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のらねこ、撮影テクが何もない

写真ってのは、カメラかスマホでも構えて適当にボタンを押せば、簡単に撮ることができます。
でも、そうやって撮れるのは十凡以下のつまらない写真だけ。
たまには、テクニックを駆使した物語のある写真が撮りたい! って思うことありますよね。

今回は、比較的初心者にも使いやすいテクニックを、他の記事では語られないような話を交えながら紹介します――。

皆さん、こんにちは。
あるいは初めて見てくださった方、クリックしてくれてありがとうございます。
僕は目標管理Webサービス Project Sylphius の開発・運営をしています、TOMCAT HEART の中島です。

生きてるのがつまらない。仕事がつまらない。でも人生や仕事はそもそもつまらないもので、それは仕方ない。
そんなふうに思ってる人に足りないもの。
それは “目標管理” です。

目標管理スキルを覚えさえすれば、あらゆる悩みをぜ~んぶ丸ごとサックリと、自分で解決できるようになるのです。
この のらねこに何ができる? では、それが正しいことだと証明するために、僕が自分で計画して自分で実践してきた様々なことを、なるだけ面白おかしく読んでいただこうという趣旨となっております。

現在連載中の “のら写真家に物語は撮れる?” では、物語性のあるいい写真の撮り方を、アマチュア写真家歴20年のキャリアを活かして研究していきます。

全体の執筆計画はこちら:
1. いい写真にはテーマが必要
2. テーマと物語性の関係
3. 撮影の基礎知識(今回)
4. 構図設計のやり方
5. 物語の表現の仕方
6. 写真に写る情報を整理する
7. レタッチの重要性

過去のバックナンバーはこちら

1. 初心者でも使いやすいテク4選

1. 近づく

カメラの初心者が最初にやりがちなのが、被写体をやたら小さく撮影してしまいがちということ。
周りの風景を一緒に入れたいという意識が強すぎて、人物を真ん中にポツンと小さく配置してしまいがちです。

素人臭い写真 邪魔なものが写りこみすぎ

これだと、撮影者当人はよくても、写真を見る人には “なぜ周囲の風景まで必要だったのか” なんて伝わりません。
本来撮りたかったものが人間だったはずなのに、写真の面積の大部分が人間以外って、考え方としてそもそも矛盾してますよね。

背景にやたらめったら色んな物が写りこんでいて、「これ、何をメインに撮ったの?」ってことになってしまいます。
そういう人は、撮ったあと夜中に自分で見直すときにも、自分で撮っておいて「これ、何が撮りたかったんだっけ?」ってなることも多いです。
それは何を撮ったか分からないのが悪いのではなく、何を撮ったか分かるように撮らなかったのが悪いと捉えるべきなんです。

写真館でポートレート撮影するときをイメージしていただければ、分かりやすいと思います。
「ようするに前景が撮りたい」というケースでは、本質的に背景は不要だし、むしろ邪魔なものなんです。
写真の構図として風景が必要なのは、風景が主体の写真を撮るときだけです。

ですので初心者はまずとにかく被写体に近づく!
写真の面積の9割が被写体、くらいの意識でもいいくらいです。

前景がドーンとアップになった、背景の少ない写真

たとえばこの写真なんか、初心者には「笑っちゃうくらいドアップすぎる」と感じるかもだけど、でも “狛犬にだって表情がある” ことがちゃんと分かるでしょ?
狛犬が真ん中に小さく写った写真じゃ、そんなの伝わらないでしょ。
ギャルが自撮りするときなんかもっとドアップだよ?

