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酔狂日記

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自動書記的な掌編集。
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2014年6月の記事一覧

Infinite reproduction

Infinite reproduction

受話器を放り投げた途端に変容。赤い受話器は放物線を描いて落ちていく、捻るような力で回転するため、背面がのぞく、プラスチックの表面に朝日が反射して光ってみえる、コードがらせん状に動いているのが意識される。

配管勤務に日々の明け暮れ、自分が或る通過儀礼をクリアしてないんじゃないか、と思って、思い返してみたりする。

概念的に三人いる自分が悪意を持った存在に接触、しないように、暫定的に制限された行動の

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God knows...

God knows...

もう3時間近く、恋人のクルミに付き従って郊外にあるアウトレットモールでさまよっている。

片っ端からアパレル店に立ち寄っては、多種多様な衣服を試着するクルミに付き合うのにも、そろそろ疲れてきていた。

恋人のクルミは幼い顔立ちをしていたが、均整のとれた体型と化粧によって、大人びた着こなしもよく似合った。僕自身は女性のファッションにはさほど関心がないので、本人が気に入りさえすればそれでいいと思うのだ

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motorhead

motorhead

クソが、こんなとこケッタで走んじゃねェよ、愚民はよォ、賤民はよォ、選ばれし民である崇高な、下校時にMTB漕いでヘッドフォンからはもちろんガッツンガッツン、グリングリンの“ヒッピー殺し”だぜ。

いつも、ほぼ毎日、いや、二日か三日おきに訪れるゲームセンターで近頃もっぱらプレイしているのはお決まりのお定まりの格ゲーなんだが、今日はどこぞのズベ公が、淫売が、まるでインダストリアル・ノイズじゃねェんだから

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LuLu

LuLu

暗欝な気持ちが、晴れた午後だというのに、室内にこもって部屋のカーテンを閉じ、猫をたまに撫でたり、愛でたりして、シーツやソファの上を忙しなく行き来するルルの尻尾が揺れているのをゆっくりとコーヒーカップを傾けながら、苦い液体を喉頭、“こうとう”とタイピングして変換して、google検索して、文字と煙の行ったり来たりを、在り来たりの産物の、機械の感覚の無痛状態を満喫していた。

Lou Reed & M

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