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映画『線は、僕を描く』感想

今回は、映画『線は、僕を描く』の感想です。

若者と伝統的文化という組み合わせの影響か、ちはやふるを思い出していたんだけど、監督が同じなんだね。
面白かった~!特に後半はこれでもかというほど泣いた。

大学生の青山霜介が、水墨画の巨匠・篠田湖山に弟子に誘われるところから物語は始まる。
とある過去に縛り付けられ心が立ち止まっている青山が、水墨画と彼の周りの人々によって救い出されて、もとい変化させられていく。絵も人もみんな優しい。これは「でもなんか、優しい」と評される彼の人柄ゆえだろう。
彼が過去や自分と向き合うかたわらで、湖山の孫であり絵師の千瑛もまた、自身と向き合い、スランプを脱出していく。人の本気が人を感化してしまう瞬間は本当に良いな。いつ見ても好きだ。

水墨画絵師によるライブペイントはどれも圧巻!魅入ってしまった。役者さんや音楽やカメラアングルの力も相まって、絵師一人ひとりの個性が映像全体に溢れていたなあ。どんなふうに撮影したのだろう。ライブペイント、私も実際に見てみたいな。
ちなみに音楽がとっても好み!バイオリンやマリンバの音が沢山使われているような、ああいう、勢いと優しさのミックスみたいな曲。サントラあるかな~?

命に対するアプローチや描き方がよかったなあ。「水墨画は森羅万象・自然に寄り添って描くもの」と口にするだけでなく、画でも表現していて、豊かだ。食事や食材にじっくりと手を合わせるところや、農家に買い出しにいくシーンだとかね。

原作小説と映画とでは細かな設定が異なるようだ。青山の妹と椿の花というキーワードは、物語をより豊かにしてくれたと思う。あと、青山の記憶と現実とのギャップ、災害への捉え方含めたリアリティ、このあたりは少しぞっとした。

アートに興味を持ち始めて数年経ちますが、美術館に訪れることに加えて、こうやって映画で楽しむのもありですね。少しずつ色々な作品を見ていこう。お勧めの作品があったらぜひ教えてください!

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