まぁ、オバちゃんとか割とアップで撮られるの嫌がると思うから、そういうときだけ忖度していただければと。

2. 逆光撮影

カメラって、室内で撮るとやたら暗く写って、室内で撮ったことが割とすぐ分かりますよね。
コントラストの低い、淡い色合いに写ってしまいます。

あれなんでかっていうと、カメラは設計上、晴天下に太陽を背にして撮るケースしか想定していないからです。
意外かもしれませんが、カメラとは本来 “室内では使用できない機械” なんです。

機械の最高性能を発揮するには、晴れた日に太陽を背にして撮る必要があります。
これを “順光撮影” といいます。
最近のは室内撮影を探知すると室内モードに切り替わる機種も多いけど、でも多少ごまかす程度だから太陽を背に撮るときほどにはコントラストが再現されないんです。
これは現在の最新のカメラでも同じです。

で、逆光撮影は、カメラのこの性質を逆に利用した撮影法。
カメラを太陽に向けて撮ると、(裸眼と比較して)コントラストが高くなりすぎるんです。

順光撮影
逆光撮影

こんな感じ。
逆光で撮る意味とは、コントラスト差の激しい写真を撮ることにあります。

でもコントラスト高いってことは、インパクトのある写真になるってことだからね。
(もちろんインパクトって意味では、あとからレタッチでコントラストを上げても効果は同じなんだけどね)

3. 背景をボカす

背景をボカすとはつまり、被写体の前後から余計なものを取り除くってこと。

余計なものが上下左右にあるときは、被写体に近づいてフレームから追い出しちゃえば写りこまなくなります。でも前後にあって角度的にどうしても写りこんじゃうときは、写さざるをえないですよね。
そんなときはボカしてしまえば、見る人は写ってないのと一緒と思ってくれるんです。
それが、写真の背景をボカす心理学的な意味です。

教則本なんかには「背景をボカすとドラマチック・オシャレになりますよ」とか書かれているが、この説明は初心者に優しくないです。
いざ自分でやってみると、自分が撮った写真がドラマチックかどうかなんて分からないし、「はて。。。?🤔」ってなります。

これは ボケ = ドラマチック なわけではなく、背景をボカすことでメインの被写体が強調され、見る人に撮影意図が伝わりやすくなった結果、物語も伝わりやすくなる、という仕組みだからです。
なので主人公が明確でない写真では、やたらめったらボカせばいいってもんじゃないのです。

背景をボカすとよくなる例としては、たとえば町中で花を撮る場合。
後ろにオッサンいて邪魔だなーってとき、普通はオッサンがどっか行くの待ってから撮るんだけど、そこに人がいるという情報だけ残したいってこともあります。
別にオッサンじゃなくていいし、むしろオッサンじゃない方がいいけど、とにかく人が写っていてほしい。
そんなとき背景をボカすことで、写っている人物がどんな人なのか分からなくすることができる、てぇ寸法です。

そういうケースに限らず、被写体の後ろをボカすってことは、被写体の後ろから邪魔な情報を取り除くってことになるわけです。

ただし、スマホカメラやズームレンズは背景がボケにくい傾向があって、そういう機種を使っている人はボカすのに多少工夫がいります。
一眼レフを使ってる人はシンプルに短焦点レンズ買っちゃえばいいんだけど、特にスマホはレンズの付け替えとかできないですからね。

方法1. 被写体に近づく

カメラのレンズというのは基本的に、被写体に近づけば近づくほど背景がボケやすくなります。
なので普通に撮っても背景がボケないときでも、アップで撮ると意外とボケたりします。

もちろん、カメラには機種ごとに固有の “最低撮影距離” があるので、それより近づくとピントが合わなくなりますが、そのギリギリ手前くらいが一番背景がボケます。

方法2. 後付けマクロレンズ

マクロレンズは、一般にメッチャ拡大して撮るためのレンズ “というテイ” で売られているレンズのことです。
そういうレンズを使うと、たとえばこんな写真を撮ることができます。

この花は直径3~4センチの小さな花なんだけど、こんなに大きく写せる。
なので、マクロレンズのことを拡大するためのレンズだって思ってる人は多いけど、これは実は間違い。
マクロレンズはもともとは拡大撮影するためのものではなく、中にはそんなに大きくは写らないマクロレンズなんかもあります。

マクロレンズとは最低撮影距離の短いレンズのこと。
より厳密にいうと、最低撮影距離で撮るときに画質が最良になるよう設計されたレンズのことで、拡大撮影のためのレンズじゃないんです。
(通常レンズを設計するときは、最望遠での画質を基準します)

