見出し画像

『ショートショートの宝箱Ⅴ』がおもしろい

(この記事を読む目安:2分)

こんにちは、とみやまです。

最近読んだ本『ショートショートの宝箱Ⅴ』がおもしろかったのでご紹介します。

そもそも、「ショートショート」とは何かというと、いろいろ定義はあるようですが、ショートショート作家の田丸雅智さんの言葉をお借りして言うならば、「アイデアと、それを活かした印象的な結末のある物語」(田丸雅智著「たった40分で誰でも必ず小説が書ける超ショートショート講座 増補新装版」より)です。
その名のとおり、物語自体がめちゃくちゃ短いのです。文庫本で言えば2、3ページで終わるものもあります。15ページ以上のショートショートはあまり見たことがありません。それくらい短いのです。それでも、きちんと起承転結があって、物語として成立していておもしろいのです。

光文社文庫が実施しているショートショートの公募があるのですが、「ショートショートの宝箱」はその公募で入選した作品が掲載されています。どれも10ページ前後のお話で、ちょっとしたスキマ時間に読めてしまいます。

こんな方におすすめ!
・読書をしたいが、なかなか読む時間が取れない方
・通勤時間や休憩時間を有意義に使いたい
・長編を読むのは気が引けるが、本に触れてみたい方
など

もちろん、1話1話が短いので、長編を読んだときのような達成感や読後感は得られないかもしれませんが、その分驚きや感動をたくさん味わえます。
ジャンルはホラーや恋愛、SFなど様々です。

それでは、『ショートショートの宝箱Ⅴ』について少し触れます。
と言っても、この本には全部で30作品ありますので、一つ一つに触れることはしません。この本を読んで特に気に入った話を3つご紹介したいと思います。
もちろん深いところまでは触れませんが、少しでも情報が入るのが嫌な方は以下読まないでください。


この本の中で気に入った話の1つ目は齋藤想さんの作品「産負人科」です。
あれ、字間違えてないか?
と思ったそこのあなた、鋭いですね。この話のなかではこの「負」であっています。
「妊負」の体内に宿った「負」を取り出すお話です。4ページちょっとのお話です。それでも、最後まで読むと「あぁ、深いなぁ」と感じました。

2つ目は深田亨さんの作品「牢獄」です。
これはホラーです。ゾッとします。
子どものころ、アリを殺した経験ってありませんか? 私は殺したことはなかったかもしれませんが、アリの巣を見つけたら塞いでいました。で、巣に帰れなくなるアリを見て楽しんでいました。今思うとこれもゾッとしますね。もちろん今はそんなことしていません。でも、子どもってそういうとこあるよなあと思ってしまう、そんな残酷さが滲み出た作品でした。

3つ目は我妻俊樹さんの作品「庭」です。
これもホラーですね。どんでん返し系の。
この作品はまず書き出しから惹かれました。その一文を書きます。

ある日のこと、犬が飼い主の男を噛み殺した。

こっから何が起こるんやと思いますよね。
この話、なんと4ページありません。なのに、これだけのインパクト。完敗です。
ラスト五行ですべてがひっくり返ります。

以上、私が特に気に入った3作品をご紹介しましたが、このような怖い作品以外に甘いお話やちょっと笑える話なんかも入っています。どのお話も独立しているので、最初から読まずに気になった作品から読んでもいいと思います。
きっとあなたのお気に入りの作品が見つかることでしょう!

この記事が参加している募集

#推薦図書

42,602件

#読書感想文

189,937件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?