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のら多言語話者は何が分かる?(1) のらねこ、外国語を学ぶ意味が分からない

こんにちは!
いつも記事を読んでくださってる方、または初めて見つけてくださった方、どちらもありがとうございます!
この のらねこに何ができる? では、“目標管理スキル”を覚えれば努力が苦しまずに続けられることを知ってもらうため、僕自身が計画して自分で実践して楽しんできたことを、なるだけ面白おかしい内容に編集してお送りしております。

僕は目標管理アプリ Project Sylphius の開発・運営を行っている TOMCAT HEART の中島といいます。
自身がエンジニアとして開発管理・目標管理をやってきた社会経験や、趣味でやってきた経験なんかを活かして記事を書いております。

さて、前回までは小説の書き方なんぞ連載しておりました。
バックナンバーはこちら
ファーストシリーズは無事終わりました。
今回から始まるシリーズ “のら多言語話者は何が分かる?” では、ちゃんと続く外国語学習の進め方をお送りしていきます。

僕は外国語の勉強が趣味でして、英語とイタリア語は YouTube 動画が理解できるレベルで、他にスペイン語・フランス語なんて多少かじっております。
で、そういったものを、何をどんなふうにやってそんなにたくさん覚えたのか、ということを書いていきたいと思います。

全体の執筆計画としてはこんな感じ。

  1. 目標設定とセルフバインド(今回)

  2. 基礎勉強の進め方

  3. 当面の目標と勉強スケジュール作成

  4. 語彙を増やすコツ

  5. 目指すレベルの確認

  6. スラッシュリーディングのコツ

  7. セクションスタッキングのコツ

  8. ヒアリング練習のコツ

  9. スピーキング練習のコツ

  10. アウトプットの大切さについて

外国語の学習って、趣味の中ではわりかしお金のかからないものの定番ですよね。
オッサンのそば打ちと比べても、よっぽど安上がりでさぁね。
なんせ、本屋で本を1冊買えばすぐに始められますから。
ですが半面、外国語の学習は続かない趣味の定番でもあったりするわけで。。。

duolingo の統計によると学習者の80%は勉強してるうちに脱落し、ちゃんと長く続く人は5人に1人しかいないとのこと。
なんでそんなに少ないのかっつーと、もちろん、計画性なく適当にやるからです。

じゃあ僕の場合はどうして続いたのか。
理由は2つあります。
超簡単です。

  1. 学習開始前にセルフバインドをやった

  2. 最終目標を言葉にしていた

これだけです。
この2つをやるだけで、外国語の勉強が長く続くようになります。
順に説明します。

1. 学習開始前にセルフバインドを行う

僕の場合、最終的に5ヶ国語を習得することを目標にしています。
ですので、イタリア語にそこそこ慣れたある日、次の言語を選ぼうとしていたんです。
英語・イタリア語という2つの言語の勉強法の共通点を分析して手順を作り、これでどんな言語でも習得できる、と考えたからです。
(この手順というのは、来週以降の回がそれにあたります)

で、次のフランス語では、自分で作った手順通りに勉強を進めました。
ですが不思議なことに、勉強の効率は全くよくなく、途中で挫折してしまいました。
理論上の手順は完璧だったはずなのです。
その後、ドイツ語・オランダ語・チェコ語にも挑戦しましたが、やはり同じように挫折しました。

なんかね。。。
本とか全然頭に入ってこないし、ある日「あ、これダメなヤツだ」って急に悟るんですよね。
手順通りやってるのになんで???
。。。って、ざっくり半年か1年くらいは悩みました。

で、その理由に気づいたのは、フランス語の入門動画を YouTube で見ていたとき。
入門動画を作れるレベルまで上達した人達って、みんなまず旅行してフランスを好きになってから、それをきっかけとしてフランス語の勉強をし始めてるんですよ。
逆の人が本当に全くいないんです。

それで気づきました。
僕は言語の勉強を始めてから、その勉強を通してフランスを好きになろうとしていたのです。

当時僕は使える言語を増やすことだけを目標に、別に好きでも何でもない国のことを勉強しようとしていました。
先にフランスのことが好きにならなきゃ、フランス語ができるわけなかったんですよ。

じゃあ、フランスに旅行になんて行けない貧乏な僕には無理なの??
フランス語はお金持ちのお坊ちゃん・お嬢ちゃんだけの趣味??
。。。と一瞬思ったんだけど、よく考えたら僕、この記事の執筆時点でイタリア語歴は4年、英語歴なんか中学生時代も含めたら飛び石15年くらいやってます。

アメリカやイタリアなんか1回も行ったことないのに、ちゃんと続いてますよね。
イタリアはよくてフランスはダメだった、この差はなに????

