夜を明かす場所がないまま、知らない国で街に放り出されたあの日
夜8時。電気のついていない、とても暗くて人気のないアパートの階段。
入れるはずの扉が開かず、ただただ呆然と立ち尽くしている。
俺はどうなっちまうんだろう。
気持ちは軽くないのに空に浮かんだような、とらえどころのない気持ち。
北マケドニア共和国。
と言われても、ピンとこない人がほとんどだろう。
ギリシャとオーストリアの間の、国がたくさんある地域。そのいちばん南側を想像してほしい。あのあたりである。
おそらく日本人の99%が行かないであろうこのヨーロッパの小さな国の首都スコピエ