多分、“マクロレンズ” って言葉ができた時点では拡大撮影がしたかったんだろうけど、昔は技術力が低くて、必ずしもそういうレンズができるとは限らなかったんじゃないかなぁ。
そういう失敗レンズもマクロレンズって名前で売った結果、マクロレンズは必ずしも拡大撮影できない、って市場状況が生まれたんでしょう。
多分ね。多分。

マクロ撮影のことをスーパー拡大撮影だと思っていると、拡大率の低いマクロレンズは一見すると意味がない気がしてしまいます。
でも実はマクロレンズって背景が強くボケる傾向があるので、拡大率の低いものでも1つ持っておくと役に立つんです。

方法3. ポートレートモード

これは本当に機種によるけど、最近のスマホカメラには自動デジタル加工で背景をボカしてくれる機能のあるものも多いです。
(個人的に確認した範囲では “ポートレートモード” という名前になっていることが多いみたいだけど、でも名前も機種によるかもしれません)

昔気質のカメラマンは嫌がるかもだけど、そんなん知ったこっちゃねぇ。
便利に使えるものは使ってしまえばいい。

僕が普段使いしている Galaxy A53 は、背景のボケ量をあとから変更したり、背景だけエフェクトをかけたりもできて、いじってると色々面白いです。

4. レタッチ

おじいちゃんカメラマンの中には、とりわけフィルム歴の長い人ほどレタッチを嫌う人は多いです。
昔の写真教則本には、どの本にもレタッチは最低限にしましょうって必ず書いてあったんだよね。

これは多分、昔は “カメラは現実を切り取るもの” という意識が、今以上に強かったからなんじゃないかな。
だからレタッチをすることが現実を改変するという神の所業であるかのように感じられたりする。
あと、芸術性の高い写真が簡単に作れるゆえに、ズルいと感じる人もいたみたい。
あと、「レタッチを許すと写真を犯罪に使う人が増える」って謎理論を主張する人もいるね。、、、いや、昔はいたね。今もいるのかな?

。。。マジうっせぇww

そういう考え方のカメラマンの写真集ってさ、色がボヤっとしててインパクトに欠けることが多いんだよね。
プロが撮ったヤツでも。

そもそも、写真撮影というのは風景を使った芸術作品を作るのが目的です。
これは素人が自分の子供の写真を撮るときも同じです。
(思い出ってものを 自分に対する芸術表現 と捉える意味ではね)

現実を切り取るという考え方に個人的にこだわる分には別にいいんだけど、それはあくまで考え方の1つにすぎないし、カメラは構造上、ありのままの現実を客観的に撮影することはむしろできないのです。
現在の撮影センサーは人間の眼球よりもかなり性能が低いゆえに、撮影者の能力を超えて凄いものが撮影できたりしないのです。

これはAIイラストにも同じことが言えると思うんだけど、写真はこうあるべきとか、イラストは人間が苦労して描くべきとか、そういう思い込みは捨てて自分が表現したいものを、どうやって表現するかということにだけ注力した方がいい。
“方がいい” っていうか、そういうふうに捉えた方が、思い通りにいかないことが減って気持ちが楽になるからね。

ちなみに一般に多くの コンデジ や スマホ は、裸眼で見た風景と比べて

  • 明るめ

  • 輝度低いめ

  • コントラスト低め

で撮れていることが多いです。
なので裸眼に近づける方向の加工をするときは、

  1. 明るさを落とす

  2. 輝度を上げる

  3. コントラストを上げる

とすると、カッコよくなります。
(ただし撮影条件等にもよるので必ずではなく、写真ごとの個別の調整は必須です。たとえば料理は、明るさを逆に上げた方が美味しそうに見えることが多いです)

2. 初心者がやりがちだけどしない方がいい撮影

別に芸術の作り方って意味では写真撮影にNG行為は存在しないんだけど、中にはやっぱり意図が間違って伝わりやすい撮り方ってのもあります。

1. 斜め撮り

カッコいいと思って風景を斜めに撮っちゃうケース。
これ、見る側からすると “無駄に不安をあおってるだけ” に見えることは多いです。

斜め撮りをカッコよくするには、コントラストを極端に上げて恐ろしげに見える構図を作ったりする必要があるのであって、何気ない日常をただ斜めに撮ってもカッコよくはなりません。

