいカメラなんで、、、どうなんだろう」
「で、何ミリ?」
言えない。言っても絶対理解してもらえない。
今の自分のメイン機の一つがSony RX0だなんて。
どうやら僕の発想は一般のカメラ愛好家の方とは全く逆の発想のようで。
カメラを買ってから撮りに出かける、というよりかは、「これを撮るにはどうしたら良いか」というところからスタートして最終的にどのカメラを使うかを決定します。なのでシリーズごとに使うカメラが変わっています。ある時は35mmフィルムがベストのこともありますし、別のプロジェクトではペンタックスの67だっりマミヤ7だったりしたこともあります。なので僕にとってはカメラはあくまでも目標を達成するための装置でしかありません。細かいスペックとかほんとどうでもいい。
なのでカメラありきの人と会話するとほんと会話が弾まない。きっと向こうさんもなんだこいつ自分のカメラのことも分かってないのか、みたいな感じだろうし、会話する時間が増えるほど「、、、、。」の時間が増えてゆく。
うわあ面倒臭え、、、
2:実際どうよ
そんな僕もニューヨーク生活がもうすぐ15年目。早かったような短かったような。実際のところ在米邦人のほとんどは学生さんか駐在さん。学生さんなら長くても5年程度、駐在さんも10年おられる方は相当珍しいと思います。
10年以上となると本当に古参の部類。まあ当然ニューヨークに30年、とか40年、とかいう方もおられますが、人口的にはかなり少ないと思います。
自分でもニューヨークが好きか、と言われたら、
好きでもないが、大嫌いでもない
くらい。まあね、電車で3駅ほど行ったらタイムズスクエアがあって、毎日キラキラしててすごいなーって思いますが、
タイムズスクエアがご飯食べさせてくれるわけじゃないしなあ
と思うと、自分の人生にそれほど必要でもねーよな、と。
そりゃ五番街とか行ったら、オシャレなものがいっぱいありますよ。
「ティファニーで朝食を」のティファニーとか、お高いブティックとかいっぱい並んでますよ。でも、
興味も金もないならあってもなくても一緒
そもそも入る気もない店が自分の周りにあってもなんの意味もありません。
確かに、絵に描いたような観光地を見て「嘘だと思ってたけどマジで存在するんだ」みたいなびっくり感はあります。エンパイアステートビルとか。だからと言ってそれが自分の人生にどれだけ関係があるの?って言われたら全く関係ない。そこにあることを確認して終わり。
かつてLAに住んでいた頃、海側のサンタモニカに行ってみたら、本当に金髪巨乳タンクトップのお姉ちゃんがローラースケートしてたのをみて「あれって都市伝説じゃなかったの?」って心の底からびっくりしました。あんな頭の悪い世界風光明媚な世界がこの世の中に存在しているんだ、と。あ、でも皆さんご存知ないことが一つあります。あの金髪のお姉ちゃんたちがローラースケートしてる隣にはホームレスが大量に寝っ転がってます。東から西に向けてホームレスが流れてくるんですが、目の前が海なんでもうどこにも行けないから海岸沿いで足止め。しかも気候温暖だからダンボールで家作る必要もないのでトドのように寝転がってるだけ。もうちょっとした動物園。控えめにみても地獄絵図。
僕の知っているサンタモニカじゃない
まあ自分の住む場所がその人のアイデンティティになる、というのはわかります。「俺ってばオシャレな街に住むニューヨーカー」みたいな感じで生きてる人、沢山おられますし。なんだったら「お前からニューヨークっていうブランド取ったら何残ってんだよ?」みたいな空疎な人も沢山いるわけです。ま、東京にもそういう人沢山いますよね、多分。ああいう人ってピュアなんでしょうね、心が。
3:ほんとごめんなさい興味ありませんでした
っていうかそもそもアメリカになんの興味なかった。(衝撃の告白)
