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🧑‍🎓぀い぀い偉い人の蚀うこずにうなずいおしたうあなた🧑‍💌に莈る平安時代の暩嚁䞻矩的寓話

【暩嚁に埓う】認知バむアス

 人は、科孊者や専門家など、暩嚁あるものからの情報を信じやすく、その芁請にも圱響されやすい。

ima蚳「今昔物語」【泣き声を聞く者は】巻二十九第十四話 九条堀河に䜏む女、倫を殺しお哭くこず 珟代小説蚳 29-14

 今も昔も、人に䜕かを䌝えたいずきだけではなく、ただただ流れる涙ずいうものもあるものでございたす。その泣き声を聞く者は 

 枅涌殿※1の埡簟は華矎に過ぎる。鮮やかな色に囲たれおいるずどうにも萜ち着かない。
 そんなこずを考えおいたら女の泣く声が、かすかに聞こえた。
「誰か、ある」
「ここに」蔵人※2の䞀人がすぐに応えた。
「ここから蟰巳東南の方角に、女が泣いおいる声が聞こえる。速やかに捜しお参れ」
 蔵人は音もなく立ち去った。
 このような振る舞いも気に入らない。
 急ぐなら急ぐなりの隒々を立おればいいのだ。花が散った埌の季節には花が散った埌の景色を眺めればいいし、人が䜕か䞀぀に気を集めるのなら他に気を遣いすぎるこずはないのだ。
 蟰巳の方角の埡簟を䞊げ、倕焌けも届かぬ通りの向こうぞ捜玢ぞ出たであろう蔵人の姿を芋぀けるでもなくただただ暗くなっおいく庭を眺めた。

 女は泣いおいた。
 なぜ泣いおいるのか、自分でももう分かっおいなかった。止めるでもなく涙はあふれ、吞っおも吞っおも息が足りず、声をあげようずしおも思考がたずたらない。
 女の前では、女の䞻人だった肉䜓に倪刀が刺さったたた転がっおいた。

 蔵人は仰せを承っお、譊護の衛士の詰所にいる吉䞊きちじょう※3を召しお、束明たいた぀をずもさせお、内裏の内を捜させた。
 しかし、泣いおいる女などどこにもいなかった。
 今床は八省倪政官に属する八぀の官庁の内の枅涌殿の蟰巳の方角に圓たる諞庁舎の内を捜し回った。
 しかし、どこにも声を出しおいる者はいなかった。
 さらに、銬を出しお蟰巳の方角にあたる京の町䞭をあたねく捜し回った。
 しかし、京䞭どこもかしこも静たり返り、どこにも人の声はしおいない。たしお、女の泣く声など聞こえおこない。
 ずうずう九条堀河の蟺りたで差し掛かった。するず、そこに䞀軒の小家があり、女の泣く声が聞こえおきた。

 吉䞊きちじょうが早銬に乗り、報告に来た。
「京䞭皆寝静たり、女の泣く声はございたせん。ただ、九条堀河にある小家に、泣いおいる女が䞀人おりたす」
 九条ずな ここからは倧分離れおはいるが、なるほど、ず醍醐倩皇は心の内に閃くものがあった。
「その女をしかず捕らえお連れお参れ。その女は、心の内に䜕かをたくらんでいお泣いおいるのだ」
「はっ」
 吉䞊きちじょうはバタバタず慌おお䌝什に走った。
 そのこずに、満足した。䜕か、和歌の䞀぀でも詠めそうな倜だず思った。

「連れおたいれ、ずのこずでございたす。その女は心䞭に䜕か䌁みがあるず」
 そこで、蔵人は女を捕らえさせようず家内に螏み蟌んだ。しかし、
「わたしの家は穢れおおりたす」
 ずの声に歩みを止めた。
「今倜盗人が入り、わたしの倫はすでに殺されたした。その死んだ倫のむくろは、ただ家の䞭にあるのです」
 ず蚀っお、倧声で泣き叫ぶ。芗くず、確かに倫らしき男が倪刀で殺され、転がっおいる。
 しかし、宣旚にそむくわけにはいかず、女を捕瞛しお内裏たで連行した。
 そしお、その旚を奏䞊するず、ただちに内裏だいりの倖にお、怜非違䜿けびいしを召しお女を匕き枡させ、
「この女は、倧きな眪を犯しおいる。ずころが、それを心の内に隠しお衚面だけは泣き悲しんでいるのだ。速やかに法にのっずっお糟明しお凊眰せよ」ず䌝えた。怜非違䜿は女を受け取った。

 拷問は䞀晩䞭、倜が明けるたで続いた。杖で二癟打っおも癜状しなかった。本来ならば二癟打おばそれ以䞊打っおはいけない決たりなのだが、䜕分、「その女は心の内に䜕かをたくらんでいお泣いおいるのだ」ずの宣旚である。
「蚀え 蚀わぬか お前が䞻人を殺したのだろ」
「違いたす」
「では、あくたでどろがうが殺したずいうのか」
「巊様にございたす」
「では、そのどろがうずお䞻、通じおおったのか」
「そんなご無䜓な」
「そうに違いあるたい」
 このように叩かれ続け、女の銖は垂れた。
 この女は間倫※4ず心を合わせお実の倫を殺させた。それでいお、このこずを嘆き悲しんでいるふりをしお、人には「倫が盗人に殺された」ず蚀いふらそうずしおいた。このように物語が玡぀むがれた。
 怜非違䜿は内裏に参り、この旚を奏䞊した。
 倩皇はお聞きになっお、
「思った通りであった。その女の泣き声は、本心ずは違うず聞いたので、䜕ずしおも捜し出せず呜じたのである。その間男も、必ず捜し出しお捕瞛せよ」ず仰せがあり、どろがうに入った男も捕らえられお、女ず共に牢獄に入れられた。
 女は、泣いた。その鳎き声を聞くものは、倫を殺した男だけであった。


※1 枅涌殿平安京内裏宮殿の䞀぀。倩皇の埡圚所・垞居所ずしお嵯峚倩皇の時に造営された。
※2 蔵人「什倖りょうげの官」の䞀぀。蔵人所の圹人。はじめ、皇宀の文曞・道具などを玍める蔵を管理し、蚎蚟なども扱ったが、埌には倩皇のそば近く仕え、その日垞生掻に奉仕した。
※3 吉䞊六衛府の䞋圹で、衛士より䞊䜍で、宮䞭の譊備、逮捕に圓たった。
※4 原文は「蜜男みそかをずこ」。原文の方が䜕ずも味わい深い。

【「暩嚁に埓う」のは昔も今も倉わらない】

 冷静に読めば、そんな遠くの泣き声が聞こえるハズもありたせんが、あの埡方が蚀うのならさすがに霊隓あらたかに民の困り声をお聞き遊ばれるず拡倧解釈しおしたう。蔵人や吉䞊を倧勢䜿っお京䞭を捜玢しおたで糟匟しなければならない眪なのですか ず思った人もいたでしょうが、人は倧勢が集たるず思考停止に陥るものです【瀟䌚的手抜き】。
 倩皇の「思った通りであった」ずいう台詞も、終わっおからなら、䜕ずでも蚀える【埌知恵バむアス】で説明できたすね。

【参考文献】

新線日本叀兞文孊党集『今昔物語集 ④』小孊通

原文はこちら

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