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のら小説家に何が書ける?(4) のらねこ、葛藤について葛藤する

こんにちは。
記事に興味をもっていただきありがとうございます!
僕は目標管理アプリ Project Sylphius の開発・運営を行っている中島です。
エンジニア業界歴30年という経験を活かし、どうしても努力が続かない・がんばれない・楽しいはずのことが楽しめない、そんな方々に、楽しいことを楽しむための方法論を具体的に、実践形式でお伝えする記事を執筆しております。

現在連載中の内容は“高クオリティ小説の王道な書き方”。
シリーズ目次はこんな感じ。

  1. 目標を設定する

  2. 自分の得意分野を分析

  3. 世の中の流行を分析

  4. 物語のキモである“葛藤”について学ぶ(今回)

  5. 設定をとりまとめる

  6. 執筆時間を確保する

  7. 起承転結の展開方法について学ぶ

  8. 核心部分の詰めを行う

前回までに 目標設定 ⇒ セルフリサーチ ⇒ マーケティングリサーチ を行い、物語の主軸が「ブラック企業で仕組みを使って ざまぁ する話」に決まりました。

ちなみにここまでの手順は小説の執筆だけでなく、もちろんマンガやゲームシナリオ、あるいは新しい企画を立案する、といったことにも応用できるものかと思います。
ご興味ある方はバックナンバーもご覧ください。

1.葛藤とは何か

さて、第4回の今回は、物語を考えるうえでもっとも大切なポイントとなる“葛藤”について考えていきます。

物語には絶対に必ず葛藤というものがあり、映画・小説・マンガなんかでも、中盤後半付近に主人公がすごい思い悩むシーンが入ってきますよね。
アニメの場合は尺の関係で10秒くらいでパパッと終わったりしますが、2時間映画ともなれば葛藤シーンだけで30分の描写が入ることもあります。

どんな物語にも必ずある、この“葛藤”とは一体なんなんでしょう。
そもそもそんなに大事なんでしょうか。
仮にそれだけ大事なのだとすれば、どうやって描写すればいいんでしょうか。

まず、Weblio辞書を紐解くと、こんな風に書いてあります。

葛藤とは、もつれという意味のこと。英語では conflict と訳される。葛藤の葛は「かずら」と読み、藤は「ふじ」と読む。葛も藤も植物の蔓草(つるくさ)で、葛と藤が絡み合ってなかなか解けないことから葛藤の語がうまれたとされる。

Weblio辞書より

。。。あ~れ~。
えーと、別に植物の情報とかいらないんだけど、そういや「葛」と「藤」ってどっちも植物の名前だなー。
うん、1つ賢くなったよありがとう。
まぁ、ようは「心がもつれた状態」って意味の言葉なのね。
でもこの定義だけでは、物語を書くうえで葛藤シーンの描き方を調べる役には立ちそうにありません。

だとすると次は、世の中の他のブロガーさん方の記事を見てみます。

高橋フミアキの小説スクール - 葛藤のテクニック
物語が書きたいブログ - 「葛藤」をつくってみよう!

こちらのお二方が書かれていることをまとめると、葛藤シーンとは複数の物事のうち、どれを選択すべきか迷うことって感じみたいですね。
実際に映画とか見ると、複数の結末のうちどちらを取るべきかで悩む、あるいは、そもそもどうしたらいいか分からなくて右往左往する、といった描写の仕方をされています。
世界か恋人か、生きるか死ぬか、みたいなね。

たしかに、そういう描写の仕方をすれば、それなりに形にはなりそうです。

でもなんでだろう?
残念ながら僕が検索した範囲では、葛藤シーンを入れなきゃいけない意義にまで触れている記事は見つかりませんでした。
(高橋フミアキ氏は「入れると面白くなる」とだけは書いてくださってますが、だったら他の工夫で代替すれば葛藤シーンは必須じゃないことになりますよね? なのにどんな物語にも必ずあるのはなんで?)