2. 設計のない広角撮影

これも初心者がやってしまいがち。
被写体を真ん中に小さく写すってこと。
理由はさっき “近づく” の項で説明したけど、純粋に何を撮りたかったんだか、見る側には意味が分からなく見えるんです。

もうちょっと正確にいうと、生活感が丸出しになることによって適当に撮ったことが伝わってしまうんですよ。
だって写真だからね。
たとえ撮影者が意識していなくても、レンズの方向に存在していたものは何でもかんでも写りこんでしまうんです。

ベランダに干してあるパンツとか、うっかり写りそうになったら普通隠すでしょ?
パンツほど重要じゃないものの中にも、本当は写さない方がいいものって案外いっぱいあるんですよ。

3. 日の丸構図

日の丸構図ってのは、被写体が写真の中心にポツンと写っていて、なおかつ周囲の風景がとりたてて意味のない状態にある構図のことです。
一般にこれは、あまりにもつまらない、やっちゃダメな構図とされています。
先述で紹介した くまのぬいぐるみ の写真は、意味のない広角撮影でなおかつ日の丸っていう、最悪の写真です。

生活感が丸出し

こういう写真がダメな理由は、もちろん何も考えてない素人がやりがちな構図だから単純に素人臭く見えるってのもあるんだけど、心理学的にもこれが素人写真であることを証明できてしまうんです。

被写体を写真の中央に配置するってことは、被写体が背景に囲まれている状態にするってことですよね?(当たり前)
でも、その取り囲んでいる背景がそのものは、特に意味がないわけですよ。
上記の くまのぬいぐるみ の例でいうと、プレステとか本とか写す意味が全くありません。

でもさ、でもさ?
よく考えてみて?

被写体を取り囲んでいる背景に全く意味のないってことはだよ?
日の丸構図ってのは本質的に、被写体が意味のない物に囲まれている状態ってことになるよね?

それってどういうこと?
被写体が無意味なものに囲まれていってことは、“芸術作品としては” “これは無意味ですと全力で主張してる” ことになっちゃうわけ。
真ん中にあるメインの くまさん にだって、背景の無意味さを跳ね除けるほどの強い意味なんてないんだもん。

  • 撮影者が望む望まざるにかかわらず

  • 見る側がそういう目で見た瞬間に

  • 写真がそういう意味になってしまう

ってこと。
だから背景なんかどうでもいいってときには、なるだけ日の丸構図を避けること。
これ大事。

そういうときは、被写体を中心から少しズラしてあげて、なおかつ斜めから撮る。
たとえばこんな感じ。

日の丸構図の狛犬
斜めから撮った狛犬

ほら。
正面から撮った狛犬は本当にただの狛犬だけど、斜めから撮るとちょっとドヤ顔してるように見えると思わない?
これは、被写体は基本的に斜めから撮ると表情があるような錯覚が生じるため。

被写体に表情がついて見えることによって、背景も無意味なものからそのときいた状況の描写であるかのように見えるのです。
だから、せっかく撮るんだったら日の丸構図は避けた方がいい、ってことなわけ。
(なので周囲全てが意味のあるもので囲まれているときは、日の丸構図でもオッケーなんだけどね)

3. テクニックは「使えると感じたもの」を覚える

とはいえ撮影テクなんてものは、とにかく何でもかんでもやたら駆使すればいいわけじゃありません。

ですので必然的に、撮影テクは「これは使える」と自分が感じたものを覚えるのが1つのポイントになります。
使えないテク覚えたってしゃあないしね。

次にカメラを構えたとき、覚えてたら使ってみてくださいね!!

さて次回ですが、構図設計の話にしたいと思います。
構図って、そもそも初級者にはなんのこっちゃって感じだし、中級者になってから慌てて教則本を見てもなかなか理解できなかったりします。
そう思ったときに使いやすい、構図の作り方とか考えていきます。
ではまた!

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