2021年。私の音楽レポート。(乃木坂を添えて)

 2021年。今年はいろいろありました。記憶にあるだけで、三回は今年炎上しかけています。

 乃木オタカトリックと乃木オタプロテスタント両方に刺されそうになりながらも、何とかアカウントを閉じずにここまでたどり着けました。

来年は穏便に。

(shiorimail風)

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 そんな私のSpotify年間総再生時間は22223分。約370時間ということは、15日半くらいはぶっ通しで音楽を聴いていたことになります。

 音楽は裏切らない。最高の友達。ちょっと、2週間ぶっ通しは怖いですね。でも来年はもっとガンガン行きたいですね。

 ということで、今年はそこそこ音楽を聴いたようです。なので、一旦記事にまとめてみることにします。

 世界のシーン、日本のシーンとはかけ離れた話が続きます。カニエウェストのDONDAがどうだみたいな話は全く出てこないのであしからず。結局コールドプレイとBTSが何かしていたのも聴いてない。

 今年の統計はともかく、私の感覚について記します。昨年に引き続き、fox capture plan、toconoma、NABOWA、tsukuyomi等のインストゥルメンタルとTRIX、DIMENSION、T-SQUARE等のフュージョン。ここに、H ZETTRIOや蓮沼執太フィルや上原ひろみ等を織り交ぜながら聴いていました。生演奏大好き人間。

 まさに「デジタルとアコースティックのせめぎあい」。美しさと狂気を感じるサウンド。唯一無二。ライブも見ましたが、音源で演奏にガッツリDAWで手が加えられているので、ライブより音源のほうがかっこいいタイプのバンドです。

 サラリーマンバンド。サラッとラフにかっこいい。ユニクロをめちゃくちゃオシャレに着こなす感じのミュージック。こんな大人になりたい。

 こちらはライブのほうがかっこいいバンド。今作「fantasia」はかなりディープな仕上がりですが、初期の名曲「きょうの空」などはブライトな感触。ドラマーが片手でケンハモを弾くというかなり衝撃的なところから始まります。かなりバラエティ豊かなバンドでかなりおすすめです。

 先日アニソンのカバーアルバムを出したTRIX。今回にせよ、嘘みたいなコメディ曲名、企画が多いことで有名ですが、演奏や曲は明るくとも硬派。ガチガチのテクニック。インテリおふさげ集団です。フュージョン界の大泉洋。

 こちらは言うならば滝藤賢一。DIMENSIONはサブスク配信無し。小学生の時に聴いてからぞっこん。そこからのフュージョン沼。最新作「32」キマってます。Superstoneという曲が最高。二人体制になってどうなるんだろうか……と思っていたら非常に聴きやすいアルバムになりました。変態な拍子、えげつないコード進行はちょっと物足りない?これはまぁ小野塚さんが持っていた要素なのかな……。増崎さんのダンディなギターも、勝田さんのグラマラスなサックスも唯一無二。この先も注目してます。

 本田雅人大先生。「団体」と呼んで微妙な距離感を保つ先生。今年公開された数々のライブ配信は無料で見れていいの?というものばかり。T-SQUAREこそほんとに作品が多いし、何から話せばいいのか。

 最近の曲ならば「REBIRTH」がTRUTH 2.0という感じでかっこいいです。

 H ZETT M ver.と迷いましたがH ZETTRIO ver.を。非常にミニマルなループで広がっていく音楽。必ずしも展開していかなくとも盛り上がるんだなぁということを考えました。

 爽やか。優しさ。豊か。心の空気がきれいになるミュージック。朝は決まってこれを聴いていた気がします。蓮沼執太フィルをみつけたあたりから私の音楽の関心は「演奏」にシフトしていった気がします。

 アイソレーションというくらいですから、ジャズのセクションとクラシックのセクションが個別に存在するように聴こえます。しかし、一体感がある。絶妙です。同アルバムなら「Someday」もおすすめ。

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 反対に、昨年はよく聴いていたin the blue shirt氏だとかtofubeats氏などはあまり聴かなかったなという印象。もちろん、昨年から好きだった曲は定番として聴いていましたが……。(ちょっとだけ中田ヤスタカ氏を聴いて「WORLD OF FANTASY」が好きになりました。)