2.葛藤シーンを描写する意義

さて困ったぞ。。。。
もちろん上記お二方の真似事をするだけでもそれなりには仕上がるだろうけど、今回は「面白いと思ってもらえるものを書く」ことを目標と設定しています。
それっぽいものをとりあえず書くことが目的ではありません。
ですので、葛藤シーンの本質的な意義を知る必要があるのです。

それとも、今回はいったん諦めて おままごと で済ますか。
どうしよっかな~~~~~。。。。。。。

。。。。。。

。。。あれ!?
もしかして、僕自身が今まさに“葛藤”してるのでは!?

「本質に迫る」か「表面的な真似事に留まる」か、今まさに僕は悩んでる!
悩む主人公ってカッコいいよね。
僕カッコいい? どう? どう?

。。。。こほん ⁄(⁄ ⁄-⁄ω⁄-⁄ ⁄)⁄
や、まぁ、そんなことはともかくとして。
この「葛藤シーンの意義とは何か」という疑問に対しては、実は僕、のらねこの連載開始前からずっと悩んでいたんです。
(なぜなら、プライベートで芸術家なぞやらせてもらってるからですが)

答えを得るのに、本当に、本当に長い時間がかかりました。
そしてそのヒントも、あまりにも意外すぎるところから飛び込んできたんです。

葛藤とは何かを紐解くヒントは、YouTube 動画にありました。
YouTube では、ユーチューバーと呼ばれる人達が1人ないし2人で喋っている動画が多く、物語仕立てになっているわけではありません。
当然、別に物語ではないので葛藤シーンもありません。

ですがある日、僕が人気チャネル ことラボ で パラドックスとは何か? という動画を見ているとき、その動画全体を、さも物語であるかのように楽しんでいる自分に気づいたんです。

その動画は全く物語ではなく、まさにタイトル通り、パラドックスとは何かについて、言葉の意味を説明するだけの動画です。

にもかかわらず、ちゃんと物語として面白かったんです。
この面白さがどこから発生しているのかを知るために、上記の動画や、自分が面白いと思ったいくつかの動画を繰り返し見てみました。

すると、僕自身が面白いと感じる動画には、必ず「閑話」が含まれていることに気づいたのです。

3.葛藤の目的は、全く新しい観点に気づくこと

上記 ことラボ の動画では、まずアキレスと亀の逸話を例に、パラドックスとは何かを説明します。
しばらくはその説明が3分ほど続きますが、それが一段落すると、今度は唐突にクワインさんというオッサンが登場するんです。
このオッサンは、パラドックスにはいくつか種類があるとして、その分類法を確立させた人物と紹介されています。

でもよく考えたら、、、パラドックスって言葉の説明に、このオッサンいらないっすよね?
日本国内で発行されている大部分の国語辞典では、パラドックスの項に ウィラード・ヴァン・オーマン・クワイン なんて固有名詞は登場しません。

だとすると、なぜ ことラボ でだけ、この人は登場したんでしょう?

それは、人物の紹介があった方が、説明の納得感が違うからです。
今回の場合、ユーチューバーの ことラボりょーさん は、「自分はなにも適当ぶっこいてるわけではなく、ちゃんとプロの哲学者が考えたことだ」と前置きすることで、説明の納得感を高めているのです。

あえて関係ない閑話を間に挟んだ方が、話をより面白く盛り上げやすくなる、というわけですね。
なぜならここでいう「関係ない話」とは、今まで関係ないと思っていた新しい観点という意味だからです。

物語も同じです。
主人公が葛藤したあと答えに気づくシーンでは、通常多くの場合(一瞬だけ)本筋とは全く無関係な話題が登場します。

たとえばこういうパターンは多いですよね。

1.物語の冒頭で、脇役キャラがジョークを言う(そのジョーク自体は本筋とは関係ないかのように見える)
2.主人公は物語終盤で葛藤するが、冒頭のジョークを思い出し、それをヒントに答えにたどり着く

このようなパターンが多いのも、葛藤シーンは主人公が悩むことが目的なのではなく、全く無関係な分野にヒントがあることに主人公が気づく、という描写が重要だからです。

連載の第1回目で、「楽しい」とは今まで分からなかったことが分かるようになったという感情である、と説明しています。
今まで分からなかったことが分かるようになる、とはどういうことでしょう?
人間として1つ成長する、ということじゃないですかね?