アメリカ文化に1ミリも興味がありませんでした。好きな音楽もアメリカと全然関係なかったし、野球やバスケットボールにも全く興味ない。ハリウッド映画総じて嫌い。ステーキ食うくらいなら薄く切ってポン酢つけて食べたい。学生時代にはぼんやり留学なんか夢見ていましたが、やっぱり現代思想の中心地はフランスかカルチュラル・スタディーズならイギリスだよなー、どうせアメリカなんて白人ヤンキーどもが雑な事やって生きてるんでしょ?でかくて固いステーキとか食ってるんでしょ?どうせ金髪巨乳が神なんでしょ?って思って小馬鹿にしてましたが、実際住んでみたら、
白人ヤンキーも黒人もラテン系も想像を遥かに超える雑さで生きてて想像を遥かに超えるデカさのくそ固いステーキを食ってて想像を遥かに超える金髪巨乳が絶対神として世を統治していた
という現実を目の当たりにしただけでした。全てが想像の右斜め下。ここまでくると逆におもろい。そういう意味では最近では「なんでこんな事になってんだこの国」という視点で興味が出て来ました。ただ決して愛しているわけではない。基本半笑い。
まあね、よく考えてみたら、社会に出なくて良い4年間を過ごす学生とアメリカにいても基本は日本の組織内で生活する駐在さんの情報では本当のアメリカは伝わらないよね、と。むかーし僕が学生だった頃、学内で半年間のカナダ留学があって、そこから帰って来た奴らが、空を見上げては「カナダの空が懐かしいよね」とかこれ見よがしにほざいていたので静かに「こいつの頭髪が薄くなりますように」と呪いの言葉を呟きましたが、今ならわかる。あいつら何も学んじゃいねえ。そして頭髪も薄くなってるはず。所詮半年や一年の学生生活で本当のことなんてわかるはずはありません。ましてテレビの情報なんかでリアルなアメリカの姿なんて分かるわけはない。
20年のアメリカ生活。いつも思います。
なんか意味あったのかな?(空を見上げながら)
まあそれでもこんな大して役にも立たない人間を20年居座らせてくれるわけですから、寛大な国だよな、とは思います。まあそういう寛大な国だからこそ僕みたいな奇人変人の類が生きていけるのかもしれません。そこに関しては感謝しています。
とはいえ。「なんでこんな事になってんだこの国」という疑問に答えてくれた本があります。
コリン・ウッダード著「11の国のアメリカ史」
「アメリカはこれまでも統合された事もないしこれから統合される事もない」という衝撃的な主張を元に、アメリカを11の地域(国)に分けてそれぞれの歴史を紐解きながら、なぜアメリカが今のような状態になっているのか、を移民の移動から産業、文化を通じて鮮やかに解説してくれます。上下巻全部読むと500ページ越えの大著ですが、アメリカの文化・政治に興味のある方は読むことを強くお勧めします。これを読んだ後はアメリカの特定の地域を見るだけで「ああ、あの地域はあんな歴史があるから今こうなってるんだな」というのが分かるので、「なんでこんな事になってんだ」という疑問に関してかなりの示唆を与えてくれます。読んだ人はわかりますが、高地スコットランド人やべえ。
って言うかそもそも論として、ニューヨーカー、とか言うの小っ恥ずかしくないですか?どの面下げてニューヨーカー?そのツラ下げてニューヨーカー?みたいなの見てたら、「ニューヨーカーっていうよりは栃木県民じゃない?(まさかの栃木県民dis)」くらいの言葉がうっかり漏れちゃうくらい。しかも周りが日本語わからないから本気で口からだだ漏れる。「東京人」とか言って誇られても、ねえ?みたいなもんですよ、ええ。
とはいえ京都の人間からしたら東京なんて東の蛮族ですからね(ガチでこう言う認識)ま、僕は南京都の人間なんで本当の京都の人からすると「人間以下」ですけどね。(ガチでこう言う認識)去年だかに「翔んで埼玉」の続編があったじゃないですか?琵琶湖の水抜くやつ。あの世界観、割とリアルですよ。
ということで僕のアメリカ生活はぬるぬると続いていきそうです。
これからもぬるぬると過ごしていこうと思います。
あ、インスタやっております。写真をご覧になりたい方はこちら。