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『はじめての』がおもしろい

(この記事を読む目安:3分)

こんにちは、とみやまです。

先日、『はじめての』という小説を読みました。2022年2月に出たばかりの新刊です。
この小説は、島本理生さん、辻村深月さん、宮部みゆきさん、森絵都さんの4人が書いた4つの物語からなる短編集です。4人とも直木賞受賞歴があり、とても豪華な短編集となっております。

この小説のテーマは、タイトルのとおり「はじめての」です。
「はじめて〇〇したときに読む物語」が4つあります。
簡単に、4つの物語について説明しますので、深くは書きませんが、少しのネタバレも嫌な方は読まないでください。


まずは、島本理生さんの「私だけの所有者」
この物語は、「はじめて人を好きになったときに読む物語」として書かれています。

アンドロイドの「僕」と所有者との間に何があったのか。とある国の施設に保護された僕は、「先生」に手紙を書きはじめた。
帯より

おわかりのとおり、アンドロイドが登場します。SFチックなのですが、ロボットやアンドロイドが作られている現代、どこか遠くない未来な気もする作品です。すべてアンドロイドの視点で計7通の手紙が書かれています。いわゆる「書簡体小説」というやつです。
いいですね〜こういう小説も。私も最近書簡体小説を書いてみたいなと思っています。
アンドロイドの健気で切ない感じが伝わるいい物語でした。

続いて、辻村深月さんの「ユーレイ」
この物語は、「はじめて家出したときに読む物語」として書かれています。

家出をして海沿いの駅に降り立った私は、花束が手向けられた夜の広場で、突然、不思議な女の子から声をかけられた。
帯より

主人公は中学生の女の子です。彼女はある理由から夜、家出をしてしまうのですが、そこで出会った子と話をしていきます。正直、途中の展開に私はがっかりしました。え〜ちょっとそうだったの〜、と。ところが! マジかよ〜と思っていた私はその後の展開に大満足! 結果、「やっぱ辻村深月さんすげぇ」となりました。読んだことない人にとっては何言ってるかわかりませんね。ごめんなさい。(笑)
辻村深月さんの小説を読むのは「かがみの孤城」以来で2度目でしたが、とてもおもしろかったです!

続いて、宮部みゆきさんの「色違いのトランプ」
この物語は、「はじめて容疑者になったときに読む物語」として書かれています。いやどんなときやねんとつっこみたくなりますね。

並行世界で起きたテロへの関与を疑われ、捕らわれた愛娘の夏穂。宗一は夏穂を救いに、単身、もう一つの“鏡界”へと向かう。
帯より

宮部みゆきさんの小説は初めて読みましたが、いわゆるパラレルワールドのSF小説です。こういった物語はある程度読んだことがないと理解が難しいかなと思ったのですが、案外読みやすかったです。タイトルの「色違いのトランプ」の意味を知ったときは、はぁ〜なるほど〜と思いました。

最後は、森絵都さんの「ヒカリノタネ」
この物語は「はじめて告白したときに読む物語」として書かれています。

幼馴染の椎太が好きでたまらない高校生の由舞は、四回目の告白を確かなものとするため、過去の告白を消し去ろうとする。
帯より

おわかりだと思いますが、ラブストーリーです。タイムトラベル系のお話なのですが、このタイプのお話は初めてでした。昔、山Pと長澤まさみが出ていた「プロポーズ大作戦」というドラマがあったのですが、あれとは真逆というべきでしょうか。「告白をしに行く」のではなく、「告白を“回収”しに行く」という少し変わった設定がいいですね。ちょいちょいクスッと笑える場面もありおもしろかったです。
正直途中で、あーこれはこうつながってこうなるんだろうなとなんとなく先は読めたのですが、最後読み終わった後、しばらくニヤニヤが止まりませんでした。(笑)
昔恋をしていた頃を思い出してしまいました。

以上、4作品の簡単なご紹介でした。
個人的には「ユーレイ」と「ヒカリノタネ」がおもしろかったです!
特に、「ヒカリノタネ」の鯉のぼりのシーンがあるのですが、そこが印象的でした。

さらに! この小説、それだけではありません。
あの人気音楽ユニットYOASOBIが、この小説を原作とした楽曲を配信リリースします。4月14日現在、島本理生さんの「私だけの所有者」をもとにした「ミスター」がリリースされています。
音楽が好きな方もぜひ読んでみてください。

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