 今年まじめに聴いた新譜は、Kabanagu氏の「泳ぐ真似」と、

パソコン音楽クラブの「See-Voice」くらい。

 どちらもとても好きですが、私の音楽の趣味や関心が「演奏」方面に少しシフトした後だったので、繰り返し聴くもそれ以上のディグは発生せず。

 少々番外編的な立ち位置ですが、今年の私のリスニングを語る上ではドラマのサントラも大きいです。冬ドラマで言うなら「最愛」、「SUPER RICH」、「ドクターX」……ドラマを見たあとサントラを聴くというのが日課になっていました。

 特に「大豆田とわ子と三人の元夫」関連の作品は外せない。

 作品はもちろん、今年というか、近年としては稀なくらいハマったし、この「#まめ夫 序曲」は毎朝レベルで聴いていた。坂元裕二作品はエグいですが、そのエグさが却って、実生活の大変な年において、不思議と何とかなる気分にしてくれます。

 今年一年、蓮沼執太フィルにハマってるところなども含めると、ポップスオーケストラ的なものにハマっているのかもしれませんね。そういう方面をディグしてみてもいいのかも。

 ちなみに、乃木坂ついては、年間聴取率で意外にも1位を取りました。時々、発言からして「お前は乃木坂が嫌いだ」とか言われますけど、むしろ僕はこの一年でもっと好きになりました。(誤解されるのは信念の違いによるもの。)

 今までだったらすっかりあきらめていた、卒業コンサートなどが配信されるようになったことで、今年見てる本数が圧倒的に多いことが関係していると思います。

 いろんなニュースがあり、その結果聴く曲も変わりました。「三番目の風」も「思い出ファースト」もライブ見るたびに大好きになっていきましたね。

 もうずいぶん前のことに感じてしまいますが、「僕は僕を好きになる」がリリースされたのは、実は今年。ひえっ。

 個人的に大きなニュースはやはり大園桃子氏と生田絵梨花氏の卒業。ほかにも、私の推し=久保史緒里さんに関係が深い人物がどんどん卒業していきました。その度、先輩から色んなものを託される様子は未来への期待と少しの恐ろしさを感じるものでありました。

 (特に、WHITE graphのインタビューあたりからの「センター」に関連する彼女の発言見ていると、来年はかなり大きな年になりそう……本当に久保史緒里センター来るんじゃないの…?)

今年聴いていた曲から一部抜粋。

 平行線でほんとうの意味で桃ちゃんの声の魅力に気づいた夏。

 久保ギャラガーよかった。ライブで見たい。

 改めて、本当に好きです。生田絵梨花さん、ほんとにありがとうございました。これからもよろしくおねがいします。

 大きな変革のフェーズを迎えているのは明白です。言わずもがなトップアイドルになっただろうし、それに伴い、どなたかが指摘していた通り、コミュニティとしてますます閉鎖的になっている感じは否めません。もはや、商売の相手は今いるファンであって、世間一般ではなくなった印象さえあります。超保守的っちゃ保守的。

 それに、「乃木坂が乃木坂のために乃木坂をしている」傾向はがますます強まっている気がします。それ自体に関しては私はいいと思ってますが…。

 ファンのための活動というより、みんながやりたくて、幸せで、そこに居場所があるから乃木坂をしている。極めて暖かで、不思議なコミュニティができているなという印象があります。

 レコ大とったし、紅白も常連になったし、テレビでも、ファッション誌でも見ない日はない。勢いとかは一時に比べたらそうではないかもしれない(定番になってしまった)感は否めないけど、メンバーの表情を見る限り、皆すごく幸せそうですごくグループとしていい感じなのは明らかで、多分ここからは多分その幸せなコミュニティをいかに続けるかとかの方が重要そうです。進化より維持。維持するための変化。それは停滞とは微妙に違うサイクルだと思っています。そして、意外と難しい。そのために、どんな活動をしていくのか。

 究極的に言ってしまえば、もはや売上とか関係なく、当人たちが幸せであることが成功、という特殊な状況なのかなと思っています。

 アイドルでもアーティストでもなく、乃木坂である。ますますそういう独立した、一つの「美しいモノ」。曲とか売上とか規模とか、そんなのは副次的な要素に過ぎなくて、楽屋の楽しいひと時とか、パフォーマンスで目を合わせてニコって笑う瞬間とか、人間関係とかが、あのグループの存在する意味になっている。そして、その意味がかかる対象は当然メンバー同士であって、ファンはあくまで観客。メンバーの幸せの追求としての活動。ある意味ファンは蚊帳の外。

 でもそれでいいんです。我々はその少し離れた場所からその「幸せな空間」をおすそ分けしてもらう。そして、その幸せな空間の存続を願って「お布施(もろもろの購入)」をする。そうやって売り上げが担保されることで彼女らの「幸せな空間(コンテンツとしての規模、人気含め)」が維持される。

