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身体拘束を行う場合の要件と手順【緊急やむを得ない場合の対応とは】

こんにちは、とも(@tomoaki_0324)です。

私は作業療法士として6年病院で勤め、その後デイサービスで管理者を4年、そして今はグループホーム・デイサービス・ヘルパーステーションの統括部長を兼務しています。

日々忙しく働かれている皆さんに少しでもお役立てできるよう、管理職に必要な知識と情報をシェアしていきたいと思います。

今回は、『緊急やむを得ない場合の対応』についてお伝えしていきます。

「身体拘束がどうしても必要な場合、どうすればよいか知りたい」
「『緊急やむを得ない場合』って何?」
「身体拘束の研修がまだできていないので、資料となるものが欲しい」

そんな方におススメな内容になっています。

それでは早速始めます。

「緊急やむを得ない場合の対応」とは

介護保険では、「当該入居者(利用者)又は他の入所者(利用者)等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合」 には身体拘束が認められています。

でもこれは、「 切迫性」「 非代替性」「 一時性」 の三つの要件を満たし、 かつ、 それらの要件の確認等の手続きが極めて慎重に実施されているケースに限られます。

「緊急やむを得ない場合」の対応とは、「一時的に発生する突発事態」のみに限定されます。

当然ですが、安易に「緊急やむを得ない」 ものとして身体拘束を行うことがあってはなりません。

よって要件・ 手続に沿って慎重な判断を行うことが求められます。

では要件と手順についてお伝えしていきます。

三つの要件をすべて満たすことが必要

以下の三つの要件をすべて満たす状態であることが必要です。

そして「身体拘束廃止委員会」等のチームで検討、確認し記録しておく必要もあります。

1,切迫性
利用者本人または他の利用者等の生命または身体が危険にさらされる可能性が著しく髙いこと

「切迫性」の判断を行う場合には、身体拘束を行うことにより本人の日常生活等に与える悪影響を勘案し、それでもなお身体拘束を行うことが必要となる程度まで利用者本人等の生命または身体が危険にさらされる可能性が高いことを、確認する必要がある。

2,非代替性
身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する介護方法がないこと

「非代替性」の判断を行う場合には、いかなるときでも、まずは身体拘束を行わずに介護するすべての方法の可能性を検討し、利用者本人等の生命または身体を保護するという観点から、他に代替手法が存在しないことを複数のスタッフで確認する必要がある。

また、拘束の方法自体も、本人の状態像等に応じて最も制限の少ない方法により行われなければならない。

3,一時性
身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること

「一時性」の判断を行う場合には、本人の状態像等に応じて必要とされる最も短い拘束時間を想定する必要がある。

手続きの面でも慎重な取り扱いが求められる

仮に三つの要件を満たす場合にも、以下の点に留意すべきです。

(1) 「緊急やむを得ない場合」に該当するかどうかの判断は、担当のスタッフ個人( または数名) では行わず、施設全体としての判断が行われるように、あらかじめルールや手続きを定めておく。

特に、施設内の「身体拘束廃止委員会」といった組織において事前に手続き等を定め、具体的な事例についても関係者が幅広く参加したカンファレンスで判断する態勢を原則とする。

(2) 利用者本人や家族に対して、身体拘束の内容、目的、理由、拘束の時間、時間帯、期間等をできる限り詳細に説明し、十分な理解を得るよう努める。その際には、施設長や医師、その他現場の實任者から説明を行うなど、説明手続きや説明者について事前に明文化しておく。

仮に、事前に身体拘束について施設としての考え方を利用者や家族に説明し、理解を得ている場合であっても、実際に身体拘束を行う時点で、必ず個別に説明を行う。

(3) 緊急やむを得ず身体拘束を行う場合についても、「緊急やむを得ない場合」に該当するかどうかを常に観察、再検討し、要件に該当しなくなった場合には直ちに解除すること。この場合には、実際に身体拘束を一時的に解除して状態を観察するなどの対応をとることが重要である。

身体拘束に関する記録が義務づけられている

緊急やむを得ず身体拘束等を行う場合には、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況、緊急やむを得なかった理由を記録しなければならなりません。

具体的な記録は、下記にある「身体拘束に関する説明書・経過観察記録」を用い、日々の心身の状態等の観察、拘束の必要性や方法に関わる再検討を行うごとに逐次その記録を加えます。

そして、それについて情報を開示し、ケアスタッフ間、施設全体、家族等関係者の間で直近の情報を共有します。

この「身体拘束に関する説明書・経過観察記録」は、施設において保存し、行政担当部局の指導監査が行われる際に提示できるようにしておく必要があります。

       緊急やむを得ない身体拘束に関する説明書
                             〇〇〇〇様
1 あなたの状態が下記のABCをすべて満たしているため、緊急やむを得ず、下記の方法と時間等において最小限度の身体拘束を行います。

2ただし、解除することを目標に鋭意検討を行うことを約束いたします。

                                                           記

A 入所者(利用者)本人又は他の入所者(利用者)等の生命又は身体が危険にさらされる可能性が著しく高い
B 身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する看護•介護方法がない
C 身体拘束その他の行動制限が一時的である

個別の状況による拘束の必要な理由:

身体拘束の方法:

場所、行為(部位・内容):

拘束の時間帯及び時間:

特記すべき心身の状況:

拘束開始及び解除の予定:
    月   日   時から        月   日   時まで

                                                                        上記のとおり実施いたします。

令和    年   月   日

(利用者・家族の記入欄)

介護保険指定基準の身体拘束禁止規定

            緊急やむを得ない身体拘束に関する経過観察・再検討記録
                                                                                                          〇〇〇〇様
                                                                                                           月   日   時  日々の心身の状態等の観察・再検討結果:





カンファレンス参加者名:

記録者サイン:

介護保険指定基準の身体拘束禁止規定

おわりに

いかがだったでしょうか。

身体拘束は、 無いに越したことはありません。

しかし、身体拘束がどうしても必要な場合もあります。

その際は、適切な手順で対応し記録を残していかなければ、会社の存続にも影響します。

是非、研修で自施設の職員に周知し、身体拘束についての知識を深めていきましょう。

それではこれで終わります。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今後も、管理職又はリーダーであるあなたにお役立てできる記事を投稿していきますので、スキ・コメント・フォローなどいただけると大変嬉しいです!

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