そう考えたときに思いついたのは、僕、別に会ったことないけどイタリア人大好きなんですよね。
“芸術好きで旅行好き、おまけに美味しいものも好きで、かつノンキ者” という点が僕自身と共通してるからです。

だってね、イタリア人ってめっちゃユカイなんだよ?
日本語だと “ダンテ美術館” って訳される建物があるんだけど、そこ、現地語でなんと呼ばれてるか知ってます?
"Casa di Dante"(ダンテ君ち)っていうんです!
この、なぁんも考えない感じがすごくいいなと思って、それでイタリア語を始めたんでした。

同じように英語の場合、僕、スコットランドも大好きなんです。
どれくらいスコットランドが好きかってぇと、朝昼晩3食スコットランドでもいいくらい。(いや食いモンじゃねぇよ)

でも、フランス人は。。。?
うーん、正直よく分からない。

別に嫌いじゃないけど、僕の中の分類として “よく知らない人達” という扱いに当時はなってました。
僕は同じマンションの隣に住んでるオッサンのことをよく知りませんが、だからといって別に憎くも嫌いでもありません。でもよく知りません。
そんな状態で隣近所の人達と積極的に仲良くできるわけがなく、それはフランス語に対しても同じだったわけです。

そこで、僕はすぐにフランス人のことを調べました。
そんで分かったのは、“フランスはヨーロッパで一番オタク文化が浸透してる国” ってこと。
つまりフランス人は、日本にめっちゃ興味を持ってくれてる非常にありがたい友達候補だってことですね。
それから、説明下手で不器用という国民性も、日本人との共通点としてありそうでした。

そこで教材として使う本を、フランス人向けのオタク系コンテンツのものに変えてみました。
それまでは、ウェイ系の人達の旅行本とか、農業関連のエッセイ本とかを使ってたんですけど、マンガとかラノベとかを使うようにしたら、たったそれだけのことでフランス語がちゃんと頭に入ってくるようになったんです。

フランス人もこれ好きなんだなーと思うと、なんか、頭に入ってくるんですよね。

考えてみたらこれは当たり前のことで、自分が共感できない人達の言葉が覚えられるわけがなかったんです。
だって僕、共感できない人達と仲良くする予定なんてないですし。

だからフランス人との間に “不器用でオタク文化が好き” という共通点が出来たことで、無事にフランス語の勉強がはかどるようになったわけです。
同じようにスペイン人とは、“料理好きで観光好き、人懐こいけど真面目” という共通点があることが分かり、スペイン語も進むようになりました。

ですが反面、ドイツ語はいまだに進捗がよくありません。
ドイツ人は日本に対する興味が本質的に薄いらしく、ドイツ人と日本人とでは共通点があまりみられない(ように僕からは見える)からです。
(てか、ドイツ人てそもそも他人に興味ないよね。。。)
同じ理由で、オランダ人・チェコ人のこともまだよく分からず、再開には至っていません。

中には僕と同じ考えじゃなくても、仕事で必要だと割り切れば勉強が進む人もいるかもしれません。
が、そういう人も含め、つまりは続く理由があれば続く(逆に言えば、続く理由を意識的に作らないと勉強は続かない)というだけのことだったわけです。
そんな当たり前のことに気づくのに、1年もかかってしまったのでした。

で、そこで考えたのが “セルフバインド” って言葉。
つまりは、その国の言葉を学ぶ前に、その国のことを好きになるってこと。
言い換えれば、その国の言葉を学ぶ前に、学ぶ理由を作るのと同じです。
(ビジネス本では 自分事化 なんて言い方もありますが、同じものです)

別に紀行本を1冊読むとかでもいいし、YouTube や Googleマップ で卓上旅行してみるんでもいいでしょう。
学習を始める前に、「この人達好きだな」と思うまで、その国のことを研究してみてください。

勉強のはかどり方が本当に全然違うので。

2. 最終目標を言葉にする

で、無事にセルフバインドが終わったとしても、もちろんそれだけでコミコミまるっとぜ~んぶ上手くいくわけではありません。
好きであることは大事なことだけど、だからといって好きってだけで永久に努力できるわけではないですから。

ですので、次に目標を明確にします。
これも簡単かつ重要なことだけど、ちゃんとやってる人は少ないですよね。
その言語を学んで結局どうしたいのか、ってこと。
かつ、これはなんとなく漠然と思い描くんじゃなく、あらかじめ言葉にするのが大事です。
別に書かなくてもいいので、頭の中にはっきりと思い浮かべるのがポイントです。