 多分、我々が払っているお金は自分がそのCDが欲しい、とかではなく、あのメンバーたちが幸せであってほしいという願いです。
 
「購入じゃなくて寄付。ある種のふるさと納税。返礼品は彼女らの幸せな様子とCD。」
by トトム(2021)

 こうやって書き出していくと、ファンとともに上り詰める!みたいなニュアンスを持つ日向坂とかに比べてファンとメンバーの立場はアンフェアな関係に見えます。メンバーはメンバー同士しか見えていなくて、我々には不可侵な領域という傾向がとても強い。昨日もスペースで話してましたが、ますます内輪的な世界が完成している。

 しかし、それは必ずしもマイナスではなく、むしろ個性だと思っています。すでに我々がしているのは応援ではなく崇拝に変わりつつあるのかもしれません。乃木坂に「乃木坂っぽさ」を求め、時々応援というより、ありがたがってますから。信じる対象は「あの頃の乃木坂」。「あの頃」は人それぞれ違っても。

 ますます、ある種宗教チックになっていくんだろうなと思いますが、それで私はいいと思っています。きっとその信仰が強固であれば資金面として盤石でしょうから。人気ではなく「信仰」になったらきっとほんとに「衰えない」。

 私はあの方々を信じています。だから、この先も応援したいと思います。

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とまあ、乃木坂についてはTwitterでよく書いてますので、一旦ここまで。

 さて、本題のインストゥルメンタルに関して、日本国内のアーティストでは、LITE、Apuneumo、Gecko & Tokage Parade、ROVO等を新規開拓しました。 

エグいテク。メタルとまでは行かないものの、今回取り上げるバンドの中ではやや激しめです。彼らはfox capture planのトリビュートアルバムにも参加していてそこで披露した「Cross view」のカバーも最高。

 この2組はまだまだdigの最中ですが、各バンド個性があります。ざっくりと系統に分けれてもみんな違う。そこがインストバンドの多様性と面白さ。

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 プレーヤーの圧倒的な高齢化が進むJ-フュージョン。T-SQUARE 伊藤たけし氏も御年67歳です。今でも現役で頑張ってらっしゃることにありがたさを感じる一方、今年は、和泉宏隆さんの死去などもあり、ジャンル自体の存続について考えることもありました。もちろん、川口千里さん等、ジャンルを担いそうなプレイヤーは現れていますが、既存バンドのサポートしつつソロアルバムを出すといった感じ。若い世代のバンドはなかなか現れていないように感じます。残念ながらJ-フュージョンが斜陽ジャンルなのは否めないでしょう。

 そのなかで、なんとかプレイヤーを入れ替えつつバンドを存続していくのが、あの界隈のセオリーとなりつつある今。伝説のバンドの存続以上の何かの劇的なものはないのかと探していた中で見つけたのがDEZOLVEです。とくに、今年見つけたバンドの中で見つけられて嬉しかった。少しの安堵感もありました。

 バンドの設立年および平均年齢はダントツで若く、精力的に活動なさっているフュージョンのバンド。一口にフュージョンと言ってもいろんなスタイルがありますが、私の好みのエグいスキルとエグいコードを中心としたコテコテのフュージョンが繰り広げられていました。系統としてはDIMENSIONとかのギラギラ系。サックスはいないもののすごく通ずるものを感じます。DEZOLVEの特徴としては、コナミのサウンドチーム出身の方がいる関係か、曲によってはチップチューン的なセクションが含まれていたりするのが面白いです。それでも軸はフュージョン。(フュージョンってジャンルがぼやっとしているのでいまいち何がフュージョンと定義するのは難しいですが。)

 ボーカルが入ったre:frutiton。アニソン的な楽曲とフュージョンは近いのか?と感じた一曲。個人的には関ジャムで取り上げられるまでにリーチできなかったのが悔しい。

 先に挙げた新規開拓組に関しては、まだリリースしたすべてを聴けていないので、引き続き聴く予定です。

 いずれにせよある程度日本のインストゥルメンタルに関しては、好みはさらった感じがあったので、一旦海外のインストゥルメンタルに目を向けてみようというのが、今年の後半のテーマでした。

 Spotify謹製プレイリストからのディグを試みだしたのが、9月ごろ。Fusion Festなどいろいろなプレイリストを探る中、一つ目の発見がOwaneというノルウェーのギタリスト。

