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ICT は目的ではなく、手段なのか?

GIGAスクール構想によって、学校現場にパソコン・端末が導入されましたが、「ICT は目的ではなく、手段」というフレーズをよく耳にする…

このフレーズには、「だから、パソコンを使わずに○○○○(アナログ的なメディア)を使います。」といった感じで、ICT に対して否定的・ネガティブなフレーズが続くように感じています。

このフレーズに、違和感を感じるのはわたしだけでしょうか?

目的と手段

1) 何の目的なのか?

ここでの「目的」は、恐らくは「授業の目的」を指しているのだと思います。

小学校学習指導要領(平成 29 年告示)解説 国語編 平成 29 年7月 ‐ p.97

学習指導要領(↑ は小学校 国語)を見ても、ICT で検索すると

  • 自分や友達の発表の様子を録画し,観点に沿って振り返るなど,ICT 機器を活用することも効果的である。 … p.97

  • また,各学校の創意工夫により,児童の発達や学習の状況に応じて,ICT機器を活用するなど音声言語のための教材を活用し,指導の効果を高めることが期待される。 … p.156

  • 声を出して発表することに困難がある場合や,人前で話すことへの不安を抱いている場合には,紙やホワイトボードに書いたものを提示したり,ICT機器を活用して発表したりするなど,多様な表現方法が選択できるように工夫し,自分の考えを表すことに対する自信がもてるような配慮をする。 … p.160

といった感じで、確かに授業(この場合は、国語)の「目的」ではなく「手段」であるような書きぶりだと感じます。

2) 手段なのか?

確かに、学習指導要領の書きぶりからは、「手段」であるように感じられました。確かに「手段」なのは間違いないと思います。そして、前述したようにそれぞれの授業の教科としては「目的」でもありません。

しかしながら、↓ の記事でもあげたように、学校では情報活用能力の育成も行わなければならないはず。そう考えると、その授業の目的ではないものの、学校としては取り組まなければならないないようなのではないでしょうか?

小学校国語の学習指導要領でも、以下のように情報活用能力を含めた資質・能力の育成のために、教科等横断的な学習を充実させなければならないとされています。

小学校学習指導要領(平成 29 年告示)解説 国語編 平成 29 年7月 ‐ p.5

冒頭のフレーズを使って発言する人は、どこで情報活用能力を育成しようとしているのでしょうか?

きっとこのようなフレーズが使われる場面では、その授業の対象となっている児童生徒は、そのような ICT の使い方を日常的に行っておらず、その ICT の使い方が児童生徒にとって重荷になるのではないか、という配慮などから来ているのかもしれませんが、前述のような学習指導要領などからの書きぶりであれば、そうならないように学校として体系的に情報活用能力を育成しなければならないはずだと思います。

最後に

結局のところ、「ICT は目的ではなく、手段」というフレーズが、わたしは気に入らない。それは、局所的な視点で「教科・単元の目的ではないですよね?」と言っているにすぎないからです。
前述のように学習指導要領にも書かれている内容を踏まえていれば、もう少し違った表現になるはずだと思うのです。

学校として情報活用能力を育成しようと思うのであれば、様々な場面で、その授業の教科・単元の目的に直結していなかったとしても、ICT を利用する場面があっていいはずだと思うのですが、こんな考え方はいけないのでしょうか?

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