小学校で音楽教育を行う意味とその目標 ②

 小学校で音楽の授業を作る際にはやはり「音を楽しむ」ことを体験させるべく構想を練る必要があろう。音楽とはややもすると元々得意としている人のみが遊び感覚で楽しむ「嗜好」になりがちである。どこかのヴォーカルスクールの宣伝文句に「習いに来ている時点でプロの歌手になることはできない。プロの歌手になれるのは小さい頃から誰にも教わることなく、自然に上手く歌えた人だけ。」という本当に集客をする気があるのか疑わしくなるフレーズがあったが、実際に教える側は「習わないと歌いにくい」子供たちのことも考える必要がある。「独唱の時間が苦痛極まりない。」という感想をよく耳にすることを鑑みると、まずはここを見直す必要があるかもしれない。何人かずつのグループに分けて「ハモり/合唱」の機会を多く設け、上手い下手に余り固執せず周りの声を聞きつつ、苦手な子は得意な子に引っ張られて自然に歌える環境の整備など音楽に親近感を抱けるような機会を是非とも多く設けたいものだ。私などは音感といったものは全く持ち合わせておらず小学校時代に独唱のテストをさせられた時は照れが隠せなかった。しかし中学校一年生の際に、二人一組で映画『メリー・ポピンズ』の『スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス』を歌った際には「とても楽しそうで良かった。」と大いに褒められた。楽しそう、ではなく実際楽しかったのだ。音楽で最も苦手意識を抱く子供が多いと思われる独唱の壁を上手く取り払う、音楽教育に課題は多くあれどこれはなかなか大きいのではないだろうか。音楽教育に携わる折には、是非とも心がけたいものである。

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