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情報活用能力の体系表について考える

過日の ↓ の記事について、もう少し書き連ねておきます。

文科省の思惑 

これもストリートスマートの「Education 通信」の中に掲載されていた記事から辿る内容になりますが、

文部科学省が以下 URL のような「資料4 文部科学大臣提出資料」を公開していると案内されています。

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/digital_gyozaikaikaku/kaigi5/kaigi5_siryou4.pdf

この資料の中では、p.3「教育DXに係る当面のKPI」として下図のようにまとめられています。この図は、過日の EDIX でもセミナーでの資料や、各企業のブースでも用いられていました。

p.3「教育DXに係る当面のKPI」

上図の中で、中段左から 2番目の KPI に注目すると、「クラウド対応の教育情報セキュリティポリシー策定済み自治体」が R5 の時点で 49.1% と半数に満たない程度となっています。これを、R7 までに 100% にしたいと文科省側は考えているようです。

②ネットワークの改善
「クラウド対応の教育情報セキュリティポリシー策定済み自治体」は半数程度

この他にも、「FAXでのやり取り・押印を原則廃止した学校」「生成AIを校務で活用する学校」といった項目があって、攻めた内容になっていると感じられます。

③GIGA×校務DX
他にも攻めた KPI の内容が…

FAX でのやり取りを廃止するというのは、メールやクラウドを用いたやり取りにシフトさせようとしているのだと思いますが、「クラウド対応の教育情報セキュリティポリシー策定済み自治体」が半数に満たないので、クラウドに対応した運用が行えない自治体が半数以上と考えられます。

そのようなクラウド対応の教育情報セキュリティポリシーが策定されていない自治体で、児童生徒に対してメールを利用できるようにしているとは考えられないと思います。

学校教育において、メールでのやり取りって、どの学齢で行えるようにするのでしょう?

情報活用能力の体系表

文部科学省の以下 URL の中でも案内されている「情報活用能力育成のためのアイデア集」の最後に掲載されている「情報活用能力育成の参考となる資料」に「情報活用能力の体系表例」が案内されています。

この「情報活用能力の体系表例」は、ステップ1~ステップ5と表記されており、小学校~高等学校までの各段階で育成すべき情報活用能力がまとめられています。

  • ステップ1 小学校:低学年(1~2年生)

  • ステップ2 小学校:中学年(3~4年生) 

  • ステップ3 小学校:高学年(5~6年生)

  • ステップ4 中学校 

  • ステップ5 高等学校

しかしながら、この表には「プレゼンテーション」「プログラム」「データ」「通信ネットワーク」「情報メディア」「Webページ」「SNS」といった用語を見つけることはできるものの、

  • メール

  • チャット

  • 掲示板(グループウェア)

といった用語を見つけられません。多岐にわたるサービスのすべてを、この体系表の中に盛り込むべきだと主張したいわけではありませんが、前述の 3つのサービスは基本的なものなだけに明記されていてもいいのではないか、と思うのです。

この体系表をもとにして、それぞれの自治体の実態にあわせて、それぞれの自治体の体系表を作成しなさい、ということなのかもしれませんが…

多くの公立学校において、ステップ1~4は市町村教育委員会、ステップ5は都道府県教育委員会、の管轄になります。それぞれの都道府県の自治体の担当者が協力してまとめなければ、

  • 市町村によって、内容に差異が生じる

  • 高等学校に進学した時に、高等学校の前提条件が揃えられない

という体系表になってしまう可能性があります。

東京都では?

東京都では、以下のサイトで東京都内の情報教育についてまとめられています。

前述の「情報活用能力の体系表例」を、より具体的にした「情報活用能力 #東京モデル 」が公開されています。

ここでは、文部科学省の体系表では「情報の発信や情報をやりとりする場合」とサービス名が明記されていなかった抽象的な部分が「メール」「チャット」「電子掲示板」といったサービス名を用いて表現されるようになっています。

情報活用能力ステップ図 「情報モラル・セキュリティ」分野

このように明記してくれていればやりやすいのですが、抽象的な表現になっていると、どのタイミングで指導するべきなのかの共通認識が自治体内で得られにくくなってしまいます。

願わくば…

このような状況を解決するためには、文部科学省の「情報活用能力の体系表例」で代表的なサービス名(場合によってはアプリケーション名)を表記してくれればいいと思います。

そうすることで、教育委員会の整備担当は当該サービスを有効化しなければならないと考えますし、学校現場ではそのサービスを使った学習活動をデザインしようと考えるはず。
具体的な商標となるようなアプリケーション名を表記することは避けるべきだと思いますが、前述したように現状も用いられている

  • プレゼンテーション

  • Webページ

  • SNS

に加えて、

  • 表計算ソフト

  • ワープロソフト

  • 電子メール

  • チャット

  • 電子掲示板

といったサービス名やアプリケーション名も明示した方がいろいろと進めやすいのではないかと思います。
あくまでも例示なので、実体にあわせて前後することがあってもいいと思いますが、明示されていないと使えないまま次に進んでしまうように思えてならないのです…

この辺りなんとかならないかな…😖

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