90年代は無事、懐古のコンテンツとなった
先日、70年代から80年代の”懐メロ特集”をまとめた知人が『90年代は入らないんですか?』というフィードバックを頂戴した話を伺った。
1990年代カルチャーをふんだんに盛り込んだ映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』が公開中だ。
ミニスカートにルーズソックス、派手なメイクと独特のポージング。
そんなコギャル文化を緻密に描き、劇判を担当するのは小室哲哉氏、
さらにインスタントカメラなどの演出の細部までこだわるなど、当時の空気感に肉迫していると話題の作品だ。
劇中で効果的に用いられる楽曲は、安室奈美恵「SWEET 19 BLUES」。
1996年にこの曲をリリースした彼女は、この9月で一線から退くことになっている。
今日、その日を一週間前に控え、ラジオ各局で特番が編成されていた。
まさに一区切りがつけられようとしているこの時代が、とうとう映画という一つの大きなコンテンツとして認識されたことは大変うれしく思う。
1990年代に生まれた私にとって、初めて追体験として楽しめる”懐古型”コンテンツだからだ。
この日曜日に放送されるテレビ朝日系列『関ジャム 完全燃SHOW』も
上記の映画と連動して<90年代と小室哲哉>というテーマを番組の根幹に据えてオンエアされる。
先日の24時間テレビで大きな話題となったのは、90年代を代表するバラエティ番組『ウッチャンナンチャンのウリナリ!』の企画から誕生した音楽ユニット「ポケットビスケッツ」の復活だったのも記憶に新しい。
これらが意味するのは、90年代という世代が、番組制作に耐えうる大きな軸であるとマスコミが認めた証拠だ。
私もそうだが、90年代生まれは30歳に到達しようという年代で、
平均的な考えでは十分な所得があり、人によっては家庭を持っているのでビジネス的ターゲットとしても合点がいく。
押しも押されぬ”一大コンテンツ”なのである。
実際に世間の空気は現代に比べて湿度が低くエネルギーに溢れていて、
いかなる切り出しでもコンテンツとして明るい結論に着地が可能だ。
そう思ったとき、ふと<その後はどうなのだろう>と思ったりする。
『懐古』というのは『歴史の検証』と異なり、温かみのあるプラス要素があって初めて成立することはこれまでの”懐古型”コンテンツでご存知のことだろう。
2000年代、2010年代に、一本芯の通るなにかはあっただろうか。
バーチャル化する消費行動、過激化する発言の数々。そこに時代への愛着はあっただろうか。
自分の生きた時代が、<懐古してもむなしい>と思われるのは少し悲しいと思う。どうだろう。
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