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社会が優しくなった今、はたらく個人は厳しい転換期にある

エンジニア&ビジネスコミュニティをはじめてみた

コミュニティ活動そのものに興味があるというより、多様な人たちと触れることで自分自身をバージョンアップさせたい、そんな感覚ではじめた有志コミュニティ活動。その以前にもJANOGというネットワークエンジニアのコミュニティに参加していたこともあり、いわゆる緩い繋がりと多様性ある空間に興味があったことも今振り返ると大きく影響していたと思う。2014年7月夜、大型台風上陸でそもそも開催できるのかという状況の中、当時勤務するオフィスの霞ヶ関ビル20Fにある100名収容するセミナールームでAPI Meetup Tokyo 第1回を開催した。当時は今と比べるとオープンイノベーションという言葉はあまり耳にせず、コミュニティイベントはエンジニアが中心な状況だった。ITシステムの外部開放とシステム間連携の可能性に興味があり、その未来にオープンイノベーションを見ていた自分が外資スタートアップ企業の勤めていたり、エンジニアとしてのスキルアップを目指す有志の運営メンバーと一緒にAPI Meetupを企画。それぞれコミュニティ活動の目的こそ違うもののメンバー間でいい感じで「プロセスゴールの共通点」を見出せたことは、今もAPI Meetupが継続している大きな要因のひとつに違いない。

当時はイベント可能なスペースを外部コミュニティに無料開放してくれる企業も多く、毎回新しい場所を借りてロケーションの変化そうだが、触れるコミュニティ層が変わる事も、毎回の楽しみとなっていた。遠征企画として大阪、福岡にも出張させて貰い、当時の上司には頭が上がらない。

多様性の中でわかった「ハイブリッド」活動の意義

当時はインフラエンジニアというロールで、特にアカウントエンジニアという担当顧客が決まっている業務だったこともあり、異業種、異なるバックグラウンドの人と交流することが愉しくて仕方ない、そんなシンプルな感覚が活動パワーの源泉だった。また、活動初期ではスピーカー調整に慣れていないこともあり、「なぜこのコミュニティを運営し」「どうしてそのスピーカーにお願いし」「イベントを開催することで、どういう未来を作りたいのか」の言語化が求められ、この活動を通して自分がなぜコミュニティ活動をしているかをセルフインストール出来た。言語化は常に自分と向き合うことであり、山籠りしてひとりで言語化することなど決してできず、自分を相対性の中で見つめる意義、そしてゴール設定の無いゆるやかな関係の中のいることは新しいアイデアや自己探索する人にはうってつけと言える。

例えば、有料カンファレンスなどへの登壇依頼であれば、登壇者のプロダクトやサービスなどのビジネスメリットがあれば交渉は成立する訳だが、オープンコミュニティ、有志ではそういう訳にはいかない。有志ということは誰もが半分もしくは全て個人活動としているケースが多く、エンジニアの場合は特にその傾向が強い。そんなコミュニティで学んだことは仕事と個人の活動をハイブリッド化する意義。ITシステムは外部連携の黎明期、エンジニアはスキルアップのための外に出始める、そしてAPIをテーマにして特にシリコンバレーを中心としたUberやNetflixなどシステムの持ちすぎないビジネスモデルが台頭し、オープンイノベーションに一気に火がついたと解釈した。

コミュニティ交流でいくつかのコミュニティで話をする機会も貰ったことは、他ならぬ自分を見つめ直し絶好の機会。アウトプットファースト。

API Meetupの兄弟コミュニティ" Enterprise Hack Night"でのLT

主にBtoB領域のWeb APIをテーマにテクノロジー領域で起きている変化のお話。

API Meetupの活動を伝えたDevRel Meetupでの発表

コミュニティ活動を通して感じるあんなことやこんなこと。

DevRel Meetupで一緒に登壇したコミュニティマーケティングのリーダー小島さんに誘って頂いたコミュニティリーダーズサミットLT

コミュニティとは一体何なのか?何が大切と感じているかの話。

企業が個人を尊重する時代、そして2020年

そしてCOVID-19というパンデミックが突然が現れた2020年。つい一年前まではオリンピック・パラリンピックに向かって一直線に登り坂を駆け上がる感じだったはず。21年以降のオリパラロスをどうするかというのが唯一の懸念だったような気もする。

コロナ禍で働く場所にとらわれず、生活に一部として仕事のどうプロットするか、個人を中心に置いた視点で「会社や仕事の本当に価値は何か?」「そもそも何を優先すべきか?」「自己実現のための活動とは何か?」「そのための所属するべきエンティティは何か?」を多くの人が再考したわけで、自分自身も例外でない。

コミュニティ活動を始めたときに直感的に楽しいと感じたことは、目の前の仕事に向き合い突っ走ってきた20代の自分が30代になり、ふと外を見ると驚くべきスピードと感度で切磋琢磨し、成長する人たちがいることを確認した。コミュニティは自分自身のポジショニングを再認識し、自分を駆動させるエネルギーを蓄積させる場所。コンフォートゾーンにいることを軌道修正するための定期診療とも言えると思う。

コミュニティの所属することは家族や趣味などあらゆる人間が関わっている活動であり、決して特殊なスキルが必要なわけでも難しいというわけではない。ただSNSなどWebテクノロジーを活用することでより広いコミュニティに自分自身を活動拡張させたり、エネルギー増幅器を増設することは可能であり、コミュニティの潜在性の可能性に注目は集まっている。ただ注意をしたいのは、コミュニティ活動は手段の話であり、直接的な価値創出に繋がるわけではない。

2020年の今、企業が個人を尊重する社会、企業が個人のプライベートに浸食せず、最大限個人の権利を尊重してくれる。ポジティブにも聞こえるが、これまで企業が良い意味で公私混同をしてくれて時代が終わり、ハイブリッドワークが必要な環境になってしまい、企業が個人を浸食してくれない。欧米のような尊重される仕組みになったということは、尊重された個人は自分でリスクを取らなければならない。個人にとって、とても大きな転換期であるのではないか。そして、転換期であることはハイブリッドを維持しないと気付き続けることができないとも感じる。

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