アメリカ激闘記⑦ (仮)
これは困った。。困ったぞ〜〜…。。。
僕らの目から見て、明らかに困っていない様子(を始終通していた)だったのは、ブルー役の彼張本人、ただ一人だった…。。
誰が代役を務めるのか、熟考された。結局、このショーを一番俯瞰で客観視出来ていた、マネージャーであったサニーに白羽の矢が立った。彼もまたれっきとした、優秀な、いちスタントマンでもあった。(現在は、米:"HAWAII FIVE-0"等、他有名作のメインアクションクルー)
彼は案の定、すぐに覚えた。本来ならもうその猶予はない(あと数時間で1ステージ目の幕があく)リハーサルが進められてゆく中も、当の張本人(ブルー役の彼)は、客席に足を組んで座り、ヘラヘラ笑いながら皆に指示を出していた。他のアメリカ人メンバー達も、この時はまださほど疑問には感じていなかったらしく、皆笑っていた。
ゲラゲラと時に悪ふざけしながら悠長にやっている者も多く出てきた。。
これは(真面目過ぎる、)日本人(僕)独特の考え方なのだろうか…
「…おいおい… 誰のためにこの最中(さなか)リハーサルしてるんだ…」
この時はまだ"心の声"だった。。
本来ならここ(ラスベガス)で皆の集大成を見せられるはずだった。LAから休みを利用して(視察も兼ねて)来るパワーレンジャー(撮影)スタントマンチームや、監督陣、日本人にも良くしてくれたプロデューサー達にも、それが見せたかった。(ま、実質ショー自体を見せられなくなる、という訳ではないんですけどね、、うん…)
しかし、より精度とクオリティーの高いもの、最高に気持ちの込もったものを、一番に、楽しみにしている子ども達に見てほしかった。
自分自身も、ここまで来たら余計なことは考えず、そのことだけに集中していたかった。
この時はきっと皆が、明らかにこの世界のエンターテイメント界の中心の地に一瞬でも"巣"を張ることの、えもいわれぬ大きな何かを肌で感じ、どこかで心が舞い上がっていたのだろう。。
1ステ目への時間のリミットは刻々と刻まれていた。
いまだステージ上では、締まりのないゲラゲラという笑い声が響いていた。。
客席でその様子を見ながら自分の出番を待っていた僕は、、
我慢の限界だった。
「シャラーーーップ!! ノー!ラフィーーング!!!!!」
咄嗟に出たこの英語が合っているのかはよくわからなかったが、客席の後ろの方から、皆が一瞬にして口をつぐみ目を丸くしてこちらを見るほど感情の波動を剥き出しに叫んだのは、このツアーを通して一度も大声を出したことのない、僕だった。
…"⑧"に続く。
"おまけ♪"
(↓TVシリーズ撮影時の写真、いくつか貼っておきます)
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