なぜなら、外国人嫌いの子供は英語成績が悪いのと同じ理由で、実生活に活かす予定もない勉強なんかいくらやったって、身につくはずがないからです。

僕の場合、その国の小説を原文で読むことを目標にしています。
たとえばステファノ・ベンニやグラツィア・デレッダの小説は、ストーリーの巧妙さではなくそれぞれイタリアンジョークの面白さ、風景の美しさの描写を重視した内容になっていて、コナン・ドイルなんかと比べると翻訳時にニュアンスが失われてしまいやすい作風です。
ですので彼らの小説を楽しむならイタリア語の習得は必須で、僕の目標はこれです。

ポイントは、そんなにたいそうな理由じゃなくてもいいので、自分の中に何年でも保っていられるものであること。
世界を席巻するとか、現地人と変わらないマスターレベルになるとか、そんな大きな目標じゃなくていいんです。
小さな目標でいいので、何年でも保っていられるものであることが重要。

スペイン語の先生から聞いた話で、生徒さんの中に「旅先でナンパされたとき困らないように」という理由で続けている人がいたそうです。
ぶっちゃけこの程度の理由で十分だし、むしろ絶対スペイン人と結婚してやる、という意気込みが見え隠れしてて大変いい目標だと思いました。

ですが、マスターしたい、できるとカッコいい なんて抽象的な理由ではまず続きません。
何がどこまでできれば達成したと言えるのかがはっきりしないからです。

同じ理屈で、ネガティブな理由もできれば避けた方がいいです。
たとえば “バカにされたから見返す” とか。
や、別にそういう理由でもいいんだけど、同時にポジティブな理由もあった方がいいってこと。

なぜなら抽象的な理由やネガティブな理由は、気分が落ち込んだときなんかにそれがバカバカしい理由であることに気づいてしまいやすいからです。
「そんなことして何になるの?」って1度でも思っちゃったら、その後の勉強はただツラいだけに成り果てます。
だから目標はなるだけポジティブなものがいいです。

対して、ナンパに備えて勉強する場合には、“ナンパしてきた相手と日常会話ができる程度”という明確な指標たりえます。
そしてスペイン人の彼氏ができたらゴール。分かりやすい。
ですが “マスターしたい” だと、何がどれくらいできたらマスターしたといえるのかがハッキリしません。

同じように “今読んでるマンガの舞台がスペインだから” “友達がやってるから” なんて理由もよくないでしょう。
マンガは読み終えたらそれでおしまいだし、友達と一緒にやってる人は、その人がやめたら自分まで続ける理由がなくなってしまいます。

でも、“友達がその国の人だから” なんてのはいいですね。
うちの娘は友達に中国人がいるという理由で中国語をやってますが、中国人が中国人をやめることは絶対にないので(笑)、安心して目標にすることができます。

また最終目標は、可能なら複数あるといいです。
僕の場合、努力してる姿を子供に見せるためや、自分の事業を海外進出させるとき困らないようにという理由でも続けています。
長く続く理由でありさえすれば何でもいいわけですからね。
それぞれ、子供達が真似して何か努力をし始めたら、現地人とビジネストークができたら、という明確なビジュアルイメージもあります。
ぶっちゃけ、その国に行く計画だって特に必要ありません。

頭の中に、明確な文章を作ってみてください。

3. まとめ

つまり、もし今あなたが全く未知の国の外国語を始めようとしているなら、教則本を買う前にまず紀行本を買う方がいいです。
紀行本は学習の助けにならない反面、プチ旅行気分を味わえるし、なにより読んでも別に何の毒にもなりません

かつ、紀行本を読めば、自分がその国を好きかどうかが分かります。

それから紀行本が世の中に多いか少ないかによって、教科書として使える本が多いか少ないかもだいたい分かります。
(チェコ語やってたときは、勉強に使える本がとにかく全くなくて、勉強そのものがメチャクチャ大変でした、、、)

もしあなたが今、なにか外国語を始めたいと思っているなら、教則本ではなくまず紀行本を読んでみてください。
もしくは YouTube で動画を探してみてください。

そんで本を読んで、自分がその国の言葉を学んだらあと具体的に何に使うかを決めてください。
やりたいからっていきなり教則本を買うより、その2つを先にやった方が絶対に効率がいいです。

それらが終わったら、次週は、勉強を始めるにあたってそもそもどっから手をつけようか、って話をしたいと思います。
ではまた。

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ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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