 意表を突くビートと、複雑なコード進行。何より本人のたぐいまれなテクニック。そこに独創性が加わり、個性的で引き込まれる曲が多いです。Jフュージョンと一口に言っても様々ありますが、そのあたりに影響されている様子も感じます。

 「Rock is too heavy」が収録されているアルバム 「Yeah Whatever」は今年数少ない、一気に通しで聴いたアルバムです。一つのアルバムで展開される曲は極めて多彩。

 テクニックや複雑なコードはある意味「辛味」に近いものだと感じています。それ一辺倒に、奇抜さばかり追求することにハマっているように見えるアーティストも時々いますが、それはあまり聴いていて面白くない。辛いだけでおいしくない、というやつですね。

 でも、プレイヤーのエゴが見えない演奏は面白くないし、やっぱりせっかくこういう曲を聴くのだから、とんでもないスゴテクをかましてほしい。でも、もちろん音楽として成立していて、「いい音楽」になっていないといけない。そういう意味で、Owaneは「旨辛」なギタリストだと思います。

 もう一つの旨辛ギタリストJakub Zytecki。「Letters」のギターもドラムも音作りが最高です。冒頭のしっとりしたフレーズからギアが入って駆け抜ける展開。素敵。

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 このように、一定の収穫はあったものの思ったほど新規開拓はできず。多分好みの幅が狭かったんだろうなと思います。もちろん、Snarky Puppy の「What About Me?」等曲単位でよいなと感じる曲はもちろんたくさんありましたが……

 今年死ぬほど聴いていた「What about me?」。 

 そんな中、Instrumental FunkというプレイリストでThe Fearless Flyerというバンドに出会います。

 お気づきの通り、一曲が極端に短いんです。そして最初からクライマックス。前振りはないです。初めてファンクというものを聴いて、こんなにクリアでブライトなブラスセクションがあるのか!!!となりました。

 そこから当然のようにVulfpeⅽkとCory Wongに流れていきました。

 日本語MVを自分たちのインターナショナルなチャンネルに上げてくれたり、ちょっと日本びいきな感じがあるVulfpeck好きだぞ。

 「I don't want silver Don't want the bronze」エネルギーに満ち溢れた歌詞とプレイ。本当に勇気づけられました。

 このThe Fearless Flyers、Vulfpeck、Cory Wongに関しては素晴らしいnoteがあったので、引用しておきます。詳しいプロフィールはそちらを。

 Youtubeでライブ全編公開しちゃったり、かなりアーティストの態度としても新時代な印象。この取り組みをコロナ前の二年前にすでにしてますからね…。

 Vulfpeckのマディソン・スクエア・ガーデン公演、めちゃくちゃ良いです。

 特にこのCory Wongというギタリストにかなりハマりました。とにかく作品数がえげつない。誰かの客演しまくりです。マンドリン奏者からサックスプレイヤーまで。いたるところでその個性的な演奏で豊かにしていく。ベクトルとしては、イチゴのショートケーキのイチゴみたいなものを感じます。いや、フルーツタルトのキウイ?

 彼のプレイの特徴を、簡単にまとめるとカッティングを中心とした「リズムギター」と「リードギター」の融合を図ろうとしているとか。私は、まだそこまでリズムギターもリードギターも定義がわかっていませんが、彼のギターを聴いていると、複数のパートが聴こえます。(Airplane modeが特にそう感じる。)

 今年なら、特にスウェーデンのバンドDirty Loopsとコラボアルバム「Follow The Light」がすごい。

音のタイト感、硬質さ。聴いていて本当に気持ちいい。このアルバムの、Thrillerのカバーもまたおもしろい。

 これはowaneでも思ったことですが、やっぱり「テクニックがえげつないことは正義」。やっぱり音楽はドヤってもらってなんぼ。やや暴論な気もしますが、これは今年一年いろいろ聴いたうえでの一つの結論です。

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 今年のまとめとしては、自分の音楽の好みの軸が見えてきた感触があります。今年出会ったアーティストは大きなものばかり。特にCory Wongは大きいです。それに感謝しつつ、もうちょっと体系的に音楽聴けたらなぁ…という気分です。もちろん、勉強にならないように。興味の赴くままに。とりあえず、海外インストゥルメンタルに関しては、もっとDigをすすめたいですね。

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と、いろいろ書きましたが今日はここまで。

来る2022年が皆さんにとって素晴らしい年になりますように!それでは良いお年を!

2021.12.27


 








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