主人公が今まで気づかなかったヒントに気づき、新たな知見を得て成長する。
そして主人公を通じて、読者が成長を仮想体験する

それが、「この物語は面白い」という感情の正体なわけです。

4.主人公は、作者の得意分野について葛藤する

主人公は、何に葛藤するかよりも、何に気づくかの方が重要です。
だとすれば作者側の立場では当然ながら、主人公が気づく新しい観点を、どこから持ってくるかがポイントになるでしょう。
ですから、物語は自分が得意なジャンルを題材にすべきなのです。

物語論において「人間の葛藤」と「人間の成長」はイコールなわけですからね。
その主人公がどんな経緯でどうやって成長したかをシェアすれば、人類はみんなで一緒に効率的に成長できるというわけ。
物語というものそれ自体が、そのために生まれたっちゅーわけです。

物語という概念は、紀元前4千年頃に発明されたものだと言われています。
宗教教義を効率的に世に広めるために、人間の葛藤を分かりやすく表現する手法として生まれたもののようです。
それくらいの古い時代の原始宗教では、宗教教義は守って当たり前レベルの生活の知恵などで構成されていました。ですから当時としては、神を信じることと社会人になることはイコールだったんです。
物語の主人公となる神が葛藤ののちに成長することで、信者達を人間として成長させようとしたわけです。

ですから、不得意な分野の物語を作ると。。。?
そういやちょっと前に、パンのことを何も知らないマンガ家がパンを題材にしたマンガを出したことがありましたね。
ぶっちゃけグルメマンガとしてはクッソつまんなかったです。
マジ。本気で。
間違った知識だらけで、見ててホント不安になりました。
(ギャグマンガとしては普通に面白かったんだけどね、、、)

  1. 楽しいとは、何か成長すること

  2. 物語では、主人公が読者の代わりに葛藤し、成長する

  3. それを読者が仮想体験することで、読者が面白さを感じる

それが物語における葛藤の本質であり、面白さの本質です。
ゆえに全ての物語に葛藤シーンは必須だし、読者に正しく成長してもらうためには、間違った知識に基づいて葛藤してもいけないのです。

5.今回の葛藤シーンについて

ここまで分かれば、あとは今回僕が書く主人公がどのような葛藤をするのか(=どう成長するのか)を決めるだけですね!
さっそく葛藤シーンを設定しましょう。

葛藤の意義とは、主人公の成長であると同時に、主人公を通じて読者が成長を仮想体験することでもありました。
ということは、もし可能であれば、主人公にはぜひ、多くの読者がまだ気づいていない観点に気づいてほしいところです。

主人公は、読者がすでに知っていることに気づくのであっても物語は成立しますし、面白くすることができます。(たとえば人を殺してはいけないという当たり前のことに気づく物語だって、ちゃんと面白くはなります)
ですが可能であれば、読者が知らないことに気づいた方が、読者の仮想体験は実際に読者自身の成長となりえるわけで、その方がより面白さは増します。

ですので今のところ、葛藤シーンの予定をこんな感じにしておきます。

  • 主人公は、自分には抱え込み癖があり、かつ抱え込み癖があるという意識自体がなかった、ということに気づく

  • 経済の仕組みだって結局は人間関係で成り立っているという話を聞いた時、主人公はそのことに気づく

  • 人間関係において「見返りを求めない」という考え方が、そもそもおかしいことに気づいた瞬間に気づく

こんなところかな。
自分に抱え込み癖があることに気づいてない人、特に日本人には多いよね。
ちょうどいいんじゃないかな。

僕には、今まで培ってきた経済学・心理学の知識があります。
ですからその一部を物語の主軸として読者に見せることで、楽しんでもらおうってことです。
ですから、上記のような気づきを得るのが今回の物語の主目的である、ってことになるわけですね。

ただし、上記の設定はあくまで今回の記事を書くために慌てて考えたもので、おそらく最終形はここから紆余曲折して違うものになると思います。
なぜなら、実際に物語を組み立てていくうちに無理が生じるかもしれないからです。
ですがそれでも元になる原型は必要なので、出発点として定義しておく感じです。

てなわけで次回はいよいよ、上記の設定をもって人物設定・世界観設定を決めていきたいと思います。
次も楽しみにしていてもらえたら嬉しいです!

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ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
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