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タンザニアのお手伝いさんに教えてもらった人生の教訓3つ

マンボ!

タンザニア在住ライターのほりとも(@tmk_255)です。

タンザニアにきて、人生で今までやったことのない「お手伝いさんを雇う」という体験をしています。うちでお手伝いさんをしてくれるのはステラという40代前半の女性。

タンザニアのお手伝いさん文化で気づいたこと、はこちら。

家のことではもちろん頼りになるステラからは、他にも学ぶことがたくさん。今日の記事は、日本にいたら気づかなかったかもしれない、お手伝いさんから教えてもらった3つのことについて。



自由に表現しよう!

ステラは、テキパキと仕事をこなすデキルお手伝いさん。私が仕事のミーティングがあったり、外出する時には、4歳の息子をみてくれています。

そして息子もステラが大好きで、40も年が上の彼女のことを友達のように思っているみたいです。

「ステラ、今日は髪型がいつもと違うじゃん!」
「そうよ。わたし、かわいいでしょ?」
「幼稚園にお迎えに来たとき、どこかの女の子かと思ったよ~(笑)」

別の部屋で仕事をしていると、そんな2人の楽しそうな会話が聞こえてきます。

そして、ある時は、シャキーラの『ワカワカ 』(2010年、南アフリカのワールドカップの公式ソング)が隣の部屋から流れてきました。のぞいてみると、子供たちと一緒に、一番楽しそうに踊っているステラの姿が。ステラも子供に戻ったように楽しそう。踊りが下手な私も、思わずへっぴり腰で参加しました。

踊るステラと子供たち

ステラがこうやって子供たちと踊っているのを目撃したのは少なくとも3回。いつも5分くらいしたら、「はぁ~、疲れたわ」と言いながら、ちゃんと仕事に戻っていくところがさすがです。

ステラは、週末はお友達と教会に行くそうですが、そこでもこんな風にみんなで歌いながら全身を動かして楽しくダンスをするそうです。

40代になっても、こうやって心から楽しそうに踊っているステラを見ると、私も年齢を口実に楽しいことやワクワクすることを我慢しなくていいよねと思えます。

タンザニアで心を許せる仲間

ステラは私のタンザニア生活を安心に過ごすための先生でもあります。

ある日、壊れたトイレの修理に作業員が来ました。靴のまま家に入ろうとするので、靴脱いでと伝えたけれど、「いや、ルールで脱げない」と断られます。あきらめて、靴のままの入室を許そうとしたら、ステラが出てきました。

「待ちなさい!あんたたち!」
「ルールじゃない。うちのルールがある。家の中では靴を脱ぐというルールだ。だからお前たちが靴を脱げぇ!」と強く言い放ち、作業員たちは言われた通りに靴を脱ぐではありませんか。

作業員たちが帰ってから、ステラはこう言います。
「外国人だからってなめられちゃだめよ!いつも笑顔でいる必要はない。
嫌な時は怖い顔をつくって、NO!と言っていいのよ」と怒られました。

なるほど。なんだかフレンドリーな人達が多いから、私も笑顔にしているけれど、こういう時はビシっと言ってもいいのか…。

お手伝いさんを雇う前は、ステラのことも警戒していました。なぜなら「お手伝いさんがこっそり家の米を持ち帰っていた」「砂糖を盗まれた」「お金を盗んでいたことが発覚したので解雇した」とか、お手伝いさんに関するそういう体験話をよく聞いていたからです。

でも、どんな小さな小銭でも買い物のおつりはしっかりと返し、洗濯物の服ポケットに入っていたお金もしっかり戻してくれるし、なんなら私が小銭がない時には立て替えてもらったりしています。

そして、タンザニアでよくあるのが、「お金貸して(=ちょうだい)」問題。外国人の多くが頭を悩ませています。タンザニアでは、収入のあるものが、ないものを助けるという文化があり、みんながお金を貸しあっているので、「人からお金を借りる」ことの敷居が低いように感じます。

だから、雇っている庭師のおじさん、警備員のおじさん、なんなら息子の幼稚園の先生にまで「ちょっとお金ないんだけど、貸してくれない?」と言われます。これは慣れないと、衝撃的です。でも、ステラだけは、そのタンザニアではよくある「お金貸して」がないのです。

彼女の日々の態度や接し方を見ていると、人から信頼を得るにはどうしたらいいかがわかります。こういった信頼できるステラは、私にとってタンザニアの先生でありながら、信頼のできるチームメートでもあります。

4歳児の悲しい記憶

こんなステラは2人の息子をもつシングルマザー。10代の息子さんたちは、キリマンジャロの麓に住むステラのお母さんと一緒に生活し、全寮制の学校に通っています。理由は、「タンザニアの公立学校はひどいから、体罰がない学校で教育をうけさせたいから」というステラ。

息子さんたちと会えるのは、クリスマスや年始などの特別な時だけ。でも悲壮感は全くなく、よく息子さんたちのことを嬉しそうに話してくれます。

ステラがどうやって二人の息子をシングルマザーとして育ててきたかなど子育ての話をしていた時のこと。突然、彼女が悲しそうに言いました。

「今でも忘れない悲しい思い出がある」
「私が4歳の時、私のおばあちゃんの家に預けられていたの。だけど、母が仕事がなくて、お金を払えなかったから、私だけおばあちゃんから食べものをわけてもらえなかった。他のいとこたちが目の前で食事をしている席で、私だけスプーンをもらえず”食べるな”と言われたの」
「あの時の記憶は大人になってもよく思いだすの。4歳の小さな子供にこんな経験をさせちゃ絶対にだめ」

突然のステラの子供時代の悲しい話に驚き心が痛くなった私は、無言でハグをすることしかできませんでした。

彼女のこの体験からきているのかなと思うのが、うちの4歳の息子との関わり方。

例えば、ステラが料理をしている時は、できるだけ息子がやりたいことをさせてあげようとします。スコーンを作る時に生地をカットさせたり、ニンジンの皮むきをさせたり。庭に野菜をとりに行くときも、一緒にハサミをもって、ちょきちょきと一緒に切っています。そのおかげで、息子は以前は食べなかったホウレンソウを、自分が畑からとってきたものとしてしっかりと食べるようになりました。

子供には120%の愛情をかけて育てて、何でも体験させてあげよう。
そういう当たり前だけれど私がなかなかできていないことを、ステラは見せて教えてくれます。

おわりに

「家のことをやってもらうお手伝いさん」として来てもらうようになったステラから、私は、生き方や心の持ち方など、人生で大切なもっと大きなことも教えてもらっています。

年齢が私とほとんど変わらないステラですが、なんだか私よりもたくさんの人生経験をしてきた年配の人のようにさえ感じます。

今ではただの「お手伝いさん」以上の存在であるステラと、今日はどんな話ができるのか、楽しみです。


#海外生活

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